1章
ーー翌日 集合指定場所 廃工場
「来ねぇじゃねぇかよ」
「五条くん。リアちゃんに嫌われてんの?」
かれこれ数十分待ちぼうけを食らう五条を
車に腰掛けて茶化す補佐監督の清水
「うっせぇ、おっさん」
「おっさん…って俺まだ22だぞ…」
五条からの反撃に精神に大ダメージを受ける
「何してんだよ。」
「電話すればー?
リアちゃんの事だし追っ手まいてるのかもしんないけどさ…」
携帯の画面を眺める五条に清水が伝えた瞬間
バリンッと後ろの廃工の方から音がして振り向けば
ガラスと共に夢川が降ってくる
「っ!」
「リアちゃん!?」
すかさず走り出した五条の携帯が地面に叩きつけられると同時に
夢川は無事五条に受け止められる
「おい、平気か?」
「悟 ゲホッ先輩。」
血まみれでどこか顔色の悪い夢川をみて
五条の中で怒りが湧き上がる
「おい、おっさん、リアを頼む」
「おっさんはやめろ!」
駆け寄り夢川の肩を支える
「悟先輩、私も…」
「お前はちょっと休んでろ」
「先輩、1人毒針使う人いるんで気をつけて下さい」
「毒ねぇ…
んなもんくらう前に片付けてやるよ。」
「リアちゃん、反転術式使ってる?」
「いえ、それが発動しなくて…」
「術式反転 赫」
けたたましい音をたてて
廃工場が跡形もなく吹き飛ぶ
「ゲホッゴホッゴホッ…」
「あーあ、やってくれたよもう!
これだから五条くんと組むの 俺、嫌なんだよね!」
「これで片付いたろ」
「ゲホッ先輩…片付けちゃいけないものまで綺麗になくなってますよ。」
「あぁ、一石二鳥だろ?」
「清水さん、全て悟先輩が悪いですよね。」
「俺もそう思いたい。」
清水と2人でこの後に待ち受ける光景に落胆する
「で、お前傷は?」
「ゲホッ…多分そのうち治ります。」
「んだそれ。でもお前、顔色悪いじゃねぇかよ」
「大丈夫…で」
視界が急に暗くなって夢川は気を失った
「リアちゃん!?」
「おい!リア!!」