両面宿儺
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落ちるてる? いや、沈んでる?
暗顔に模様の刻まれ両目の下にうっすらと開く眼い 暗い ここはどこ
状況を確認するように当たりを見渡す
自分を見てみれば
今まで1度も来たことの無い白い着物を着ている
上なのかも下なのかも分からないが
うっすらと明るい方へ手を伸ばす
「だれか…」
伸ばしても何も掴めない手に諦めかけた時
仄かな明かりの方へ体が強引になにかに引き寄せられる
眼前には先程と変わらずどこまでも続いていそうな闇と
真下にはそこまで水深のない1面の水と無数の何かの骸
うっすら明かりの灯る方を見れば
大きな動物か何かの頭蓋が積み重なった上に
退屈そうにそこに座し圧倒的な威厳を放つ者がいる
「何かと思えば人間の小娘か。
どうやって迷い込んだ。まぁどうでも良いか。
久しぶりの人間だ。
腹も減っているが、さてどうしたものか」
「あ、あの…ここはどこなんですか?」
恐る恐るゆっくり立ち上がってこちらを見下す男に問いかけるが
ふむ とこちらの話を聞いていないのか品定めするような目で見られる
「今喰うのも悪くはないが、ここは退屈で仕方ないしのう」
その言葉に再度問いかけようとしたが
頭上から見下ろしていたそれは目の前に現れ
片手で顎を掴まれ上を向かされる
「ほう、悪くないじゃないか」
長身かつ屈強な男はこちらをみて満足気に微笑んでいる
先程まで暗くてよく見てえなかったが顔に模様の刻まれ両目の下にうっすらと開く眼がある
この世の物ではないと悟った
「小娘、名はなんと言う」
掴まれた顎をグイッと引き寄せ 顔が近づく
喰らいつかれてしまいそうな距離に冷や汗が流れるのを感じる
ああ、怖いか?とニヤリと笑って
耳元で 安心しろ 今は喰わんと囁くも右耳を齧られる
ジンとした痛みを感じ 悪い夢か何かだと思って居たがそうでも無いらしい
傷つけた耳から流れる血を弄ぶように舐められ吐息のような声が思わずもれる
「なんだ愉しめそうじゃないか、いいぞ。」
顎を掴んでいた手が首筋からゆっくりと身体をなぞるようにおりていく
その間も耳から溢れる血を味わうように舐められ続け 甘い声を出し身じろぐ
腰に回ったところでぐっと力強く引き寄せられ逃げ場が無くなる
「どうした、小娘。気持ちいいのか?
俺が怖いのでは無かったのか?」
ねっとりとした声とかかる吐息
チリチリと痛む耳にすぐそこで聞こえる水の音
恐怖と快感に襲われ思考がまとまらない
「痛いのがいいのか?俺は構わんぞ、愉しめればなんでもな」
再度こちらの顔色を覗いながら着物の襟首に手がかり一気に引き裂かれ胸元が顕になる
「やっ、め痛っ」
膨らみの下あたりに宿儺の爪が掠ったのか痛みを生じる
「あぁ、堪らくいい匂いだ 」
悦に浸った顔で爪痕をなぞったかと思えば 覆うように手のひらを添えてくる
手を当てて塞いでくれているのかと思えば違和感を感じる
生暖かい何かが傷跡を舐めているような
「ひっ、あッああぁ!」
深く入った傷跡に何かが入ってくる
与えられる痛みに頭がおかしくなりそうだ
「久方の血は極上だ。痛いか?やめて欲しいか?」
くくくっと喉で笑いながら覗き込んで来るも 痛みと恐怖で溢れた涙のせいで目が合わない
「人間とは軟弱なのであったな、すまんすまん。」
爪痕にねじ込まれたナニカはゆっくりと引き抜かれ丁寧に傷跡の表面を左右這いずったかと思えば 指の腹でなぞりながらその手は膨らみを上がって来る
「小娘、名を応えよ
そうすれば、解放してやろう」
襲い来る痛みが少しづつ和らぎ 荒くなった呼吸を整えれば 霞んだ視界も少し拓ける
「朱奈…」
息絶え絶えに自らの名前を口にする
「そうか、朱奈か。良い名だ。 」
少し驚いた顔をして先程とは違う優しい顔で笑っている
膨らみに触れていた指が離れ 右頬に優しく手が触れて 溢れた涙を拭う
「朱奈、名は覚えたぞ。」
眼前の顔はさらにこちらとの距離を縮め
唇が重なり 鉄の味のする舌が入り込んでくる
キュッと目を閉じて 口内をまさぐられる感覚に耐えた
しばらくして名残惜しそうに唇を解放された
「そろそろ潮時のようだな」
男は上を見上げるのでつられて私も上を見た
誰かの声が聞こえる 気がする
「朱奈、また逢おう。
お前を手放しはしないぞ」
またこちらに向けられた瞳は 少し寂しそうだった
ゆっくり腰に回った腕も 頬に触れていた手も無くなれば
足元からどこかへ沈み込む
また真っ暗だ
なんで、あの男はあんなに寂しそうな、顔をしたんだろう
ーー、ーーー、!
声だ。でも聞き取れない
ー朱奈ー!
名を呼ばれてる、男の声だ
誰だっけ、聞き覚えのある声
オキロ、朱奈!!
あぁ、そうだ!悠二くんの声だ
そうだ 昨日みんなで悠二の部屋でご飯食べて
あれ?いつの間にか寝ちゃったのかな?
そう思い出した瞬間 暗闇から虎杖の腕の中で目を覚ました
「朱奈!」ぎゅっと抱きしめられる
「ゆ、悠二くん?」
「良かった、起きなかったらどうしようかと思った」
「ご、ごめんなさい?」
抱きしめてくれている虎杖を抱きしめる
「…ずっと呼んでも起きないから」
震えてる
相当心配をかけたみたいだ
「ご、ごめんね、」
コンコンと扉をノックする音が聞こえて
「悠二、入るよ〜」と扉を開ける音と五条先生の声がする
私も虎杖も五条先生の声でハッとして 離れる
「お、やっぱり朱奈も居た
ダメだよ〜、悠二。朱奈連れ込んで2人で何してたのか知らないけど」
「連れ込んだ訳じゃ!」
「んー、まぁ悠二との話は後だ。
朱奈、話がある」
顔はいつも通り笑っているけど 絶対怒っている
先生に抱き抱えられ悠二の部屋を後にした
「先生!これはその!」
「事情はちゃーんとこれから聞くから!
悠二も後でね!!」
私が五条先生にみっちり数時間怒られたのはまた別の話で
END