両面宿儺
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「…ありがとう。 またいつかーーーかな?」
ぼんやりとしていて はっきりと確認出来るのは涙を流す女の顔だけ
「なんだ、はっきりと喋れ。おい!」
無意識にその女に手を伸ばした。
だが虚空を掴んだその手は ただただ赤く血塗れていた
ーー
瞳を開けば 見慣れた景色
そこで 自分が夢を見ていたことに気付く
「…不愉快だ。」
念の為に右手を確認する
赤く染まってなどいない なんてない自分の手をしばらく見つめて立ち上がる
眼下にひろがる景色は何一つ変わってはいない
「はっ…」
紛らわすように 短く息を吐いて
真後ろの鳥居の方へ ひらりと飛び移る
その柱に触れて 先刻見た懐かしい顔を思い出す
喰った者の顔なんて毎回覚えてはいない
のにどうして 夢で見たあの者の事を記憶の中から探すも
遠い昔の話過ぎて どうやら記憶が欠如しているようだ
「あぁ、忌々しい。」
(今更なんだと言うのだ
あれはなんと言っていた。)
思い出せない事に 苛立ちが募る
不意に外から 先刻の声がする
『あの!助けてくれて、ありがとうございました!』
『おう!』
『今度からこんなとこに来ちゃダメよ、気を付けなさい!』
気になって片眼を虎杖に顕現させる
微笑む女は 正しく先程と同じ顔で
薄めた目を開いた時目が合って
「はい。あ、ひぇ!?」
「あ、宿儺! 勝手に出てくんなって!」
すぐに虎杖の手で視界を遮られる
「チッ…だが、そうか。
時は廻ったということか。」
『あ、あの。さっきのは?』
『あー、気にしちゃダメよ!』
『そうそう。変なもん見せて悪かったな!』
『あ、いえ…。』
「小僧め、誰が変なものだ。」
だが少しずつ あの女について思い出してきた。
あれは 裏梅が連れてきた己の術式すらまともに使えん
ただの
いつも通り少し 遊んで 食うつもりだった
が、術師共に邪魔をされたのだ。
その女を救助したつもりの 術師共は
女の術式の暴発で命を落とした
女の体もまた 発動した術式によって 自身をも傷付けた
見るに耐えなくなって トドメをさした
そうだ最期に言っていたのは
外のあの声が耳に届く
『また会えるかな?』
END