スキボタン御礼



『ハイウェイ』


古い思い出だと切り捨てるには早く
いつまでも引きずるには遠すぎて
宙に浮かばせるには目障りな記憶
触れてしまえば本当になるから
風がそっと押し流してくれるのを待っている


入り組んだ迷路のように複雑で
あみだくじのように単純でもあった
今思えばあれが分岐点
オレもお前も間違ってなかった

他の道があったはずだろう、なんて
100%、相手の車線変更を待つ言葉
譲れないものがあるなら
それは交わることがないのさ


光線は蛇行し夜を描く
オレは助手席でそれを眺める


「寝たのか?一郎」
「・・・いや」
「少しくらい寝てもいいんだぞ。疲れただろう」
「いいよ、大丈夫だから」



窓に映るネオン


“夜遊びなんて久しぶりだなあ”


お前の顔が映っては消えていく




目を閉じるなんて卑怯な真似はできない




古い思い出だと切り捨てるには早く
いつまでも引きずるには遠すぎて
宙に浮かばせるには目障りな記憶
触れてしまえば 本当になるから

風がそっと押し流してくれるのを




待っている


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2021.9.14 高杉R26号

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