宮田短編
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『ダイヤモンド』
アイツが私を見ていないだなんて、ずっと前から知っていた。
みんなは私がアイツの特別だなんていうけど、
アイツが私の名前を呼ぶ理由なんて、
ただ、昔からの知り合いというだけ。
「鷹村さん、帰ってますかー?」
ジムの帰りに二人して寄り道する太田荘。
会長から頼まれて、ビデオを届けに来たりとか。
ただ単に、遊びに来たりとか。
「あら、こんばんは」
初めて会った時、同じ女性でも、声を失うほどの美人だと思った。
鷹村さんからは想像も出来ない、同じ血液が流れていることすら信じられない。
彼女はキラキラと輝くダイヤモンド
高貴で、美しくて
私は卑しく風に吹かれる砂
低俗にさすらうだけの
「二人は相変わらず仲が良いのね」
「・・・ただの幼なじみですよ」
そうやって答えるアイツの顔は、いつになく不満そう。
誤解されたくない心が、いつものポーカーフェイスを崩している。
「そうですよ、やだなぁ京香さん」
そして私はありったけの笑顔を振りまく。
彼女はキラキラと輝くダイヤモンド
純潔で、一つの傷もない
私は卑しく風に吹かれる砂
汚れていて、複雑な
帰り道、アイツの顔は少し赤くなっていて、
横にいる私のことなど、まるで気にもしていない。
幼いが故の憧憬だろう、なんて悠然と構えていたけれど
何年経っても、アイツの心は彼女に支配されたまま。
家柄の全く違う、手の届くはずのない高嶺の花。
何も期待していない素直な感情は、収まりどころを知らない。
隣を見てよ。私を見てよ。
穴があくほど見つめてみても、アイツの心は空の上。
彼女は掛け値なしのダイヤモンド
私は価値のない砂
大人の笑顔で、巧みに避けられているのも知らずに。
ずっとずっと、彼女だけを思い続けて・・・
あなたはバカみたいに彼女を愛するのね
私があなたを愛するように
みんな、彼女を愛しているの、みんな・・・
もし私が泣きながら
あなたに跪いて哀願したら
あなたは私のために、立ち止まってくれるかしら
彼女はあなたを愛していない
あなたが私を愛さないのと同じで
帰り道に、どこからか聞こえてきたピアノの音に
あの悲しいラブソングを思い出す
悲しいピアノの調べ、異国の歌
彼女は掛け値なしのダイヤモンド
私は価値のない砂
彼女は掛け値なしのダイヤモンド
私は価値のない砂
みんな、彼女を愛しているの・・・・
inspired by 鑽石(Barbie Hsu)
スキボタンありがとうございました!
2019.1 高杉R26号
アイツが私を見ていないだなんて、ずっと前から知っていた。
みんなは私がアイツの特別だなんていうけど、
アイツが私の名前を呼ぶ理由なんて、
ただ、昔からの知り合いというだけ。
「鷹村さん、帰ってますかー?」
ジムの帰りに二人して寄り道する太田荘。
会長から頼まれて、ビデオを届けに来たりとか。
ただ単に、遊びに来たりとか。
「あら、こんばんは」
初めて会った時、同じ女性でも、声を失うほどの美人だと思った。
鷹村さんからは想像も出来ない、同じ血液が流れていることすら信じられない。
彼女はキラキラと輝くダイヤモンド
高貴で、美しくて
私は卑しく風に吹かれる砂
低俗にさすらうだけの
「二人は相変わらず仲が良いのね」
「・・・ただの幼なじみですよ」
そうやって答えるアイツの顔は、いつになく不満そう。
誤解されたくない心が、いつものポーカーフェイスを崩している。
「そうですよ、やだなぁ京香さん」
そして私はありったけの笑顔を振りまく。
彼女はキラキラと輝くダイヤモンド
純潔で、一つの傷もない
私は卑しく風に吹かれる砂
汚れていて、複雑な
帰り道、アイツの顔は少し赤くなっていて、
横にいる私のことなど、まるで気にもしていない。
幼いが故の憧憬だろう、なんて悠然と構えていたけれど
何年経っても、アイツの心は彼女に支配されたまま。
家柄の全く違う、手の届くはずのない高嶺の花。
何も期待していない素直な感情は、収まりどころを知らない。
隣を見てよ。私を見てよ。
穴があくほど見つめてみても、アイツの心は空の上。
彼女は掛け値なしのダイヤモンド
私は価値のない砂
大人の笑顔で、巧みに避けられているのも知らずに。
ずっとずっと、彼女だけを思い続けて・・・
あなたはバカみたいに彼女を愛するのね
私があなたを愛するように
みんな、彼女を愛しているの、みんな・・・
もし私が泣きながら
あなたに跪いて哀願したら
あなたは私のために、立ち止まってくれるかしら
彼女はあなたを愛していない
あなたが私を愛さないのと同じで
帰り道に、どこからか聞こえてきたピアノの音に
あの悲しいラブソングを思い出す
悲しいピアノの調べ、異国の歌
彼女は掛け値なしのダイヤモンド
私は価値のない砂
彼女は掛け値なしのダイヤモンド
私は価値のない砂
みんな、彼女を愛しているの・・・・
inspired by 鑽石(Barbie Hsu)
スキボタンありがとうございました!
2019.1 高杉R26号