宮田短編
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『キミが一番』
ピーン
・・・という電子音がさっきから断続的に耳に入ってくる。
せっかくいい気持ちで寝ていたのに、と思いながら、奈々は気だるそうにゴロリと寝返りを打った。
そしてまた、ピーン、と音がなる。
それからガチャリ、とドアの開く音と、ガサゴソと靴を脱ぐ音。
静かだけど、静かすぎない生活音が突然帰ってきてようやく、ここが自分の家ではないことに気がつく。
そうして、事の重大さに気づいて、自分でも驚くような声を上げて飛び起きてしまった。
「あああああ!!!」
「・・・」
さっき帰宅した家主、宮田一郎は、突然の奇声に少し目を見開いたものの、特に声を出して驚くこともなく、ただその声の主の方に目を向けた。
「し、し、し、しまった・・・・寝ちゃってた!!今何時!?」
「・・・10時だけど」
宮田は少し呆れたような顔で、寝ぼけ眼の恋人の顔に向かって軽くため息をついた。
「よくそんなに寝ていられるものだな」
「う・・・って、どこ行ってたの?」
「あんまり起きねぇから朝飯買ってきたんだよ」
そういって、宮田は持っていたコンビニ袋を無造作に、テーブルの上に置いた。中にはサンドイッチなどの軽食が入っている。
「ありがと・・・・って、そうじゃなくて、ああ!もう!」
悔しそうに頭を抱えて固まる、奈々に、宮田はふぅっと肩を落としながら
「どうしたんだよ」
「だって・・・絶対1番に言おうと思ってたんだもん」
そうしている間に、またピーン、と音がなる。
「ほ、ほらぁ・・・もう来てるじゃない、メールが!」
あまりの落胆ぶりに宮田はさっきよりも深いため息をついて、テーブルの上に置きっぱなしにしていた携帯電話を手に取った。
そしてそれを手に収めたまま、奈々の横に腰掛ける。
「さっさと言えよ」
「・・・・だって・・」
「まだ見てねぇから」
「でも・・・」
まごつく奈々に業を煮やしたのか、宮田は無表情で携帯電話をいじろうと取り出し始める。
「や、やだ、やめてよぉ!」
「早くしろよ」
「うう〜」
携帯電話を奪おうとする奈々をうまくかわしながら、宮田が意地悪を続けると、奈々は観念したような声で絞り出した。
「・・・た、誕生日・・・おめでとう」
宮田は開きかけた携帯電話を再び閉じて、ベッドの上に放り投げた。そして頭の下に両手を組んで、そのままベッドに倒れこんでつぶやいた。
「いつまで寝てるんだよまったく」
「だって・・・・」
倒れ込んだ宮田の横に、奈々もそっと倒れ込んで寄り添う。
「誰かさんのせいで寝不足だったし、昨日」
「オレは5時に起きてロードワーク行ったけど」
「ボクサーの体力と一緒にしないでよ、もう」
奈々は宮田の体に手を回し、ぎゅっと抱きしめる。
宮田はそんな愛情表現をよそに、先ほど放り投げた携帯に手を伸ばし、開いて見た。
「おめでとうのメール・・・来てたんでしょ、たくさん」
「別に」
「私が一番先に、言いたかったのになぁ」
宮田は片手で携帯をいじりながら、
「だから、聞くまで見なかっただろ」
そう言って、メールの返信を打ちはじめた。
おわり
ーーーーーーーーーーーーーーーー
2019年8月27日 高杉R26号
高杉的には甘い夢と思ったんですけど、よく読んだら全然甘くない気がしてきました。
まぁ、宮田くんだし、これが限界。
ちなみに携帯電話はスマホじゃなくてガラケーです。
一応、一歩の世界がまだ20世紀なので・・・
(でも青木さんスマホ使ってた気がするけど)
ちなみにメールは多分、お父さんとかジムの方、バイト先からの業務メールだったと思うんですけどね。だって宮田くん、普通の「誕生日メール」とか返信しなさそうだから・・・
幸薄い宮田くんに少しでも幸あれ、と思いを込めて。
読んでいただきありがとうございました!
ピーン
・・・という電子音がさっきから断続的に耳に入ってくる。
せっかくいい気持ちで寝ていたのに、と思いながら、奈々は気だるそうにゴロリと寝返りを打った。
そしてまた、ピーン、と音がなる。
それからガチャリ、とドアの開く音と、ガサゴソと靴を脱ぐ音。
静かだけど、静かすぎない生活音が突然帰ってきてようやく、ここが自分の家ではないことに気がつく。
そうして、事の重大さに気づいて、自分でも驚くような声を上げて飛び起きてしまった。
「あああああ!!!」
「・・・」
さっき帰宅した家主、宮田一郎は、突然の奇声に少し目を見開いたものの、特に声を出して驚くこともなく、ただその声の主の方に目を向けた。
「し、し、し、しまった・・・・寝ちゃってた!!今何時!?」
「・・・10時だけど」
宮田は少し呆れたような顔で、寝ぼけ眼の恋人の顔に向かって軽くため息をついた。
「よくそんなに寝ていられるものだな」
「う・・・って、どこ行ってたの?」
「あんまり起きねぇから朝飯買ってきたんだよ」
そういって、宮田は持っていたコンビニ袋を無造作に、テーブルの上に置いた。中にはサンドイッチなどの軽食が入っている。
「ありがと・・・・って、そうじゃなくて、ああ!もう!」
悔しそうに頭を抱えて固まる、奈々に、宮田はふぅっと肩を落としながら
「どうしたんだよ」
「だって・・・絶対1番に言おうと思ってたんだもん」
そうしている間に、またピーン、と音がなる。
「ほ、ほらぁ・・・もう来てるじゃない、メールが!」
あまりの落胆ぶりに宮田はさっきよりも深いため息をついて、テーブルの上に置きっぱなしにしていた携帯電話を手に取った。
そしてそれを手に収めたまま、奈々の横に腰掛ける。
「さっさと言えよ」
「・・・・だって・・」
「まだ見てねぇから」
「でも・・・」
まごつく奈々に業を煮やしたのか、宮田は無表情で携帯電話をいじろうと取り出し始める。
「や、やだ、やめてよぉ!」
「早くしろよ」
「うう〜」
携帯電話を奪おうとする奈々をうまくかわしながら、宮田が意地悪を続けると、奈々は観念したような声で絞り出した。
「・・・た、誕生日・・・おめでとう」
宮田は開きかけた携帯電話を再び閉じて、ベッドの上に放り投げた。そして頭の下に両手を組んで、そのままベッドに倒れこんでつぶやいた。
「いつまで寝てるんだよまったく」
「だって・・・・」
倒れ込んだ宮田の横に、奈々もそっと倒れ込んで寄り添う。
「誰かさんのせいで寝不足だったし、昨日」
「オレは5時に起きてロードワーク行ったけど」
「ボクサーの体力と一緒にしないでよ、もう」
奈々は宮田の体に手を回し、ぎゅっと抱きしめる。
宮田はそんな愛情表現をよそに、先ほど放り投げた携帯に手を伸ばし、開いて見た。
「おめでとうのメール・・・来てたんでしょ、たくさん」
「別に」
「私が一番先に、言いたかったのになぁ」
宮田は片手で携帯をいじりながら、
「だから、聞くまで見なかっただろ」
そう言って、メールの返信を打ちはじめた。
おわり
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2019年8月27日 高杉R26号
高杉的には甘い夢と思ったんですけど、よく読んだら全然甘くない気がしてきました。
まぁ、宮田くんだし、これが限界。
ちなみに携帯電話はスマホじゃなくてガラケーです。
一応、一歩の世界がまだ20世紀なので・・・
(でも青木さんスマホ使ってた気がするけど)
ちなみにメールは多分、お父さんとかジムの方、バイト先からの業務メールだったと思うんですけどね。だって宮田くん、普通の「誕生日メール」とか返信しなさそうだから・・・
幸薄い宮田くんに少しでも幸あれ、と思いを込めて。
読んでいただきありがとうございました!