宮田短編
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『眠れる森の王子』
宮田くんは、いつも寝ている。
休み時間は100%寝ている。
授業中は、先生によって寝たり、起きたり。
3時間目が終わると購買に行って昼ご飯を買って来て・・・
そのまま食べちゃうか、もしくは昼休みにさっさと食べて昼寝。
そして学校が終わるとすぐに帰ってしまう。
起きている宮田くん、というのはなかなか見られないくらい珍しい。
そんなわけで、女子の間で付いたあだ名は「眠れる森の王子」。
宮田くんはカッコ良くて、女子の間で人気の存在だ。
体育のときなんか、女子がキャーキャー言っている。
男子がそれを見て冷やかしたりするけど、宮田くんは平然とした顔で意にも介してない。
そういったクールなところがまた、女子の心をつかんでいる。
私?
私は、宮田くんのことをよく知らない。
見た目だけでキャーキャー言うのは失礼かなと思って、そういった輪の中には入らないようにしている。
こないだ席替えで、宮田くんの隣になった。
「眠れる森の王子」という評判通り、本当にずっと寝てる。
プロボクサーだということは周知の通りで、先生も敢えて注意しない。
だけどウチの学校は、どちらかというと進学校。
中にはプロボクサーだろうが何だろうが、居眠りなんて許さない!っていう鬼先生もいる。
これからやってくる英語の先生が、まさにそうだ。
だから宮田くんは、英語の時間はわりと起きている。
それなのに・・・・今日はよっぽど疲れているのかな。
月末で、出席番号的に当たる確率も高いだろうに、宮田くんは頬杖を付いたままウトウトしている。
私は横目でチラチラと、宮田くんの様子をうかがっていたのだけど・・・ついに、完全に目を閉じてしまった。
授業が始まって、宿題の答え合わせになり、宮田くんの出席番号の前の方の人が当てられた。
一人、二人と答え終わって、宮田くんの順番が近づいてくる。
「じゃあ次、宮田、答えてみろ」
先生が宮田くんを指名した。
でも宮田くんは目を閉じたまま、全然聞こえてないみたい。
「宮田。おい、宮田!」
私はペンで宮田くんをツンツンと刺した。
すると、ハッと宮田くんがその大きな目を開けたのだけど、何が起きているのか把握できていないようで、無表情のまま固まっている。
「宮田。お前、寝ていたな?プロボクサーだからといって、そんな態度でいいと思っているのか」
英語の先生は、嫌味な性格で有名だ。
わざわざ人がムカっとするような言葉を選んで、それでいて低いトーンでジワジワと話をしてくる。
「なんだ?答えられないのか?ボクシングの練習していたから宿題できませんでした、なんて言い訳にならないぞ?」
宮田くんの顔が明らかに曇ったのが分かった。
でも、ノートを見る気配がない。
どうやら本当に、宿題をやってこなかったみたいだ。
私はとっさにノートの隅に一言書いて、宮田くんに見えるようにそっと袖の方へノートをやった。
宮田くんがそれに気づいて、チラッと横目でノートを見、
「・・・答えはAです」
宮田くんが棒読みで答えると、先生は
「ほう・・正解だ。じゃあ、単語の意味は?」
私はまた慌てて、ノートの隅にメモを書く。
宮田くんがそれをまた横目で見て答える。
「・・・・規律とか躾とか」
「む。よろしい。じゃ、次、宮本」
「はい」
先生の攻撃が過ぎ去って、私はほっと胸を撫で下ろした。
ふっと深いため息をついて、宮田くんはまた頬杖をつく。
私はまたノートの端に文字を書いて、それを宮田くんに見せた。
『ボクシングの練習、頑張ってね』
宮田くんはちらっと目線をノートに落とし、小さく笑った。
それからまたウトウトと、大きな目を閉じてしまった。
授業が終わって、みんなが一斉に動き出した。
「高杉」
宮田くんが私に向かって言った。
「さっきはありがとな」
「う、ううん」
さっきみたいな小さな笑みを浮かべて、宮田くんは再び机に伏せて寝てしまった。
みんなが言う「眠れる森の王子」。
外見だけにキャーキャー言うなんて、と思っていたけど・・・
やっぱり、宮田くんってカッコいいなと思った。
ああ、神様。
私も例外なく、彼を好きになってしまいそうです。
END
---------------------------
2011.1.16 高杉R26号
過去に掲載した分の再掲載です。
ネット上の話では、都内の高校で制服がブレザーだと進学校というイメージらしいんですが、高杉は東京の人間ではないのでよくわからず・・・ただ、アホな高校には行ってない気がします。
それにしても宮田くんの隣の席・・・・ハァハァ、なんて美味しい席なんだ。深呼吸したいぜハァハァ。←我ながら気持ち悪い。
宮田くんは、いつも寝ている。
休み時間は100%寝ている。
授業中は、先生によって寝たり、起きたり。
3時間目が終わると購買に行って昼ご飯を買って来て・・・
そのまま食べちゃうか、もしくは昼休みにさっさと食べて昼寝。
そして学校が終わるとすぐに帰ってしまう。
起きている宮田くん、というのはなかなか見られないくらい珍しい。
そんなわけで、女子の間で付いたあだ名は「眠れる森の王子」。
宮田くんはカッコ良くて、女子の間で人気の存在だ。
体育のときなんか、女子がキャーキャー言っている。
男子がそれを見て冷やかしたりするけど、宮田くんは平然とした顔で意にも介してない。
そういったクールなところがまた、女子の心をつかんでいる。
私?
私は、宮田くんのことをよく知らない。
見た目だけでキャーキャー言うのは失礼かなと思って、そういった輪の中には入らないようにしている。
こないだ席替えで、宮田くんの隣になった。
「眠れる森の王子」という評判通り、本当にずっと寝てる。
プロボクサーだということは周知の通りで、先生も敢えて注意しない。
だけどウチの学校は、どちらかというと進学校。
中にはプロボクサーだろうが何だろうが、居眠りなんて許さない!っていう鬼先生もいる。
これからやってくる英語の先生が、まさにそうだ。
だから宮田くんは、英語の時間はわりと起きている。
それなのに・・・・今日はよっぽど疲れているのかな。
月末で、出席番号的に当たる確率も高いだろうに、宮田くんは頬杖を付いたままウトウトしている。
私は横目でチラチラと、宮田くんの様子をうかがっていたのだけど・・・ついに、完全に目を閉じてしまった。
授業が始まって、宿題の答え合わせになり、宮田くんの出席番号の前の方の人が当てられた。
一人、二人と答え終わって、宮田くんの順番が近づいてくる。
「じゃあ次、宮田、答えてみろ」
先生が宮田くんを指名した。
でも宮田くんは目を閉じたまま、全然聞こえてないみたい。
「宮田。おい、宮田!」
私はペンで宮田くんをツンツンと刺した。
すると、ハッと宮田くんがその大きな目を開けたのだけど、何が起きているのか把握できていないようで、無表情のまま固まっている。
「宮田。お前、寝ていたな?プロボクサーだからといって、そんな態度でいいと思っているのか」
英語の先生は、嫌味な性格で有名だ。
わざわざ人がムカっとするような言葉を選んで、それでいて低いトーンでジワジワと話をしてくる。
「なんだ?答えられないのか?ボクシングの練習していたから宿題できませんでした、なんて言い訳にならないぞ?」
宮田くんの顔が明らかに曇ったのが分かった。
でも、ノートを見る気配がない。
どうやら本当に、宿題をやってこなかったみたいだ。
私はとっさにノートの隅に一言書いて、宮田くんに見えるようにそっと袖の方へノートをやった。
宮田くんがそれに気づいて、チラッと横目でノートを見、
「・・・答えはAです」
宮田くんが棒読みで答えると、先生は
「ほう・・正解だ。じゃあ、単語の意味は?」
私はまた慌てて、ノートの隅にメモを書く。
宮田くんがそれをまた横目で見て答える。
「・・・・規律とか躾とか」
「む。よろしい。じゃ、次、宮本」
「はい」
先生の攻撃が過ぎ去って、私はほっと胸を撫で下ろした。
ふっと深いため息をついて、宮田くんはまた頬杖をつく。
私はまたノートの端に文字を書いて、それを宮田くんに見せた。
『ボクシングの練習、頑張ってね』
宮田くんはちらっと目線をノートに落とし、小さく笑った。
それからまたウトウトと、大きな目を閉じてしまった。
授業が終わって、みんなが一斉に動き出した。
「高杉」
宮田くんが私に向かって言った。
「さっきはありがとな」
「う、ううん」
さっきみたいな小さな笑みを浮かべて、宮田くんは再び机に伏せて寝てしまった。
みんなが言う「眠れる森の王子」。
外見だけにキャーキャー言うなんて、と思っていたけど・・・
やっぱり、宮田くんってカッコいいなと思った。
ああ、神様。
私も例外なく、彼を好きになってしまいそうです。
END
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2011.1.16 高杉R26号
過去に掲載した分の再掲載です。
ネット上の話では、都内の高校で制服がブレザーだと進学校というイメージらしいんですが、高杉は東京の人間ではないのでよくわからず・・・ただ、アホな高校には行ってない気がします。
それにしても宮田くんの隣の席・・・・ハァハァ、なんて美味しい席なんだ。深呼吸したいぜハァハァ。←我ながら気持ち悪い。