宮田短編
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『Delete My Memories』
「私は宮田みたいに強くない」
そう言って、涙を溜めながらもまっすぐ自分を撃ち抜いてきた眼は、落ちた雫と共に伏せられて、2度とこちらに向くことはなかった。
一人サイズがちょうどいいベッドに横たわり、何も描かれていないまっさらな天井をただただ眺めて、目を瞑る。
背景が白か黒かの違いで、何も無いことに変わりはなく。
消し去りたいような、残しておきたいような、どっちつかずの感情がジワジワと漏れ出して、シーツに染み込んでいくようだった。
最後にアイツと手を繋いだのはいつだったろうか。
最後にアイツの笑顔を見たのはいつだったろうか。
「どうした?」
「・・ううん・・・あ、あのね・・」
「ん?」
「・・いや、いいや、なんでもない」
アイツが抱え込んでいたもの
アイツがオレに求めていたもの
アイツがオレに言いたかったこと…
決して短くはない付き合いだったのに、最後は何もわからなかった。
写真は嫌いだから、あまり撮らなかったし。
家に呼ぶより、行くことが多かったから私物もない。
生活の一部が欠けたはずなのに、何も変化のない日常。
これがオレがアイツにしてきたことの全て。
何も変わらない程度にしか、愛せなかった。
それなのに、なぜだ。
いつまでたっても消せないのは。
オレの頭から記憶を消せないのなら、せめて。
アイツの頭から、オレの記憶を消してくれ。
END
2019.3 高杉R26号
スキボタンありがとうございます!
「私は宮田みたいに強くない」
そう言って、涙を溜めながらもまっすぐ自分を撃ち抜いてきた眼は、落ちた雫と共に伏せられて、2度とこちらに向くことはなかった。
一人サイズがちょうどいいベッドに横たわり、何も描かれていないまっさらな天井をただただ眺めて、目を瞑る。
背景が白か黒かの違いで、何も無いことに変わりはなく。
消し去りたいような、残しておきたいような、どっちつかずの感情がジワジワと漏れ出して、シーツに染み込んでいくようだった。
最後にアイツと手を繋いだのはいつだったろうか。
最後にアイツの笑顔を見たのはいつだったろうか。
「どうした?」
「・・ううん・・・あ、あのね・・」
「ん?」
「・・いや、いいや、なんでもない」
アイツが抱え込んでいたもの
アイツがオレに求めていたもの
アイツがオレに言いたかったこと…
決して短くはない付き合いだったのに、最後は何もわからなかった。
写真は嫌いだから、あまり撮らなかったし。
家に呼ぶより、行くことが多かったから私物もない。
生活の一部が欠けたはずなのに、何も変化のない日常。
これがオレがアイツにしてきたことの全て。
何も変わらない程度にしか、愛せなかった。
それなのに、なぜだ。
いつまでたっても消せないのは。
オレの頭から記憶を消せないのなら、せめて。
アイツの頭から、オレの記憶を消してくれ。
END
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