太陽の少年
お名前設定はこちら
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
16.発見
あれから1年の月日が経って。
高校を卒業し、地元大阪の大学にも合格した。
大阪に愛着があるわけではないが、父や弟のことを考え(そして一人暮らしのコストを考え)、敢えて地元に残ったという感じだ。
大阪の街は相変わらず騒がしい。
大学生ともなれば、今までと活動時間も活動範囲も変わってくる。初めて、夜の大阪というものにも繰り出してみたりした。
それはそれで楽しくても、何かが物足りない。
「退屈やぁ」
千堂の真似をしてつぶやいてみると、言葉は空気にすっと溶けて行った。
「奈々、バスケやらん?」
「へぇ?」
大学の友人に話しかけられ、思わず素っ頓狂な声を上げた。
どこもかしこも、新入生を引き入れようとたくさんのサークルが熱心に勧誘している中、友人はバスケサークルを勧めてきたのだ。
「運動不足の解消にもなるし、オトコも探せるし~」
「うーん」
気乗りしない奈々の返事をまるで気にせず、友人が更に続ける。
「今度の日曜、大阪府立体育館で試合があるらしいで。見に行こうや!」
半ば押し売りのような強引な誘い方に、奈々は断ることができなかった。
オトコ探しはともかく、確かに運動不足ではあった。
バスケットは中学時代に部活でかじったこともあるしまあいいか、と軽く考えて返事をする。
そして日曜日。奈々は大阪府立体育館に行き、試合を見に行った。
さすがに部活ではなくサークルである。それほど高度なテクニックではないにしろ、やはり多少ハードだな、という印象はあった。
「ごめん、ちょっとトイレ」
友人にそう告げて、体育館を出て洗面所を探す。
すると壁に、何枚かのポスターが貼ってあるのに気づいた。どうやらボクシングかプロレスといった、格闘技のもののようだ。
そういえばここは、大相撲もやったりするのだっけ、と思いながら何気なくポスターを読んで・・・見覚えのある名前を目にした。
日本フェザー級4回戦 千堂武士(なにわ拳闘会)VS・・・・
同姓同名だろうかと思ったが、相手は「山田太郎」のようなありふれた名前ではない。
こんな名前、偶然などあるわけがない。しかし写真が無いので、本当に本人かは分からない。
千堂くんがボクサー?
あり得ない話ではない、と思ったが、今ひとつ実感が沸かない。
というのも、奈々に取ってボクシングという世界はあまりにも遠い世界だったからだ。
ポスターの日付を確認し、チケットの入手先をメモする。
思わず手が震える。
席に戻っても、考えるのは千堂のことばかり。
どっちが勝ったのかも全然わからない。
そんなことはもう、どうでもよかった。
あれから1年の月日が経って。
高校を卒業し、地元大阪の大学にも合格した。
大阪に愛着があるわけではないが、父や弟のことを考え(そして一人暮らしのコストを考え)、敢えて地元に残ったという感じだ。
大阪の街は相変わらず騒がしい。
大学生ともなれば、今までと活動時間も活動範囲も変わってくる。初めて、夜の大阪というものにも繰り出してみたりした。
それはそれで楽しくても、何かが物足りない。
「退屈やぁ」
千堂の真似をしてつぶやいてみると、言葉は空気にすっと溶けて行った。
「奈々、バスケやらん?」
「へぇ?」
大学の友人に話しかけられ、思わず素っ頓狂な声を上げた。
どこもかしこも、新入生を引き入れようとたくさんのサークルが熱心に勧誘している中、友人はバスケサークルを勧めてきたのだ。
「運動不足の解消にもなるし、オトコも探せるし~」
「うーん」
気乗りしない奈々の返事をまるで気にせず、友人が更に続ける。
「今度の日曜、大阪府立体育館で試合があるらしいで。見に行こうや!」
半ば押し売りのような強引な誘い方に、奈々は断ることができなかった。
オトコ探しはともかく、確かに運動不足ではあった。
バスケットは中学時代に部活でかじったこともあるしまあいいか、と軽く考えて返事をする。
そして日曜日。奈々は大阪府立体育館に行き、試合を見に行った。
さすがに部活ではなくサークルである。それほど高度なテクニックではないにしろ、やはり多少ハードだな、という印象はあった。
「ごめん、ちょっとトイレ」
友人にそう告げて、体育館を出て洗面所を探す。
すると壁に、何枚かのポスターが貼ってあるのに気づいた。どうやらボクシングかプロレスといった、格闘技のもののようだ。
そういえばここは、大相撲もやったりするのだっけ、と思いながら何気なくポスターを読んで・・・見覚えのある名前を目にした。
日本フェザー級4回戦 千堂武士(なにわ拳闘会)VS・・・・
同姓同名だろうかと思ったが、相手は「山田太郎」のようなありふれた名前ではない。
こんな名前、偶然などあるわけがない。しかし写真が無いので、本当に本人かは分からない。
千堂くんがボクサー?
あり得ない話ではない、と思ったが、今ひとつ実感が沸かない。
というのも、奈々に取ってボクシングという世界はあまりにも遠い世界だったからだ。
ポスターの日付を確認し、チケットの入手先をメモする。
思わず手が震える。
席に戻っても、考えるのは千堂のことばかり。
どっちが勝ったのかも全然わからない。
そんなことはもう、どうでもよかった。