LUCKY STAR
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5.ドキドキ
カチ、コチ、と時計の秒針の音が響く。
正直、全然眠れない。
背中の向こうからは、スースーと上品な寝息が聞こえてきた。
ずっと横向きで寝るのにも疲れてきた奈々は、静かに体を仰向けにした。
広い背中が、右目の視界に入る。
ちょっと手を伸ばせば届きそうな距離。
背中にしがみつくくらいなら許されるだろうか、と思いつつ。
結局は大きく波打つ背中を、ただ眺めるしか無かった。
「ん・・・」
宮田がゆっくりと体を開いて、仰向けになった。
シングルベッドでは、二人が仰向けに寝るには多少狭い。
奈々は少しベッドの端に身を寄せる感じで右肩を引き、そのまま宮田の方を向いて横になった。
横から見ると、長い睫毛がいっそう長く見える。
静かな寝息を立てて、きれいな寝顔。
思わず手を伸ばして触れたくなる。
「だめだ、これじゃ全然眠れない・・・」
こんなにドキドキするのは初めてだ。
電気を消してから30分も経ってないはず。
しかし宮田は、もうすっかり眠りに落ちているようだ。
ああ、彼は毎日全力で生きてるんだ。
こんなに早く寝ちゃえるほど。
毎日、一生懸命練習して、1人でずっとずっと、頑張ってきたんだ。
そう思うと、自分が浮ついた気持ちでここにいるのが、申し訳ない気がした。
「あんまりじろじろ見るのも失礼だよね・・・」
奈々がそう思って、宮田に背を向けようと体を返そうとした瞬間だった。
宮田が奈々の方へ寝返りを打ち、そのまま腕を奈々の体の上に重ね、抱きしめるような形になった。
奈々の目の前は、宮田の黒いスウェット1色になった。
額のあたりに、宮田の顎が当たっているのがわかる。
ち、ち、近い・・・!!!
なんだこのオイシイ展開は。
今時どんなラブコメでも見られない超展開だわ。
っていうか
どうしよう、ますます寝られない・・・・
幸せすぎて死ねる、ってこういうことかと奈々は思った。
ピピピピピピ・・・ピピピピピピ・・・・
「・・・・・」
宮田は枕元でけたたましくなる目覚ましに、無理矢理意識を引き戻された。
このうるさい目覚ましを止めなきゃと、手を伸ばそうとした瞬間、自分の手が誰かを抱きしめていたことに気がついた。
右腕にかすかなしびれを覚え、ふと視界を下げる。
「うわあああっ!!」
宮田は飛び起きたと同時に、鳴り続ける目覚ましに気づき、アラームを止めた。
目の前に寝転がる女性にしばし呆然としつつ、ようやく昨日の出来事を思い出して、深くため息をついた。
自分の驚いた声で起こしてしまったかと思ったが、奈々はそのまま小さな寝息を立てている。
宮田は颯爽とベッドからおり、毛布を奈々に掛け直してやった。
そして着替えを終え、一通りの支度ができたのか、ロードワークに出かけた。
ドアがガチャンとしまる音を聞いてから、奈々はようやく“寝た振り”を解除した。
「あんなに驚かなくてもいいじゃん・・・」
宮田がいつロードワークから戻ってきたのかはわからない。
奈々は昨晩、殆ど眠れなかったに等しい状態で朝を迎えたため、気がついたら2度寝をしていたようだ。
ようやく、宮田がこれからバイトに行くというあたりで目が覚めた。
玄関先に後ろ姿の宮田を発見し、慌ててベッドを出る。
「いってらっしゃい、一郎さん♪」
返事は無く、乾いたドアの閉まる音だけが部屋に響いた。
相変わらずの嫌われっぷりね、私。
奈々は眠い目をこすって、再びベッドに戻ろうとリビングを振り返ると、テーブルの上になにやら書き置きらしきものが置いてあるのに気がついた。
「戸締まり」
綺麗な字で一言だけ書いてあり、その横にキーホルダーも何もついていない簡素な鍵が置いてあった。
いきなり部屋に上がり込んできた女にあっさり合い鍵渡しちゃう辺り、宮田くんは意外とプレイボーイなのかな?
でも昨日、全然手ェ出してくる気配もなかったしなぁ。
彼の考えていることが全然わからない。
ただ一つ、彼は約束を律儀に果たそうとするA型男だってことは百も承知だけど。
奈々は鍵を握りしめると同時に二度寝しようとした自分を戒め、着替えをして外に出ることにした。
カチ、コチ、と時計の秒針の音が響く。
正直、全然眠れない。
背中の向こうからは、スースーと上品な寝息が聞こえてきた。
ずっと横向きで寝るのにも疲れてきた奈々は、静かに体を仰向けにした。
広い背中が、右目の視界に入る。
ちょっと手を伸ばせば届きそうな距離。
背中にしがみつくくらいなら許されるだろうか、と思いつつ。
結局は大きく波打つ背中を、ただ眺めるしか無かった。
「ん・・・」
宮田がゆっくりと体を開いて、仰向けになった。
シングルベッドでは、二人が仰向けに寝るには多少狭い。
奈々は少しベッドの端に身を寄せる感じで右肩を引き、そのまま宮田の方を向いて横になった。
横から見ると、長い睫毛がいっそう長く見える。
静かな寝息を立てて、きれいな寝顔。
思わず手を伸ばして触れたくなる。
「だめだ、これじゃ全然眠れない・・・」
こんなにドキドキするのは初めてだ。
電気を消してから30分も経ってないはず。
しかし宮田は、もうすっかり眠りに落ちているようだ。
ああ、彼は毎日全力で生きてるんだ。
こんなに早く寝ちゃえるほど。
毎日、一生懸命練習して、1人でずっとずっと、頑張ってきたんだ。
そう思うと、自分が浮ついた気持ちでここにいるのが、申し訳ない気がした。
「あんまりじろじろ見るのも失礼だよね・・・」
奈々がそう思って、宮田に背を向けようと体を返そうとした瞬間だった。
宮田が奈々の方へ寝返りを打ち、そのまま腕を奈々の体の上に重ね、抱きしめるような形になった。
奈々の目の前は、宮田の黒いスウェット1色になった。
額のあたりに、宮田の顎が当たっているのがわかる。
ち、ち、近い・・・!!!
なんだこのオイシイ展開は。
今時どんなラブコメでも見られない超展開だわ。
っていうか
どうしよう、ますます寝られない・・・・
幸せすぎて死ねる、ってこういうことかと奈々は思った。
ピピピピピピ・・・ピピピピピピ・・・・
「・・・・・」
宮田は枕元でけたたましくなる目覚ましに、無理矢理意識を引き戻された。
このうるさい目覚ましを止めなきゃと、手を伸ばそうとした瞬間、自分の手が誰かを抱きしめていたことに気がついた。
右腕にかすかなしびれを覚え、ふと視界を下げる。
「うわあああっ!!」
宮田は飛び起きたと同時に、鳴り続ける目覚ましに気づき、アラームを止めた。
目の前に寝転がる女性にしばし呆然としつつ、ようやく昨日の出来事を思い出して、深くため息をついた。
自分の驚いた声で起こしてしまったかと思ったが、奈々はそのまま小さな寝息を立てている。
宮田は颯爽とベッドからおり、毛布を奈々に掛け直してやった。
そして着替えを終え、一通りの支度ができたのか、ロードワークに出かけた。
ドアがガチャンとしまる音を聞いてから、奈々はようやく“寝た振り”を解除した。
「あんなに驚かなくてもいいじゃん・・・」
宮田がいつロードワークから戻ってきたのかはわからない。
奈々は昨晩、殆ど眠れなかったに等しい状態で朝を迎えたため、気がついたら2度寝をしていたようだ。
ようやく、宮田がこれからバイトに行くというあたりで目が覚めた。
玄関先に後ろ姿の宮田を発見し、慌ててベッドを出る。
「いってらっしゃい、一郎さん♪」
返事は無く、乾いたドアの閉まる音だけが部屋に響いた。
相変わらずの嫌われっぷりね、私。
奈々は眠い目をこすって、再びベッドに戻ろうとリビングを振り返ると、テーブルの上になにやら書き置きらしきものが置いてあるのに気がついた。
「戸締まり」
綺麗な字で一言だけ書いてあり、その横にキーホルダーも何もついていない簡素な鍵が置いてあった。
いきなり部屋に上がり込んできた女にあっさり合い鍵渡しちゃう辺り、宮田くんは意外とプレイボーイなのかな?
でも昨日、全然手ェ出してくる気配もなかったしなぁ。
彼の考えていることが全然わからない。
ただ一つ、彼は約束を律儀に果たそうとするA型男だってことは百も承知だけど。
奈々は鍵を握りしめると同時に二度寝しようとした自分を戒め、着替えをして外に出ることにした。