LUCKY STAR
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25.できねぇよ
あれから一言も、何も言わない。
そのまま、土手を散歩して帰って来た。
『今夜、アンタを抱く』
その今夜がもう、そこまで来てる。
最後のつもりで、気合を入れて作ったはずの夕飯が、喉を通らない。
一方で宮田は、相変わらずのポーカーフェイスで全てを平らげた。
「あの…お風呂…」
「あぁ…オレ先に入るよ」
「う、うん」
宮田が風呂に入っている間に、食器を片付ける。
気もそぞろだ。手が滑って食器を割ったりしないようにしなければ。
シャワーの音がここまで聞こえてくる。
『今夜、アンタを抱く』
その一言が、ずっと頭から離れない。
嫌がってたじゃない?
どうして急に…
私に、早く消えて欲しいから?
私、ずっとずっと宮田くんが欲しかったよ。
でも、こんなの嫌だよ。
消えて欲しいなんて思われて、抱かれるのは、嫌だよ。
手の甲に、ぽたりと涙が落ちる。
これから抱かれる女が、湿っぽくて情けない。
宮田からの餞別、と気安く思うには、自分は宮田が好きすぎるのかもしれない。
あんなに軽々しく考えていた体の関係が、今は重い。
奈々はブンブンと顔を振って涙をぬぐい、宮田が風呂から上がってこないうちに、何事もなかった平気な顔を作ろうとした。
最後の最後に見せる顔は、笑顔でありたかったから。
しばらくして、いつもならスウェットに着替えてから居間に戻ってくる宮田が、今日は下半身にバスタオルを巻いただけの状態で出て来た。
ああ、もう、抗えない。
奈々もさらりとシャワーを済ませ、バスタオルを一枚巻いて、リビングに戻る。
電気はすでに、薄暗い豆電球が一つ、灯っているだけになっていた。
宮田はすでにベッドに腰掛けて待機中。
その横に静かに腰を下ろす。距離は拳1個分。
宮田は奈々の腰に手を回して、体を引き寄せた。
肌と肌が、かすかに触れ合う。
そして奈々の首筋を宮田の唇が這うと、微細な痙攣が全身を襲った。
「み、宮田くん…」
ベッドに倒れこんだ奈々に、覆いかぶさるようにして、宮田は愛撫を続けた。
「あ、あの…ちょっと、待って…」
奈々の混乱を無視する宮田。
「宮田くん…ちょっと…やだ…いや…嫌だよ!!!」
「…なんだよ」
不機嫌そうに、宮田が答える。
「私、まだ言ってないの!!言う前に消えたら後悔する!!ちょっと待ってよ!!」
「言ってないって…何をだよ」
「私の気持ちだよ!」
「それなら散々聞いたぜ」
「言い足りないの!まだまだあるの!!」
「…別にもういい」
宮田は冷たい態度で、半ば強引に奈々のバスタオルを解いた。
露わになった全身を、奈々は思わず両手で隠す。
宮田は御構い無しに手を伸ばす。
体重がのしかかり、皮膚のこすれあう感覚がする。
嬉しくて幸せなはずの行為が、悲しみに変わる。
「み、み、宮田くんのバカ!!何よ!私を消し去りたいからって、そんな心無いエッチなんかしたくないよ!!早く消えて欲しいからって、ひどいよ!!」
宮田をはがすように、腕に力を入れて押し上げたが、宮田はその腕を掴んでベッドに押し付けた。
「そんなわけねぇだろ、バカ」
小さな声で、反論する。
「したいんだよ、オレが」
宮田は奈々の耳元で、呟いた。
「抱きたいんだよアンタを…なのに…」
宮田の唇は、奈々の唇の前まで来て、止まる。
「キスしたら、消えちまう気がして」
宮田の吐息だけが、唇をかすめて、消える。
「できねぇよ」
宮田はそのまま、奈々に覆いかぶさるようにして、抱きしめた。
あれから一言も、何も言わない。
そのまま、土手を散歩して帰って来た。
『今夜、アンタを抱く』
その今夜がもう、そこまで来てる。
最後のつもりで、気合を入れて作ったはずの夕飯が、喉を通らない。
一方で宮田は、相変わらずのポーカーフェイスで全てを平らげた。
「あの…お風呂…」
「あぁ…オレ先に入るよ」
「う、うん」
宮田が風呂に入っている間に、食器を片付ける。
気もそぞろだ。手が滑って食器を割ったりしないようにしなければ。
シャワーの音がここまで聞こえてくる。
『今夜、アンタを抱く』
その一言が、ずっと頭から離れない。
嫌がってたじゃない?
どうして急に…
私に、早く消えて欲しいから?
私、ずっとずっと宮田くんが欲しかったよ。
でも、こんなの嫌だよ。
消えて欲しいなんて思われて、抱かれるのは、嫌だよ。
手の甲に、ぽたりと涙が落ちる。
これから抱かれる女が、湿っぽくて情けない。
宮田からの餞別、と気安く思うには、自分は宮田が好きすぎるのかもしれない。
あんなに軽々しく考えていた体の関係が、今は重い。
奈々はブンブンと顔を振って涙をぬぐい、宮田が風呂から上がってこないうちに、何事もなかった平気な顔を作ろうとした。
最後の最後に見せる顔は、笑顔でありたかったから。
しばらくして、いつもならスウェットに着替えてから居間に戻ってくる宮田が、今日は下半身にバスタオルを巻いただけの状態で出て来た。
ああ、もう、抗えない。
奈々もさらりとシャワーを済ませ、バスタオルを一枚巻いて、リビングに戻る。
電気はすでに、薄暗い豆電球が一つ、灯っているだけになっていた。
宮田はすでにベッドに腰掛けて待機中。
その横に静かに腰を下ろす。距離は拳1個分。
宮田は奈々の腰に手を回して、体を引き寄せた。
肌と肌が、かすかに触れ合う。
そして奈々の首筋を宮田の唇が這うと、微細な痙攣が全身を襲った。
「み、宮田くん…」
ベッドに倒れこんだ奈々に、覆いかぶさるようにして、宮田は愛撫を続けた。
「あ、あの…ちょっと、待って…」
奈々の混乱を無視する宮田。
「宮田くん…ちょっと…やだ…いや…嫌だよ!!!」
「…なんだよ」
不機嫌そうに、宮田が答える。
「私、まだ言ってないの!!言う前に消えたら後悔する!!ちょっと待ってよ!!」
「言ってないって…何をだよ」
「私の気持ちだよ!」
「それなら散々聞いたぜ」
「言い足りないの!まだまだあるの!!」
「…別にもういい」
宮田は冷たい態度で、半ば強引に奈々のバスタオルを解いた。
露わになった全身を、奈々は思わず両手で隠す。
宮田は御構い無しに手を伸ばす。
体重がのしかかり、皮膚のこすれあう感覚がする。
嬉しくて幸せなはずの行為が、悲しみに変わる。
「み、み、宮田くんのバカ!!何よ!私を消し去りたいからって、そんな心無いエッチなんかしたくないよ!!早く消えて欲しいからって、ひどいよ!!」
宮田をはがすように、腕に力を入れて押し上げたが、宮田はその腕を掴んでベッドに押し付けた。
「そんなわけねぇだろ、バカ」
小さな声で、反論する。
「したいんだよ、オレが」
宮田は奈々の耳元で、呟いた。
「抱きたいんだよアンタを…なのに…」
宮田の唇は、奈々の唇の前まで来て、止まる。
「キスしたら、消えちまう気がして」
宮田の吐息だけが、唇をかすめて、消える。
「できねぇよ」
宮田はそのまま、奈々に覆いかぶさるようにして、抱きしめた。