LUCKY STAR
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23.自分勝手
「嫌だね」
と思わず口に出した自分に驚いた。
ロードワーク中にも、思い出すのは奈々のことばかり。
走っても走っても、頭の中から消えていかない。
結ばれたら消える?
ふざけるな。
結ばれて消えちまったら…
残された方はどうなる?
今日はジムワークの後、今後の展望などを父親や会長などと話し合っていたため、いつもより帰宅時間が遅くなった。
時計を見るともう22時を回っていて、いつもなら寝る時間だ。
そして気がつくと、早足で歩く自分がいた。
なにを急いでいる??
あの日。
うっすらと消えかけた体を触ろうとして触れなかった時に…
アイツの言う「消える」が、「家に帰る」という意味ではないということが、分かった。
本当に「消える」んだ。
日に日に、存在が朧げになっていくのは気づいてた。
見ないふりをしていた。
何も感じていないふりをした。
オレがアイツのことを考えるだけで…
どんどん消えていく気がしたからだ。
「ただいま」
ドアを開けようとしたら、鍵がかかっていて開かない。
普段は自分が帰る時間を見計らって、奈々が鍵を開けていてくれることが多いのだが。
なんだか嫌な予感がしつつ、ポケットから鍵を取り出してドアを開けると、案の定、家の中の電気が消えていた。
いつもなら、中から「おかえりなさい」という奈々の声が聞こえるはずなのに。
しん、という静寂のほかに何もない。
靴すら脱げずに、しばし立ちすくむ。
暗闇の中から、「びっくりした~?」なんてバカな笑い声を立てて出て来たりしそうだ、アイツならやりかねない、そういう予想もした。
しかし、いくら待っても、電気はつかないし、誰も出てこない。
「…どこ行ったんだよ、アイツ…」
ぐっと握りしめた拳が、熱くなる。
余計だと思っていたのに
うっとおしかったはずなのに
「あ。帰ってきたの?」
突然、後ろから素っ頓狂な声が聞こえた。
「ごめん、お砂糖切らしちゃって。そこのコンビニに買いに行ってた」
カサ…と小さいビニールの音。
「帰ってくるの待ってたんだけど、今日は遅いみたいだったから。待ちきれなくて。入れ違いになっちゃっ…」
宮田は振り返らずに、拳を固めたままだ。
話の途中で、宮田の殺気じみたオーラに気づいた奈々は、思わず口をつぐんだ。
「…待ってろって言ったろ」
「ご、ごめ…」
「何で居ないんだよ」
「お、お砂糖…」
「バカ野郎」
宮田はふぅっとため息をついて、靴を脱ぎ部屋に上がった。奈々もそれに続く。
お互いにそれぞれ、服を着替えたり調味料を揃えたり、忙しくする。
スウェットに袖を通しながら、宮田が呟いた。
「自分勝手にも程があるだろ」
宮田は不機嫌そうに、ベッドに背を預けて床に座った。片膝を立てて、少しうなだれる。
「宮田くん、怒ってるの?」
「ああ」
「どうして」
「知らねぇよ」
宮田はムッとした表情で立ち上がり、洗面所へ消えた。
宮田くんが怒っている。
どうして?
何が自分勝手だって?
いなくなって、せいせいしたと思ったのに、
再び現れて、残念だった?
消えるとか言いながら、お砂糖なんか補充して。
いつまで居座ってるんだ、と思ってるんだろうな……
私は宮田くんの邪魔をしている。
応援したかったはずの人の、邪魔をしている。
私が一番したくないことを、している。
もう、消えないと。
どうやらタイムリミットがあるらしいラッキースター。
薄まっていく自分の存在。
なのにどうして消えないの?
わかってる。
私は心の奥底では・・・
それでもやっぱりそばにいたい。
それでもやっぱり結ばれたい。
宮田くんの言う通り、私は自分勝手だ・・・
「嫌だね」
と思わず口に出した自分に驚いた。
ロードワーク中にも、思い出すのは奈々のことばかり。
走っても走っても、頭の中から消えていかない。
結ばれたら消える?
ふざけるな。
結ばれて消えちまったら…
残された方はどうなる?
今日はジムワークの後、今後の展望などを父親や会長などと話し合っていたため、いつもより帰宅時間が遅くなった。
時計を見るともう22時を回っていて、いつもなら寝る時間だ。
そして気がつくと、早足で歩く自分がいた。
なにを急いでいる??
あの日。
うっすらと消えかけた体を触ろうとして触れなかった時に…
アイツの言う「消える」が、「家に帰る」という意味ではないということが、分かった。
本当に「消える」んだ。
日に日に、存在が朧げになっていくのは気づいてた。
見ないふりをしていた。
何も感じていないふりをした。
オレがアイツのことを考えるだけで…
どんどん消えていく気がしたからだ。
「ただいま」
ドアを開けようとしたら、鍵がかかっていて開かない。
普段は自分が帰る時間を見計らって、奈々が鍵を開けていてくれることが多いのだが。
なんだか嫌な予感がしつつ、ポケットから鍵を取り出してドアを開けると、案の定、家の中の電気が消えていた。
いつもなら、中から「おかえりなさい」という奈々の声が聞こえるはずなのに。
しん、という静寂のほかに何もない。
靴すら脱げずに、しばし立ちすくむ。
暗闇の中から、「びっくりした~?」なんてバカな笑い声を立てて出て来たりしそうだ、アイツならやりかねない、そういう予想もした。
しかし、いくら待っても、電気はつかないし、誰も出てこない。
「…どこ行ったんだよ、アイツ…」
ぐっと握りしめた拳が、熱くなる。
余計だと思っていたのに
うっとおしかったはずなのに
「あ。帰ってきたの?」
突然、後ろから素っ頓狂な声が聞こえた。
「ごめん、お砂糖切らしちゃって。そこのコンビニに買いに行ってた」
カサ…と小さいビニールの音。
「帰ってくるの待ってたんだけど、今日は遅いみたいだったから。待ちきれなくて。入れ違いになっちゃっ…」
宮田は振り返らずに、拳を固めたままだ。
話の途中で、宮田の殺気じみたオーラに気づいた奈々は、思わず口をつぐんだ。
「…待ってろって言ったろ」
「ご、ごめ…」
「何で居ないんだよ」
「お、お砂糖…」
「バカ野郎」
宮田はふぅっとため息をついて、靴を脱ぎ部屋に上がった。奈々もそれに続く。
お互いにそれぞれ、服を着替えたり調味料を揃えたり、忙しくする。
スウェットに袖を通しながら、宮田が呟いた。
「自分勝手にも程があるだろ」
宮田は不機嫌そうに、ベッドに背を預けて床に座った。片膝を立てて、少しうなだれる。
「宮田くん、怒ってるの?」
「ああ」
「どうして」
「知らねぇよ」
宮田はムッとした表情で立ち上がり、洗面所へ消えた。
宮田くんが怒っている。
どうして?
何が自分勝手だって?
いなくなって、せいせいしたと思ったのに、
再び現れて、残念だった?
消えるとか言いながら、お砂糖なんか補充して。
いつまで居座ってるんだ、と思ってるんだろうな……
私は宮田くんの邪魔をしている。
応援したかったはずの人の、邪魔をしている。
私が一番したくないことを、している。
もう、消えないと。
どうやらタイムリミットがあるらしいラッキースター。
薄まっていく自分の存在。
なのにどうして消えないの?
わかってる。
私は心の奥底では・・・
それでもやっぱりそばにいたい。
それでもやっぱり結ばれたい。
宮田くんの言う通り、私は自分勝手だ・・・