LUCKY STAR
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19.消えゆく体
「ただいま」
宮田が早朝ロードワークを終え帰宅すると、奈々はベッドの上に伏せていた。
消えるかもとか言いながら二度寝か、と宮田は半分呆れながら、ジャージを脱ぐ。シャワーを浴びて、バイトに出る準備を整える。
いつもなら、「あ、おかえり…」と寝ぼけた声で起きてくる奈々だが、今日はずっとベッドに伏せたまま動かない。
何のサプライズか知らないが、起こすのも癪だと宮田は思って、そのまま無視をし続ける。
「じゃ、オレ行くから」
奈々の背中に向かって発した言葉は、そのままベッドに吸収されたように、何の変化もなく消えていった。
あまりの無反応さに、宮田は流石に不審に思って、ベッドに腰掛けて奈々の様子を伺った。
「おい」
返事がない。
「…大丈夫か?」
返事がない。
「どうした?」
宮田が奈々の背中に手をかけようとした瞬間だった。
ふっと、ホログラム映像を触ったみたいに、感触が空を切った。
「…なんだ…これ…?」
奈々の体から、下に敷かれてる掛け布団の柄が透けて見える。
「おい、どうしたんだよ!!おい!!」
「え?なに?」
奈々の素っ頓狂な返事に、宮田は安堵するどころか、逆にうろたえた。
先ほど空を切ったはずの感触はどこかへ行き、今はしっかりと奈々の両腕を掴んでいる感覚がわかる。
「アンタ、今…」
「ご、ごめん、寝ちゃってた」
「いや…そうじゃねぇ…」
おぼろげに見えた奈々の輪郭が、今はハッキリと見えている。
先ほど見たものは何だったのか、宮田の頭はひどく混乱した。
『私、もうすぐいなくなると思う』
その言葉がギクリと頭をよぎる。
あの他人事のような言い草は、決して適当に言ったわけではなく、何かしらの事情があってのことだったのか…?
宮田はチラリと時計を見て、軽く舌打ちした。
考えている時間が、ない。
「…まぁ、いい。行ってくる。家で待ってろよ」
「え。あ、バイト?もうそんな時間?行ってらっしゃい!」
今しがた起きたことなど、全く何一つ知らない気の抜けた笑顔で奈々は手を振っている。
宮田はいつもと変わらず、気難しい顔をしながら、家を出た。
「ただいま」
宮田が早朝ロードワークを終え帰宅すると、奈々はベッドの上に伏せていた。
消えるかもとか言いながら二度寝か、と宮田は半分呆れながら、ジャージを脱ぐ。シャワーを浴びて、バイトに出る準備を整える。
いつもなら、「あ、おかえり…」と寝ぼけた声で起きてくる奈々だが、今日はずっとベッドに伏せたまま動かない。
何のサプライズか知らないが、起こすのも癪だと宮田は思って、そのまま無視をし続ける。
「じゃ、オレ行くから」
奈々の背中に向かって発した言葉は、そのままベッドに吸収されたように、何の変化もなく消えていった。
あまりの無反応さに、宮田は流石に不審に思って、ベッドに腰掛けて奈々の様子を伺った。
「おい」
返事がない。
「…大丈夫か?」
返事がない。
「どうした?」
宮田が奈々の背中に手をかけようとした瞬間だった。
ふっと、ホログラム映像を触ったみたいに、感触が空を切った。
「…なんだ…これ…?」
奈々の体から、下に敷かれてる掛け布団の柄が透けて見える。
「おい、どうしたんだよ!!おい!!」
「え?なに?」
奈々の素っ頓狂な返事に、宮田は安堵するどころか、逆にうろたえた。
先ほど空を切ったはずの感触はどこかへ行き、今はしっかりと奈々の両腕を掴んでいる感覚がわかる。
「アンタ、今…」
「ご、ごめん、寝ちゃってた」
「いや…そうじゃねぇ…」
おぼろげに見えた奈々の輪郭が、今はハッキリと見えている。
先ほど見たものは何だったのか、宮田の頭はひどく混乱した。
『私、もうすぐいなくなると思う』
その言葉がギクリと頭をよぎる。
あの他人事のような言い草は、決して適当に言ったわけではなく、何かしらの事情があってのことだったのか…?
宮田はチラリと時計を見て、軽く舌打ちした。
考えている時間が、ない。
「…まぁ、いい。行ってくる。家で待ってろよ」
「え。あ、バイト?もうそんな時間?行ってらっしゃい!」
今しがた起きたことなど、全く何一つ知らない気の抜けた笑顔で奈々は手を振っている。
宮田はいつもと変わらず、気難しい顔をしながら、家を出た。