LUCKY STAR
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16.一瞬の忘却の結果
「あ…寝ちまったのか」
自分の頭の重さで首がしなり、その反動で目を覚ました宮田は、夢うつつの意識からまだ完全に覚めないでいた。
「痛ッ…クソ、さすがに今日は重いぜ」
そういえばまだ歯も磨いていなかった、と思い出した宮田は、すっくと立ち上がり、そのまま洗面所へと向かった。
洗面所の前で手をつき、鏡を見る。
冴えない、やつれた顔の男が映る。
今日受けたダメージを、ありありと伝えてくれる、嘘のない鏡だ。
歯ブラシに手を伸ばそうとした瞬間だった。
ガラガラ、とプラスチックな音が左側から聞こえて来たと同時に、目に飛び込んだのは…
全裸の女。
「あ」
どちらが発した言葉なのかわからない。
乾いた驚嘆が一瞬だけ通りすぎる。
お互いに、お互いの存在を、一瞬忘れていた結果だけが残る。
「あ!ぎゃ!あの、ごめんなさいっ!!!」
「いや、オレも…すまない」
奈々は扉を叩きつける勢いで閉じ、宮田はくるりと目を背けて、洗面所を後にした。
な、な、な、なんというラッキースケベ…
まさか宮田くんがもう起きていたとは…
今、完全に見られたんじゃないでしょうか、私の全てを…!
なんですかこのありがちなラブコメ展開は…!
もはや誰も見ていないというのに、奈々は風呂場にうずくまって体を隠しながら頭を抱えていた。
扉の向こう(すでに居ないのは気配でわかっているが)の宮田は一体どんな顔をしているのだろう…
そして私は今、どんな顔をしているのだろう…
私の今の気持ちは…恥ずかしい?それとも裸を見られて嬉しい…?
まさか、そんな変態的な表情を見せるわけにはいかない…
奈々は、Cの方向へ蛇口を回して、火照りを鎮めるようにシャワーを浴びた。
そろり、そろりと居間を確認する。
宮田はベッドにもたれて、雑誌を読んでいた。
「あ、あの、シャワー…終わったから」
「あぁ…」
宮田は目を合わせようとせず、そのまま洗面所へ消えていった。
歯を磨く音が聞こえてくる。
何事もなかったことを一生懸命強調したい音に聞こえる。
「じゃ、オレもう寝るから…」
「う、うん。おやすみ…私も寝るね」
転がり込んでからずっと、同じベッドで二人で寝ていたわけで…
今日も当然、二人並んで寝る。
肩がぶつかる距離のシングルベッド。
私は床で寝てもいいのに、宮田くんがそれを許さず。
宮田くんも床でいいというのに、私がそれを許さない結果。
「何かが起きるわけでもない」という暗黙のルール。
宮田と同時にベッドに入る。
宮田は体を横にして、壁際に張り付くように距離を取る。
奈々も遠慮して、宮田とは逆方向に体を向けるが、なかなか寝付けない。
チッチッ…という、目覚まし時計の秒針の音が、やたら響く。
いつもなら、すぐに聞こえるはずの宮田の寝息が、聞こえない。
まだ寝付けていないんだろう。
しばらくして宮田は、天井を向くように体の向きを変えた。
そして…
「…走ってくる」
突如、体を起こして、テーブルの上に無造作に投げてあった家の鍵を持って、玄関へ向かった。
「え?今から?」
「あぁ」
「ど、どうしたの」
靴を履きながら宮田は、こちらに顔すら向けずに呟いた。
「眠れるかよ」
バタン、と扉の閉まる音がやけに小さく、余韻も残さずに消えた。
「あ…寝ちまったのか」
自分の頭の重さで首がしなり、その反動で目を覚ました宮田は、夢うつつの意識からまだ完全に覚めないでいた。
「痛ッ…クソ、さすがに今日は重いぜ」
そういえばまだ歯も磨いていなかった、と思い出した宮田は、すっくと立ち上がり、そのまま洗面所へと向かった。
洗面所の前で手をつき、鏡を見る。
冴えない、やつれた顔の男が映る。
今日受けたダメージを、ありありと伝えてくれる、嘘のない鏡だ。
歯ブラシに手を伸ばそうとした瞬間だった。
ガラガラ、とプラスチックな音が左側から聞こえて来たと同時に、目に飛び込んだのは…
全裸の女。
「あ」
どちらが発した言葉なのかわからない。
乾いた驚嘆が一瞬だけ通りすぎる。
お互いに、お互いの存在を、一瞬忘れていた結果だけが残る。
「あ!ぎゃ!あの、ごめんなさいっ!!!」
「いや、オレも…すまない」
奈々は扉を叩きつける勢いで閉じ、宮田はくるりと目を背けて、洗面所を後にした。
な、な、な、なんというラッキースケベ…
まさか宮田くんがもう起きていたとは…
今、完全に見られたんじゃないでしょうか、私の全てを…!
なんですかこのありがちなラブコメ展開は…!
もはや誰も見ていないというのに、奈々は風呂場にうずくまって体を隠しながら頭を抱えていた。
扉の向こう(すでに居ないのは気配でわかっているが)の宮田は一体どんな顔をしているのだろう…
そして私は今、どんな顔をしているのだろう…
私の今の気持ちは…恥ずかしい?それとも裸を見られて嬉しい…?
まさか、そんな変態的な表情を見せるわけにはいかない…
奈々は、Cの方向へ蛇口を回して、火照りを鎮めるようにシャワーを浴びた。
そろり、そろりと居間を確認する。
宮田はベッドにもたれて、雑誌を読んでいた。
「あ、あの、シャワー…終わったから」
「あぁ…」
宮田は目を合わせようとせず、そのまま洗面所へ消えていった。
歯を磨く音が聞こえてくる。
何事もなかったことを一生懸命強調したい音に聞こえる。
「じゃ、オレもう寝るから…」
「う、うん。おやすみ…私も寝るね」
転がり込んでからずっと、同じベッドで二人で寝ていたわけで…
今日も当然、二人並んで寝る。
肩がぶつかる距離のシングルベッド。
私は床で寝てもいいのに、宮田くんがそれを許さず。
宮田くんも床でいいというのに、私がそれを許さない結果。
「何かが起きるわけでもない」という暗黙のルール。
宮田と同時にベッドに入る。
宮田は体を横にして、壁際に張り付くように距離を取る。
奈々も遠慮して、宮田とは逆方向に体を向けるが、なかなか寝付けない。
チッチッ…という、目覚まし時計の秒針の音が、やたら響く。
いつもなら、すぐに聞こえるはずの宮田の寝息が、聞こえない。
まだ寝付けていないんだろう。
しばらくして宮田は、天井を向くように体の向きを変えた。
そして…
「…走ってくる」
突如、体を起こして、テーブルの上に無造作に投げてあった家の鍵を持って、玄関へ向かった。
「え?今から?」
「あぁ」
「ど、どうしたの」
靴を履きながら宮田は、こちらに顔すら向けずに呟いた。
「眠れるかよ」
バタン、と扉の閉まる音がやけに小さく、余韻も残さずに消えた。