LUCKY STAR
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11.とぼけた声もステキ
「いってらっしゃい」
「…ああ」
アルバイトへ出かける宮田を見送る。もうここに来て何日経ったかは忘れたが、最初は無視を決め込んでいた宮田も最近では少し返事をするようになって来た。
「なんか新婚みたい」
ウフ、とゲスな笑いの一つも溢れそうになる。
宮田の服を洗濯して、宮田の部屋を掃除して、宮田のためにスーパーに買い物に行き、宮田のためにご飯を作る毎日。
それにしても、現実よりも、時間の過ぎるのが早い気がする。気がつくと、もう宮田の帰ってくる時間になっていた。
「おかえりなさい」
「…ああ」
しん、と静まり返る部屋の中。一人の時よりも、もっと静かに感じるのは、ジムワークを終えクタクタの宮田が醸し出す「構うな」オーラのせいだろうか。
宮田は黙って、奈々が用意した食事を食べ始めた。奈々はなるべく邪魔しないように、テレビを見ながら距離を取る。
「あのよ」
珍しく宮田が口を開いた。
「なに?」
「…話がある」
「…話?」
「ああ」
食事を終えた宮田が、キッチンへ食器を片付けに行き、戻って来て奈々が座るベッドの横に腰掛けた。
拳一つ分の距離。
一緒に住んでしばらく経つのに、今更どきりと心臓が高鳴る。
宮田が少し動くたびに、ベッドが軋む音がかすかに漏れ、奈々の腰掛ける重心は定まらずに揺れ動く。
「アンタさ」
「う、うん…」
じいっと奈々の目を見つめて、宮田は黙った。長い睫毛の間から電灯の光が溢れて、奈々は金縛りにあったように体が動かなくなった。
「目的はなんなんだ?」
「…え?」
「ここにいる、目的」
獲物を捕らえるような鋭い目つき。
目をそらせないほどに、心に刺さってくる。
「家出じゃないんだろ、本当は」
「…」
「オレに…どうしてほしいんだ」
どうしてほしい…って言われても…
奈々は、どう答えたらいいのかわからず、ただ宮田の目を見つめ返すほかなかった。
ギシ、とベッドが音を立てる。
宮田の重心が少し、奈々の方へ向いた音だ。
「アンタがここにずっといると、正直困る」
「…わかってる」
「どうするつもりなのか、教えてくれ」
ああ、宮田くんは本当に優しい。
こんな得体の知れない家出女…警察に突き出すとか、野に放つとか、いくらでもできるだろうに。
「あのね、宮田くん…」
「なんだ」
「私ね、宮田くんが好きなの」
「………ああ」
拍子抜けしたような声で、間をおいて返事をする宮田。
「大好きなの」
「…わかったよ」
「だからね…宮田くんと結ばれたい」
「む………はぁ???」
自分でもわかってた、今のは最高に気持ち悪い一言だって。
でもだからって、そんな素っ頓狂なリアクションしなくても。
「いってらっしゃい」
「…ああ」
アルバイトへ出かける宮田を見送る。もうここに来て何日経ったかは忘れたが、最初は無視を決め込んでいた宮田も最近では少し返事をするようになって来た。
「なんか新婚みたい」
ウフ、とゲスな笑いの一つも溢れそうになる。
宮田の服を洗濯して、宮田の部屋を掃除して、宮田のためにスーパーに買い物に行き、宮田のためにご飯を作る毎日。
それにしても、現実よりも、時間の過ぎるのが早い気がする。気がつくと、もう宮田の帰ってくる時間になっていた。
「おかえりなさい」
「…ああ」
しん、と静まり返る部屋の中。一人の時よりも、もっと静かに感じるのは、ジムワークを終えクタクタの宮田が醸し出す「構うな」オーラのせいだろうか。
宮田は黙って、奈々が用意した食事を食べ始めた。奈々はなるべく邪魔しないように、テレビを見ながら距離を取る。
「あのよ」
珍しく宮田が口を開いた。
「なに?」
「…話がある」
「…話?」
「ああ」
食事を終えた宮田が、キッチンへ食器を片付けに行き、戻って来て奈々が座るベッドの横に腰掛けた。
拳一つ分の距離。
一緒に住んでしばらく経つのに、今更どきりと心臓が高鳴る。
宮田が少し動くたびに、ベッドが軋む音がかすかに漏れ、奈々の腰掛ける重心は定まらずに揺れ動く。
「アンタさ」
「う、うん…」
じいっと奈々の目を見つめて、宮田は黙った。長い睫毛の間から電灯の光が溢れて、奈々は金縛りにあったように体が動かなくなった。
「目的はなんなんだ?」
「…え?」
「ここにいる、目的」
獲物を捕らえるような鋭い目つき。
目をそらせないほどに、心に刺さってくる。
「家出じゃないんだろ、本当は」
「…」
「オレに…どうしてほしいんだ」
どうしてほしい…って言われても…
奈々は、どう答えたらいいのかわからず、ただ宮田の目を見つめ返すほかなかった。
ギシ、とベッドが音を立てる。
宮田の重心が少し、奈々の方へ向いた音だ。
「アンタがここにずっといると、正直困る」
「…わかってる」
「どうするつもりなのか、教えてくれ」
ああ、宮田くんは本当に優しい。
こんな得体の知れない家出女…警察に突き出すとか、野に放つとか、いくらでもできるだろうに。
「あのね、宮田くん…」
「なんだ」
「私ね、宮田くんが好きなの」
「………ああ」
拍子抜けしたような声で、間をおいて返事をする宮田。
「大好きなの」
「…わかったよ」
「だからね…宮田くんと結ばれたい」
「む………はぁ???」
自分でもわかってた、今のは最高に気持ち悪い一言だって。
でもだからって、そんな素っ頓狂なリアクションしなくても。