LUCKY STAR
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10.返品
あれから数日。
奈々は相変わらず飯村の部屋に厄介になっていた。
毎日が寝るだけの生活。
寝たくないのに体が言う事を聞かない。
飯村が起きて、会社に行ってからの記憶が無い。
夜遅く帰って来て、話しをして、また寝る。
漫画のシーンのように、何も無い部分が飛ばされているような感じだ。
「さて、そろそろね」
いつもの晩、飯村がカレンダーを見てつぶやいた。
「そろそろって?」
「あなたを返すタイミングよ」
「え?」
飯村は手元の紅茶に口を付けて、微笑んだ。
「明日から私、出張なの。だからその口実であなたを返すわ」
飯村に呼び出された宮田は、明らかに不機嫌な顔をしていた。
見たくもない女が目の前に居る、という現実。
「というわけで、しばらく家を空けるから、この子を置いておけなくて。ごめんね?また帰って来たら預かるわよ。しばらく我慢して」
「元はと言えば、オレが頼んだことですから・・・」
丁寧な社交辞令にも笑みのひとつこぼさない。
ちらりとこちらを見たときの、あの鋭いまなざしに身がすくむ思いだ。
宮田の背中を眺めながらの帰り道。
相変わらずひと言も話さない。
「あ、あの・・・宮田くん」
話しかけても無視。
無言の抗議とはこういうことを言うのだろう。
家に着いたら、前より少し散らかった部屋が目に入った。
奈々が居座っていた数日は、奈々が暇に任せてこまめに掃除をしていたせいもあって、結構小綺麗だったのだが。
「ジム行ってくるから。アンタは家から出るな」
家に着いた途端、またすぐに部屋を飛び出した宮田。
大きなカバンを抱えて、こちらに目もくれずドアを飛び出した。
さすがに。さすがに。堪える。
好きな人にココまで嫌われなきゃいけないなんて。
そりゃ私たちの間には絆なんて産まれようもないシチュエーションですけど。
このままだと、真理さんとくっつきそうなフラグしか立ってないけど。
私だっていつ消えてもおかしくないんだからね!?
あとで好きになったって後悔すんなよ?
なんていいながら、奈々は手元の枕をドアに向かって投げた。
夜、宮田が帰宅すると、目に飛び込んで来たのは綺麗になった部屋と、テーブルに置かれた食事と、ベッドで寝入る奈々の姿だった。
暇に任せて掃除してくれたんだろう、と思いつつ、バッグを床に置いて腰掛ける。
すぐ寝るには時間はまだ早い。
読みかけの雑誌をパラパラとめくりながら、テーブルの上にある食事に手をつけた。
意外と、うまいな・・・
すぅ、すぅと聞こえるささやかな寝息。
誰かの居る気配。
数日間は無かったこの気配。
小さい頃から一人きりで居るのは慣れている。
だからこそ、誰かがそばにいる感覚の心地よさも、よく知っている。
相手が誰であれそう思うか?
と一瞬考えて…ちらりと奈々の方を見やる。
目にうっすらと、涙のあとのようなものが見える。
奈々がどこから何しに来たのか、さっぱり検討もつかないが。
何か悪さをしたわけでもなく、律儀に掃除したり食事を作ったり。
新しいペットを飼ったと思えば気が楽かもしれないなんて、失礼な事を考えたりした。
あれから数日。
奈々は相変わらず飯村の部屋に厄介になっていた。
毎日が寝るだけの生活。
寝たくないのに体が言う事を聞かない。
飯村が起きて、会社に行ってからの記憶が無い。
夜遅く帰って来て、話しをして、また寝る。
漫画のシーンのように、何も無い部分が飛ばされているような感じだ。
「さて、そろそろね」
いつもの晩、飯村がカレンダーを見てつぶやいた。
「そろそろって?」
「あなたを返すタイミングよ」
「え?」
飯村は手元の紅茶に口を付けて、微笑んだ。
「明日から私、出張なの。だからその口実であなたを返すわ」
飯村に呼び出された宮田は、明らかに不機嫌な顔をしていた。
見たくもない女が目の前に居る、という現実。
「というわけで、しばらく家を空けるから、この子を置いておけなくて。ごめんね?また帰って来たら預かるわよ。しばらく我慢して」
「元はと言えば、オレが頼んだことですから・・・」
丁寧な社交辞令にも笑みのひとつこぼさない。
ちらりとこちらを見たときの、あの鋭いまなざしに身がすくむ思いだ。
宮田の背中を眺めながらの帰り道。
相変わらずひと言も話さない。
「あ、あの・・・宮田くん」
話しかけても無視。
無言の抗議とはこういうことを言うのだろう。
家に着いたら、前より少し散らかった部屋が目に入った。
奈々が居座っていた数日は、奈々が暇に任せてこまめに掃除をしていたせいもあって、結構小綺麗だったのだが。
「ジム行ってくるから。アンタは家から出るな」
家に着いた途端、またすぐに部屋を飛び出した宮田。
大きなカバンを抱えて、こちらに目もくれずドアを飛び出した。
さすがに。さすがに。堪える。
好きな人にココまで嫌われなきゃいけないなんて。
そりゃ私たちの間には絆なんて産まれようもないシチュエーションですけど。
このままだと、真理さんとくっつきそうなフラグしか立ってないけど。
私だっていつ消えてもおかしくないんだからね!?
あとで好きになったって後悔すんなよ?
なんていいながら、奈々は手元の枕をドアに向かって投げた。
夜、宮田が帰宅すると、目に飛び込んで来たのは綺麗になった部屋と、テーブルに置かれた食事と、ベッドで寝入る奈々の姿だった。
暇に任せて掃除してくれたんだろう、と思いつつ、バッグを床に置いて腰掛ける。
すぐ寝るには時間はまだ早い。
読みかけの雑誌をパラパラとめくりながら、テーブルの上にある食事に手をつけた。
意外と、うまいな・・・
すぅ、すぅと聞こえるささやかな寝息。
誰かの居る気配。
数日間は無かったこの気配。
小さい頃から一人きりで居るのは慣れている。
だからこそ、誰かがそばにいる感覚の心地よさも、よく知っている。
相手が誰であれそう思うか?
と一瞬考えて…ちらりと奈々の方を見やる。
目にうっすらと、涙のあとのようなものが見える。
奈々がどこから何しに来たのか、さっぱり検討もつかないが。
何か悪さをしたわけでもなく、律儀に掃除したり食事を作ったり。
新しいペットを飼ったと思えば気が楽かもしれないなんて、失礼な事を考えたりした。