HEKIREKI
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水をかけられて目を覚ますと、何人ものジムメイトやコーチが上から顔を覗かせていた。
そして、自分はあっけなくKOされて失神していたことを知る。
「あ・・・もう1R・・・」
「失神しといて良い根性してんなお前は。体、起こせるか?」
コーチの肩を借りて、ようやく体を起こす。
リング上にはすでに、宮田の姿はなかった。
1発だけ当たったボディーブローは、「当てさせられた」というか「受けてもらった」に等しい代物。
相手はOPBF王者で、力の差は歴然。
当然の結果にも関わらず、悔しさが募る。
………悔しい?
宮田さんに憧れて始めたボクシング……
プロにすらなっておきながら、今更ようやく、そんな感情を知るなんて。
「俺・・・甘かったっすね・・・」
「ん?どうした高杉?」
「いえ・・・」
もう、遅い。
けど……これでいい。
ふらふらとリングサイドへ歩いて行き、そして中央に向かって深々と頭を垂れる。
もうそこにはいない、雷神の影に敬意を表するように。
「お世話になりました」
入り口の前で、改めて頭を下げると、ジムメイトやコーチ陣が次々に口を開いた。
「なんかお前がいなくなると、妙に寂しくなるな」
「たまには遊びに来いよ」
「宮田さんの祝勝会には、お前ん家の酒を頼むからな!」
春樹はありがとうございます、とまたペコペコ頭を下げる。
そしてさりげなく周囲を見渡したが、宮田の姿はない。
こう言う時に集まって来て何かを言うような人ではないとわかってはいたが、それでも何か寂しい気持ちは隠せなかった。
ジムのドアを閉めて帰路につく。
1年ほど通った道も、今日で最後。
少し歩調を緩めて、ブラブラと散歩のように歩く。
ジムを出て5分もしないうちに、前から走ってくる人影が見えた。
ロードワークに行っていた宮田が帰ってくるところらしい。
思うより先に口が出る。
「み、宮田さん!」
宮田は声の主に気がついてチラリとこちらを見、それから春樹の少し手前で止まった。
そして、自分はあっけなくKOされて失神していたことを知る。
「あ・・・もう1R・・・」
「失神しといて良い根性してんなお前は。体、起こせるか?」
コーチの肩を借りて、ようやく体を起こす。
リング上にはすでに、宮田の姿はなかった。
1発だけ当たったボディーブローは、「当てさせられた」というか「受けてもらった」に等しい代物。
相手はOPBF王者で、力の差は歴然。
当然の結果にも関わらず、悔しさが募る。
………悔しい?
宮田さんに憧れて始めたボクシング……
プロにすらなっておきながら、今更ようやく、そんな感情を知るなんて。
「俺・・・甘かったっすね・・・」
「ん?どうした高杉?」
「いえ・・・」
もう、遅い。
けど……これでいい。
ふらふらとリングサイドへ歩いて行き、そして中央に向かって深々と頭を垂れる。
もうそこにはいない、雷神の影に敬意を表するように。
「お世話になりました」
入り口の前で、改めて頭を下げると、ジムメイトやコーチ陣が次々に口を開いた。
「なんかお前がいなくなると、妙に寂しくなるな」
「たまには遊びに来いよ」
「宮田さんの祝勝会には、お前ん家の酒を頼むからな!」
春樹はありがとうございます、とまたペコペコ頭を下げる。
そしてさりげなく周囲を見渡したが、宮田の姿はない。
こう言う時に集まって来て何かを言うような人ではないとわかってはいたが、それでも何か寂しい気持ちは隠せなかった。
ジムのドアを閉めて帰路につく。
1年ほど通った道も、今日で最後。
少し歩調を緩めて、ブラブラと散歩のように歩く。
ジムを出て5分もしないうちに、前から走ってくる人影が見えた。
ロードワークに行っていた宮田が帰ってくるところらしい。
思うより先に口が出る。
「み、宮田さん!」
宮田は声の主に気がついてチラリとこちらを見、それから春樹の少し手前で止まった。