第10章:ずっと
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「お疲れ様だったね、試合」
改めて労いの言葉をかけると、宮田は少し照れ臭そうに上を見上げて、小さな声で答える。
「・・・まあな」
「打ち合いになって・・・見ててちょっと怖かった」
「まあパンチのある相手だったからな」
対戦相手のアーニーは、高いKO率を誇るハードパンチャーだった。
ボクシングの詳しいことは何もわからない奈々だったが、会場で生の試合を見て、生の音を聞いて、それがどれくらいの衝撃を持つパンチなのかはわかっていたつもりだ。
「でもま・・・お前のビンタほどじゃなかったよ」
イルミネーションを見に行った時の、あえて避けなかった奈々の一撃を茶化して、宮田は少し意地悪そうに笑う。一方で奈々は少しバツが悪そうに肩をすくめた。
「そういえばさ、宮田」
「ん?」
「前に言ってた、”ボクサーは一人で試合してるんじゃない”って・・・あれってどういうこと?」
真剣な顔でじいっと自分を見つめる奈々に、宮田はまたも意地悪をしたくなった。デコピンするべく中指で輪っかを作ると、奈々は察したように距離をとって、額を隠した。
「な、なによ」
「まだわかんねぇのかと思って」
「な、なにが・・・・」
宮田ははぁ、と呆れたようにため息をつく。
そして一瞬の隙をついて、デコピンを放った。
「痛っ!何よ」
今度は照れを隠すように、頬杖をついて背中を向けながらつぶやいた。
「人の夢に便乗だのなんだのゴチャゴチャ言ってたけどよ」
「う、うん・・・」
「それを・・・応援っていうんだろ」
その言葉を聞いて、なにかハッと気付かされたのか、曇っていた奈々の顔がいささか晴れやかになっていくのがわかった。
「・・・ありがとな」
奈々も何か少し気恥ずかしくなって、背中をくっつけるようにして宮田の反対方向に体を向けた。
「宮田は・・なんか・・・もう、手の届かないスターみたいになっちゃって」
一部だけくっついた背中から、じんわりと暖かい体温が流れてくるのを感じながら、続ける。
「わ、私は・・・こうやって宮田と肩並べて話す資格が自分にはないんじゃないかって」
「バカじゃねぇの」
呆れた口調で宮田が言い放つので、奈々はまた面白くなくてムクれた顔を隠すこともなく口を尖らせる。
宮田は静かに背中を倒し、奈々の背中にもたれるようにして体重を預けた。
密着した部分がじんわりを通り越して火傷しそうなほど熱く感じられ始めた。心臓が高鳴る。
冷静を装うために、大きな深呼吸をして、意を決して体を半歩前にズラすと、宮田も体を預けるのをやめて前を向きなおして座った。
改めて労いの言葉をかけると、宮田は少し照れ臭そうに上を見上げて、小さな声で答える。
「・・・まあな」
「打ち合いになって・・・見ててちょっと怖かった」
「まあパンチのある相手だったからな」
対戦相手のアーニーは、高いKO率を誇るハードパンチャーだった。
ボクシングの詳しいことは何もわからない奈々だったが、会場で生の試合を見て、生の音を聞いて、それがどれくらいの衝撃を持つパンチなのかはわかっていたつもりだ。
「でもま・・・お前のビンタほどじゃなかったよ」
イルミネーションを見に行った時の、あえて避けなかった奈々の一撃を茶化して、宮田は少し意地悪そうに笑う。一方で奈々は少しバツが悪そうに肩をすくめた。
「そういえばさ、宮田」
「ん?」
「前に言ってた、”ボクサーは一人で試合してるんじゃない”って・・・あれってどういうこと?」
真剣な顔でじいっと自分を見つめる奈々に、宮田はまたも意地悪をしたくなった。デコピンするべく中指で輪っかを作ると、奈々は察したように距離をとって、額を隠した。
「な、なによ」
「まだわかんねぇのかと思って」
「な、なにが・・・・」
宮田ははぁ、と呆れたようにため息をつく。
そして一瞬の隙をついて、デコピンを放った。
「痛っ!何よ」
今度は照れを隠すように、頬杖をついて背中を向けながらつぶやいた。
「人の夢に便乗だのなんだのゴチャゴチャ言ってたけどよ」
「う、うん・・・」
「それを・・・応援っていうんだろ」
その言葉を聞いて、なにかハッと気付かされたのか、曇っていた奈々の顔がいささか晴れやかになっていくのがわかった。
「・・・ありがとな」
奈々も何か少し気恥ずかしくなって、背中をくっつけるようにして宮田の反対方向に体を向けた。
「宮田は・・なんか・・・もう、手の届かないスターみたいになっちゃって」
一部だけくっついた背中から、じんわりと暖かい体温が流れてくるのを感じながら、続ける。
「わ、私は・・・こうやって宮田と肩並べて話す資格が自分にはないんじゃないかって」
「バカじゃねぇの」
呆れた口調で宮田が言い放つので、奈々はまた面白くなくてムクれた顔を隠すこともなく口を尖らせる。
宮田は静かに背中を倒し、奈々の背中にもたれるようにして体重を預けた。
密着した部分がじんわりを通り越して火傷しそうなほど熱く感じられ始めた。心臓が高鳴る。
冷静を装うために、大きな深呼吸をして、意を決して体を半歩前にズラすと、宮田も体を預けるのをやめて前を向きなおして座った。