第4章:一喜一憂
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「宮田くん」
トイレから戻る途中で後ろから話しかけられ、反射的に振り向いてしまって後悔した。
振り向いた後になって、耳を通り抜けた声が脳に届いて、黄色信号を出していることに気がついたが、時すでに遅し。
声の主は、いつぞや図書館で告白してきた中学の同級生だ。
そして去年の夏ごろから、なんとなく、自分を付け回している気がする人物・・・
「何か用か」
「うん・・・ちょっといいかな」
振り向くんじゃなかったと思いながらも、車内でなんとなく暇を持て余していた宮田は、無理に焦って戻る必要もないだろうと思い直し、相手の話を聞くことにした。
「バレンタインのチョコ、受け取ってくれたお礼、まだしてなかったから」
「・・・・もらった覚えはねぇけど」
「でも、返された覚えもないよ?」
宮田の冷たい言い方にも臆せず、相手はニコリと笑って続ける。
「ジムで待ってたけど、来なかったから、おじさまに渡したの」
「・・・あぁ」
父親にチョコレートを押し付けていった人物はコイツだったのか、と今更ながら知るも、だからと言って特段何か言うこともない。
「じゃあな」
「ねえ・・・どうして高杉さんのは受け取ったの?」
さっさと帰ろうとした後ろ姿に突然、刺さってきた言葉。
「なんのことだ?」
「家の前で受け取ってたじゃない」
いつどこから見ていたんだ?と少し肝の冷えるような感じを覚えたが、心の焦りを知られたくない宮田は努めて冷静を装い、
「だからどうしたよ」
「ねぇ、待ってよ宮田くん!私・・・諦められないよ」
帰ろうとする宮田を引き止めようと、相手はぐっと宮田の袖口を掴んで離さない。
「っ・・おい、やめ・・」
「いや!お願い、私のことちゃんと見て!ずっと・・・ずっと・・好きだったんだから!」
「ちょっと・・・待てって・・・」
か弱い女子ということで、宮田も力任せに相手を引き離すことができない。押しつ押されつしているうちに、新幹線が急にガタリと揺れ、双方がバランスを失った。
「きゃっ・・・!」
「・・・っ!」
