第9章:遠回り
お名前設定はこちら
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「遠回りしたもんだぜ」
宮田がボソリと呟いた言葉に、奈々は少し面食らって、
「・・・どういう意味?」
「・・・」
宮田は答えない。
「ねえってば」
「言いたくない」
“言いたくない”・・・
前にも聞いたセリフだ。
水族館でキスされたあとの・・・このやりとり。
『私、どう受け止めればいいの』
『言いたくない』
ハッと何かを悟ったように、奈々は宮田をまじまじと見ていたが、宮田は歩みを緩めることもなく、ただ遠くを見ながらスタスタと歩き続けるだけだった。
「ずるいよ、宮田」
「・・・・なんだよ」
「ちゃんと・・言ってよ」
「・・・・」
宮田が何も答えないので、奈々は掴んでいた腕からするりと手を離し、その場に立ち止まった。
軽くなった腕の感触に違和感を覚え、宮田も立ち止まる。
「なんだよ」
宮田は振り返らずに、そのまま前を見続けている。
「もう・・・期待させるようなこと、しないで」
奈々はぐっと拳に力を込めて、下を向きながら呟いた。
宮田の気持ちが自分に向いているのかどうか分からなくて、いつも気持ちが揺り動かされる。
もうこれ以上は、耐えられない。
はっきりして欲しいのに、宮田はいつも何も言ってくれない。
街路樹には相変わらず多くの人たちが詰め掛けていて、腕を解いた二人の間には、また人混みが流れようとしていた。
宮田はくるりと振り返り、下を向いて立ち尽くしている奈々のところまで2〜3歩ほど歩みを戻すと、そのまま、大勢の人たちが行き交うのを知らないかのように、奈々を抱き寄せた。
突然のことであっけにとられる奈々の耳元で、宮田は呟く。
「期待しとけよ」
宮田がボソリと呟いた言葉に、奈々は少し面食らって、
「・・・どういう意味?」
「・・・」
宮田は答えない。
「ねえってば」
「言いたくない」
“言いたくない”・・・
前にも聞いたセリフだ。
水族館でキスされたあとの・・・このやりとり。
『私、どう受け止めればいいの』
『言いたくない』
ハッと何かを悟ったように、奈々は宮田をまじまじと見ていたが、宮田は歩みを緩めることもなく、ただ遠くを見ながらスタスタと歩き続けるだけだった。
「ずるいよ、宮田」
「・・・・なんだよ」
「ちゃんと・・言ってよ」
「・・・・」
宮田が何も答えないので、奈々は掴んでいた腕からするりと手を離し、その場に立ち止まった。
軽くなった腕の感触に違和感を覚え、宮田も立ち止まる。
「なんだよ」
宮田は振り返らずに、そのまま前を見続けている。
「もう・・・期待させるようなこと、しないで」
奈々はぐっと拳に力を込めて、下を向きながら呟いた。
宮田の気持ちが自分に向いているのかどうか分からなくて、いつも気持ちが揺り動かされる。
もうこれ以上は、耐えられない。
はっきりして欲しいのに、宮田はいつも何も言ってくれない。
街路樹には相変わらず多くの人たちが詰め掛けていて、腕を解いた二人の間には、また人混みが流れようとしていた。
宮田はくるりと振り返り、下を向いて立ち尽くしている奈々のところまで2〜3歩ほど歩みを戻すと、そのまま、大勢の人たちが行き交うのを知らないかのように、奈々を抱き寄せた。
突然のことであっけにとられる奈々の耳元で、宮田は呟く。
「期待しとけよ」