第9章:遠回り
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あれから何日も、電話をかけようと思ってはかけられず、悶々と過ごして無駄な日々を費やしてしまった。
メガネ君にサヨウナラを告げたからには、きちんと過去と気持ちを清算しなきゃとは思っているのに。
「バカなの?」
ミズキはカプチーノをずずいっと音を立てて飲んで、ぶっきらぼうに言い放った。
「バカです・・・」
「メガネ君でよかったじゃないの!?どうして、どうしてまた宮田なのよぉ!!」
はぁあ・・・と大きなため息が店内中に響き渡りそうなほどの落胆だ。
「もうさっさと電話してさ。彼女のこと、それから自分のことどう思ってるかってことと。聞いて終わりにしてくれませんか?」
イライラしすぎて思わず敬語になっているほどだ。
「・・・また振られるの、怖い・・・」
「なによ、自分はメガネ君を期待させておいてこっぴどく振ったじゃないの!」
「う・・・」
返す言葉もないほど的確だ。
聞けば聞くほど、自分の最低っぷりが浮き上がってくる。
「今からじゃんけんして、アンタが負けたら、今この場で電話!いいね?」
「い、今ぁ?」
「そこに公衆電話あるでしょ。ハイ、じゃーんけーん・・・」
そして奈々は今、店内カウンターにおいてある公衆電話の前で、10円玉を複数枚、握りしめている。
後ろの方で、ミズキが座席に座ってカプチーノを飲みながら、こちらの様子をじいっと監視している。
メモを片手に、宮田の電話番号を一つずつ押していく。
全て押し終わる頃には、指は完全に震えて冷たくなっていた。
プルルルル・・・と呼び出し音が鳴る。生きた心地がしない。
お願い、出ないで。
心で3回ほど唱えている間に、ガチャリと回線がつながる音がして、耳から聞こえて来たのは、
「はい」
無愛想な男の声だった。
「・・・あ、あの」
「高杉か」
一言しか話してないのに、名前を当てられた。
「その、電話・・・しろって言うから」
「今どこにいる」
言葉終わりにかぶせ気味で宮田が聞いて来たので、奈々は少し面食らって
「えっ・・っと・・・駅前の喫茶店」
「行くから待ってろ」
宮田はそれだけ言って、ガチャリと電話を切ってしまった。
ツー・ツー・と耳元で規則正しく音が鳴る。
脱力して猫背気味になりながら、受話器を置くと、後ろで見ていたミズキが店内に他に人がいないことをいいことに、少し大声で聞いた。
「どうしたのよぉ?」
「・・・今から来るって」
「え?ここに?」
「・・うん」
ミズキは腕を組みながらしばし考えて、それから
「あたし、隠れて見てる」
「は、はぁ??」
「もし宮田がふざけたことしたら、殴ってやる」
ボクサー相手に“殴ってやる”なんていうミズキのなんとたくましいこと。
それくらい、今まで宮田に翻弄されて来た奈々のことが心配なのだろう。
時間にして20分くらいだろうか。
宮田は家から走って来たと思われ、少し息を乱しながら、喫茶店のドアを強めに開けると、ドアチャイムはガランガランと大きめの音を立てた。
メガネ君にサヨウナラを告げたからには、きちんと過去と気持ちを清算しなきゃとは思っているのに。
「バカなの?」
ミズキはカプチーノをずずいっと音を立てて飲んで、ぶっきらぼうに言い放った。
「バカです・・・」
「メガネ君でよかったじゃないの!?どうして、どうしてまた宮田なのよぉ!!」
はぁあ・・・と大きなため息が店内中に響き渡りそうなほどの落胆だ。
「もうさっさと電話してさ。彼女のこと、それから自分のことどう思ってるかってことと。聞いて終わりにしてくれませんか?」
イライラしすぎて思わず敬語になっているほどだ。
「・・・また振られるの、怖い・・・」
「なによ、自分はメガネ君を期待させておいてこっぴどく振ったじゃないの!」
「う・・・」
返す言葉もないほど的確だ。
聞けば聞くほど、自分の最低っぷりが浮き上がってくる。
「今からじゃんけんして、アンタが負けたら、今この場で電話!いいね?」
「い、今ぁ?」
「そこに公衆電話あるでしょ。ハイ、じゃーんけーん・・・」
そして奈々は今、店内カウンターにおいてある公衆電話の前で、10円玉を複数枚、握りしめている。
後ろの方で、ミズキが座席に座ってカプチーノを飲みながら、こちらの様子をじいっと監視している。
メモを片手に、宮田の電話番号を一つずつ押していく。
全て押し終わる頃には、指は完全に震えて冷たくなっていた。
プルルルル・・・と呼び出し音が鳴る。生きた心地がしない。
お願い、出ないで。
心で3回ほど唱えている間に、ガチャリと回線がつながる音がして、耳から聞こえて来たのは、
「はい」
無愛想な男の声だった。
「・・・あ、あの」
「高杉か」
一言しか話してないのに、名前を当てられた。
「その、電話・・・しろって言うから」
「今どこにいる」
言葉終わりにかぶせ気味で宮田が聞いて来たので、奈々は少し面食らって
「えっ・・っと・・・駅前の喫茶店」
「行くから待ってろ」
宮田はそれだけ言って、ガチャリと電話を切ってしまった。
ツー・ツー・と耳元で規則正しく音が鳴る。
脱力して猫背気味になりながら、受話器を置くと、後ろで見ていたミズキが店内に他に人がいないことをいいことに、少し大声で聞いた。
「どうしたのよぉ?」
「・・・今から来るって」
「え?ここに?」
「・・うん」
ミズキは腕を組みながらしばし考えて、それから
「あたし、隠れて見てる」
「は、はぁ??」
「もし宮田がふざけたことしたら、殴ってやる」
ボクサー相手に“殴ってやる”なんていうミズキのなんとたくましいこと。
それくらい、今まで宮田に翻弄されて来た奈々のことが心配なのだろう。
時間にして20分くらいだろうか。
宮田は家から走って来たと思われ、少し息を乱しながら、喫茶店のドアを強めに開けると、ドアチャイムはガランガランと大きめの音を立てた。