第7章:未練と決別
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「そっか、来てたか」
ミズキはたった今来たばかりのカプチーノを一口飲んでから、小さなため息と共に一言を吐いた。
「約束通り、諦めます」
「うん・・・そうね」
潔い奈々の言葉に、ミズキは正直困惑していた。
宮田のことはさっさと忘れて次に行って欲しかったが、実際そうなると、何か自暴自棄になって変な方向へ行ってしまわないかという心配もあるのだ。
「それにしても、宮田って女の趣味悪〜い」
「まぁ、私もなんであの子?とは思ってるけど」
「あ、本音が出た」
「負け惜しみくらい言わせてよ」
自分が宮田にふさわしいかどうかは置いといて、あのヒステリックな彼女が、宮田と付き合っていけるのか正直疑問ではあった。
あんな風に束縛の強い感じだと、ボクシングにも支障が出るのではないか?なんて思ったりもしている。
「もう未練はないの?」
「そりゃまだ気持ちは残ってるけど・・・連絡先も知らないし、試合も見に行かないし、もう宮田と会うこともないから」
そこまで言って、思わずポロリと涙が溢れる。
「・・・会うことも、ないから・・・」
「・・・はいはい、喫茶店で泣かないの。バカね」
両手で顔を覆って、うつむいて、他の人にバレないように小さく小さく泣く。
好きだったんだ、ずっと。
大切だったんだ、ずっと。
それが、本当に終わるんだ。
涙腺からジワジワと、とめどなく流れてくるのは、今まで溜め込んでいた様々な思い。
「ご・・・ごめん・・・」
「いいよいいよ、私こそごめん。ウチで会うべきだったね」
「いや・・・ミズキの家ならおばさんに心配されるくらいの声で大泣きしそうだから、ここでちょうどいい」
それを聞いてミズキはかすかに笑い、向かいの席から移って隣に来て、優しく抱きしめながら、頭を撫でてくれた。