第6章:失恋
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共通テスト、私立大学の入試を経て、本日は公立大学の入試。
高校3年間の学業の成果を出す日が終わった。
大学受験は、たった1日で、その後の1年が決まる。
なんてストレス性の高いシステムなんだろうかとつくづく思う。
受験が終わって帰宅する頃には、あたりはもうすっかり暗くなっていた。
2月末は、春がもうそこまで見えているとしても、夜になるとまだまだ寒い。
吐く息が白く残り、空に溶けていく。
コートのポケットの中で握りしめた『合格守』。
心の支えにしてきたこの子に、小さく「ありがとう」とつぶやく。
宮田と最後に会ったあの日から、一度も顔を合わせていない。
進学組は3学期は自宅学習になっていて、登校しないからだ。
近所に住んでいるのにな・・・とふとした出来心で、バスを降りた後、自宅ではなく宮田のアパートの方へ足を運んでみる。
別に、会いにいくわけじゃないけど、家の明かりだけでも見たい。
そんな言い訳たっぷりの、帰り道。
宮田のアパートの前についたが、あいにく宮田の部屋の明かりは消えていた。
時間は夜7時。
ひょっとしたらジムに行っているのかもしれない。
いなくてよかった、と言い聞かせながら、しょぼくれた心を隠すように、帰路に着いた。
家で奈々は、母親の用意してくれていたカツ丼をペロリと平らげ、ゆったりとお風呂に入って、この1年のストレスから解放された自由な時間を満喫していた。
ふと時計を見るともう10時を指している。
「・・・一応、受験終わった報告・・しといたほうがいいのかな」
受験から解放されて、頭の中はまた宮田でいっぱいになっているらしい。
頭の中から追い出したと思った影は、実はただ小さく身を潜めていただけだったのかもしれない。
距離を置くべきか迷ったものの、お守りを受け取った手前、報告する義務くらいあるだろうと、いろいろな言い訳を頭に用意する。
父親はまだ帰っておらず、弟はすでに就寝。
母親はお風呂に入っている。
リビングに誰もいない今がチャンス、と理由をつけて受話器を握る。
そして、いつのまにか覚えてしまっていた電話番号を押した。
繋がるまでの数秒が、やけに長く感じる。
受話器を握る手が少し、冷たくなってきているのに気がついた。
ゴクリ、と色々な決意を飲み込んだ瞬間、聞こえてきたのは意外な言葉だった。
『おかけになった電話は、現在使われておりません・・・』
かけ間違ったかと思い、再びメモを見ながら番号を押したが、同じ返答が返ってきた。
ふと思い出す、明かりの消えたアパートの窓。
まさか・・・引っ越した?
それとも・・・電話番号を変えた?
だとしても普通なら、転送の案内があるはずなのに・・・
それにしても、いずれにしても・・・
何も、知らない。
何も、知らなかった。
私はやっぱり、蚊帳の外だ。
お守りなんてもらって、また勘違いしてた。
あれは単なる、見舞いのお礼の品みたいなものだったんだ。
私は宮田の何者でもないんだ。
きっと、友達にすら、なれてないんだ。
高校3年間の学業の成果を出す日が終わった。
大学受験は、たった1日で、その後の1年が決まる。
なんてストレス性の高いシステムなんだろうかとつくづく思う。
受験が終わって帰宅する頃には、あたりはもうすっかり暗くなっていた。
2月末は、春がもうそこまで見えているとしても、夜になるとまだまだ寒い。
吐く息が白く残り、空に溶けていく。
コートのポケットの中で握りしめた『合格守』。
心の支えにしてきたこの子に、小さく「ありがとう」とつぶやく。
宮田と最後に会ったあの日から、一度も顔を合わせていない。
進学組は3学期は自宅学習になっていて、登校しないからだ。
近所に住んでいるのにな・・・とふとした出来心で、バスを降りた後、自宅ではなく宮田のアパートの方へ足を運んでみる。
別に、会いにいくわけじゃないけど、家の明かりだけでも見たい。
そんな言い訳たっぷりの、帰り道。
宮田のアパートの前についたが、あいにく宮田の部屋の明かりは消えていた。
時間は夜7時。
ひょっとしたらジムに行っているのかもしれない。
いなくてよかった、と言い聞かせながら、しょぼくれた心を隠すように、帰路に着いた。
家で奈々は、母親の用意してくれていたカツ丼をペロリと平らげ、ゆったりとお風呂に入って、この1年のストレスから解放された自由な時間を満喫していた。
ふと時計を見るともう10時を指している。
「・・・一応、受験終わった報告・・しといたほうがいいのかな」
受験から解放されて、頭の中はまた宮田でいっぱいになっているらしい。
頭の中から追い出したと思った影は、実はただ小さく身を潜めていただけだったのかもしれない。
距離を置くべきか迷ったものの、お守りを受け取った手前、報告する義務くらいあるだろうと、いろいろな言い訳を頭に用意する。
父親はまだ帰っておらず、弟はすでに就寝。
母親はお風呂に入っている。
リビングに誰もいない今がチャンス、と理由をつけて受話器を握る。
そして、いつのまにか覚えてしまっていた電話番号を押した。
繋がるまでの数秒が、やけに長く感じる。
受話器を握る手が少し、冷たくなってきているのに気がついた。
ゴクリ、と色々な決意を飲み込んだ瞬間、聞こえてきたのは意外な言葉だった。
『おかけになった電話は、現在使われておりません・・・』
かけ間違ったかと思い、再びメモを見ながら番号を押したが、同じ返答が返ってきた。
ふと思い出す、明かりの消えたアパートの窓。
まさか・・・引っ越した?
それとも・・・電話番号を変えた?
だとしても普通なら、転送の案内があるはずなのに・・・
それにしても、いずれにしても・・・
何も、知らない。
何も、知らなかった。
私はやっぱり、蚊帳の外だ。
お守りなんてもらって、また勘違いしてた。
あれは単なる、見舞いのお礼の品みたいなものだったんだ。
私は宮田の何者でもないんだ。
きっと、友達にすら、なれてないんだ。