第1章:夢追う人
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翌日のホームルームのあと。
ガタガタと皆が立ち上がる喧噪の中で、奈々は宮田がさっさとドアの方向へ歩き出しているのを目にした。
「宮田くん。学祭の準備は?」
突然話しかけられた宮田は驚く様子も無くピタリと足を止め、それからゆっくりと奈々の方へ首を回し・・・相手を確認すると再び何も言わずに歩き出した。
何か言い返してくるものだと思った奈々は、一瞬あっけにとられたが、離れて行く宮田の背中を見てふっと我に返り、
「ちょっと!どこ行くのよ!」
「そんなことやってる場合じゃないから」
“そんなこと”
自分が一生懸命取り組んでいることがくだらないとでも言いたげなセリフに、奈々は思うより先に宮田に手を伸ばし、腕を掴んでいた。
「どういう意味?」
「別に」
「部活生だって休んで作業してるよ?あんただけ特別なわけないでしょ」
宮田は奈々に腕を掴まれたまま微動だにせず言い返した。
「所詮、部活だろ?」
そういって奈々を睨みつけると、腕を乱暴に振りほどいて背を向け、また歩き出そうとした。
クラスメイトは二人のただ事ならぬ様子を、遠巻きながら観察しているようだった。
しかし頭に血が上った奈々には、そんな様子など目にも入らない。
振りほどかれた腕の拳をギュッと握りしめて、少し遠くなった宮田の背中に向かって、
「プロでもないくせに偉そうに!!」
宮田は振り返りもしなかった。
それがますます奈々の苛立を加速させる。
握った拳をそのまま相手の背中に向かって放ってやろうかと思った瞬間、宮田がピタリと足を止めて、チラリと振り返り
「そんなに青春したいなら一人でやれば?」
侮ったように笑みを浮かべて、宮田はまた歩き始めた。
「こ、こ、この・・・」
今にも殴り掛かりそうな奈々の雰囲気を察し、友人たちが周りを取り囲み始めた。
「奈々、もう止めなって!」
「放っておこうよ、もう。宮田くん、中学のときからああだから」
「私は許せない、ああいうの!!!なんなの!?」
「はいはい、奈々が真面目なのは分かったから」
「そういう人も居るってことで。ウチらはウチらでやろうよ」
まるで動物をなだめるように、友人らは奈々の背中を撫でながら言った。
荒くなった息が少しずつ穏やかになっても、心のモヤモヤは消えない。
あの馬鹿にしたような目つきと言い草、あの高慢な態度はいったい何を根拠に発せられるのだろうと思うと、穏やかになりかけた心が再燃する。
「っっとにムカつく!!なんでアレが女子に人気あんの!?顔だけじゃん!!」
「ちょっと奈々、声大きいって。宮田ファン多いんだから気をつけな?」
「アイツを好きだなんて趣味悪すぎ!あーもう絶対嫌!生理的に嫌!」
「はいはい・・・・」
奈々の怒りを見て、普段は不真面目なクラスメイトは自分にとばっちりが来ないようにと、いつもより率先して働き始めた。
ガタガタと皆が立ち上がる喧噪の中で、奈々は宮田がさっさとドアの方向へ歩き出しているのを目にした。
「宮田くん。学祭の準備は?」
突然話しかけられた宮田は驚く様子も無くピタリと足を止め、それからゆっくりと奈々の方へ首を回し・・・相手を確認すると再び何も言わずに歩き出した。
何か言い返してくるものだと思った奈々は、一瞬あっけにとられたが、離れて行く宮田の背中を見てふっと我に返り、
「ちょっと!どこ行くのよ!」
「そんなことやってる場合じゃないから」
“そんなこと”
自分が一生懸命取り組んでいることがくだらないとでも言いたげなセリフに、奈々は思うより先に宮田に手を伸ばし、腕を掴んでいた。
「どういう意味?」
「別に」
「部活生だって休んで作業してるよ?あんただけ特別なわけないでしょ」
宮田は奈々に腕を掴まれたまま微動だにせず言い返した。
「所詮、部活だろ?」
そういって奈々を睨みつけると、腕を乱暴に振りほどいて背を向け、また歩き出そうとした。
クラスメイトは二人のただ事ならぬ様子を、遠巻きながら観察しているようだった。
しかし頭に血が上った奈々には、そんな様子など目にも入らない。
振りほどかれた腕の拳をギュッと握りしめて、少し遠くなった宮田の背中に向かって、
「プロでもないくせに偉そうに!!」
宮田は振り返りもしなかった。
それがますます奈々の苛立を加速させる。
握った拳をそのまま相手の背中に向かって放ってやろうかと思った瞬間、宮田がピタリと足を止めて、チラリと振り返り
「そんなに青春したいなら一人でやれば?」
侮ったように笑みを浮かべて、宮田はまた歩き始めた。
「こ、こ、この・・・」
今にも殴り掛かりそうな奈々の雰囲気を察し、友人たちが周りを取り囲み始めた。
「奈々、もう止めなって!」
「放っておこうよ、もう。宮田くん、中学のときからああだから」
「私は許せない、ああいうの!!!なんなの!?」
「はいはい、奈々が真面目なのは分かったから」
「そういう人も居るってことで。ウチらはウチらでやろうよ」
まるで動物をなだめるように、友人らは奈々の背中を撫でながら言った。
荒くなった息が少しずつ穏やかになっても、心のモヤモヤは消えない。
あの馬鹿にしたような目つきと言い草、あの高慢な態度はいったい何を根拠に発せられるのだろうと思うと、穏やかになりかけた心が再燃する。
「っっとにムカつく!!なんでアレが女子に人気あんの!?顔だけじゃん!!」
「ちょっと奈々、声大きいって。宮田ファン多いんだから気をつけな?」
「アイツを好きだなんて趣味悪すぎ!あーもう絶対嫌!生理的に嫌!」
「はいはい・・・・」
奈々の怒りを見て、普段は不真面目なクラスメイトは自分にとばっちりが来ないようにと、いつもより率先して働き始めた。