第4章:一喜一憂
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バレンタインの後、悶々とした気持ちを引きずってはいたものの、目の前に迫った期末試験に追われ、なんとなく、未消化のままうすらぼやけてしまっていた。
期末試験の後は、帰ってきた結果が来年の進学にも影響することもあって、いつものように燃え尽きてダラダラするということもできず・・・。
そんな、微妙な気ぜわしさの中迎えた春休み。
一応、進学率の高い我が校。
3年生からは受験で忙しくなるため、2年から3年に上がるこの春に修学旅行に行くのが恒例になっている。
行き先は、ベタな京都。
「中学の時も京都だったのに〜」なんてボヤいているクラスメイトも少なくなかった。
一方奈々は中学の時に行った京都がとても綺麗で好きだったので、また行けることがとても楽しみでならなかった。
今の季節なら、綺麗な桜も見られるかも、なんて期待もあったりして。
そして旅行当日。
集合場所に大きなボストンバッグを持ってやってきた宮田を目にして、奈々は思わず固まった。
学祭も欠席した宮田のことだ、修学旅行も当然、休むものだと勝手に思い込んでいたのだ。
「なんだよ」
奈々の目線に気づいた宮田が、こちらに面白くなさそうな目線を向けて言い放つ。
「さっきからジロジロと、何か用かよ」
「・・・だって、宮田も行くとは思わなかったから」
射抜くような目線を前に嘘をつくことができず、正直に言うしかなかった。
「なんでだよ」
「だって・・・学祭だって休んでたでしょ」
宮田にとっては意外な単語だったのか、少し目を見開いて、それから目線を前に背けて呟いた。
「あれは風邪」
「あ・・・そうなの?」
今度は奈々の方が意外そうな顔をして宮田の方を見やる。
すると宮田は意地悪そうな顔をして、目線を返した。
「ずっと気にしてたのかよ」
「べ、別に!?」
それから何か言い返そうかと思った矢先、先生から整列の合図が飛んで来て、周りがぞろぞろと動き始めた。
まごついている奈々を茶化すように、宮田は修学旅行のパンフレットで頭をポコっと叩く。
「痛っ・・何よ」
「いい音」
「ばか」
まもなくして後ろから腕を回され、振り向くとミズキがニヤニヤと笑いながら抱きついてきたのがわかった。
「イチャイチャタイム終わった?」
「・・・・そんなんじゃないから」
「はーいはい、さ!乗ろ乗ろ!」
新幹線に乗り込んで、ミズキと隣同士に並んで座る。
1クラス1車両ということで、宮田も当然同じ車両だ。
いつも、ほぼ教室でしか会わないクラスメイトと、新幹線という異空間で旅に出るという非日常は、思春期の子供たちの胸を大きくざわつかせるらしい。
車両はいつになく賑やかで、どこか浮き足立った気分さえする。
奈々も例外ではない。
友人らと話をしている間も、同じ車両内にいる宮田のことが気になって仕方ない。
どこに座っているのかも、何をしているのかもわからず悶々としながら、それを顔に出さないように努めた。
途中で、席を立って車両の外へ出る宮田の姿を見かけた。
トイレにでも行ったのかと思ったが、全然帰ってくる気配はない。
友人らとバカ話をしながらも、頭からそれが離れず・・・
「私、ちょっとトイレ行ってくる」
そういうと、グループの輪の中にいた別の友人も行きたいというので、二人連れ立って洗面所へ向かった。
