第4章:一喜一憂
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時は流れて3学期。
また例のイベントがやってきた。
年に一度、男女が浮かれに浮かれるチョコレートのイベントだ。
「宮田ぁ。今年は何個もらったんだ?」
「受け取らない」
「お。なんだそのセリフ。ムカつく」
クラスの男子が茶化すようにはなった一言を宮田は一蹴して目を閉じた。
去年、パンパンに膨らんでいたコートのポケットも、今年はボタンをしっかり閉じて何も入らないようにしているらしい。
「えー、宮田くん受け取ってくれないんだぁ」
「作ってきたのにぃ」
そんな声もチラホラ聞こえる。
かくいう奈々のカバンの中にも、小さな包みが密かにその出番を待っていた。
しかし、“受け取らない”相手に渡せるわけがない。
「ミズキは今年もデートなの?」
「うふ。ごめんねぇ」
そういうわけで、今年のバレンタインデーの放課後も一人が決定。
親しい友人は他にもいるが帰り道が同じ方向なのはミズキだけなので、彼女がいないとどうも寂しい帰路になる。
「宮田くん!バレンタイン!」
休み時間に他のクラスの女子がやってきて、宮田の机にチョコを置いて行った。
「悪いけど、受け取れない」
「いいからいいから!おねがい!」
「いや、だから受け取れないって」
女子はそれでもグイグイとチョコを押し付け、きわめつけは宮田の机の中に放り込んでさっさと教室の外へ逃げ出してしまった。
これでは去年と同じパターンではないか、と奈々がハラハラと成り行きを見守っていると・・・
宮田は無表情のままチョコレートを掴んで、ゴミ箱の中に放り捨てた。
ドサ、と固い包装箱がプラスチックの底にぶつかる音が響いた。
あまりの出来事に、教室の外に逃げた女子も口を開けたまま呆然としている。
宮田は無表情のまま、自分の席に戻って、腕を組んで目をつぶった。
「うわぁ・・・やりすぎだろ宮田」
「ちょっと引くわ」
「宮田くん、ひどぉい」
「ちょっとこの子泣いてるよぉ?宮田くん謝ってよ!」
クラス中がざわざわと不穏な空気に包まれても、宮田は微動だにせず、顔色一つ変えずに無視をし続けている。
「嫌がってる相手に無理やり押し付けておいて、謝って〜は無いよね」
ミズキがボソリと呟く。
しかし、それについて反応できるほど心が追いついていない。
今の出来事に一番驚いたのは奈々だ。
去年とは全く別の態度を見せた宮田が、不可解でしょうがない。
本来ならこんなことをできるような人では無い・・はずなのに。
それから帰りまで、宮田の1日は実に平凡だった。
チョコがいっぱい入った紙袋もコートもない。
帰りのHRが終わって、宮田はすぐに席を立ち、一目散に教室から出て行った。
「じゃ、また明日ね〜」
ミズキもそそくさと帰る。
自分もすぐに帰ろうかと思ったが、借りていた本を返そうと図書室に寄っていたら、また少し遅くなってしまった。
バレンタインの熱が冷めた帰り道を一人とぼとぼと歩いていると、またしても、一目散に帰ったはずの宮田とバス停で遭遇した。
時は流れて3学期。
また例のイベントがやってきた。
年に一度、男女が浮かれに浮かれるチョコレートのイベントだ。
「宮田ぁ。今年は何個もらったんだ?」
「受け取らない」
「お。なんだそのセリフ。ムカつく」
クラスの男子が茶化すようにはなった一言を宮田は一蹴して目を閉じた。
去年、パンパンに膨らんでいたコートのポケットも、今年はボタンをしっかり閉じて何も入らないようにしているらしい。
「えー、宮田くん受け取ってくれないんだぁ」
「作ってきたのにぃ」
そんな声もチラホラ聞こえる。
かくいう奈々のカバンの中にも、小さな包みが密かにその出番を待っていた。
しかし、“受け取らない”相手に渡せるわけがない。
「ミズキは今年もデートなの?」
「うふ。ごめんねぇ」
そういうわけで、今年のバレンタインデーの放課後も一人が決定。
親しい友人は他にもいるが帰り道が同じ方向なのはミズキだけなので、彼女がいないとどうも寂しい帰路になる。
「宮田くん!バレンタイン!」
休み時間に他のクラスの女子がやってきて、宮田の机にチョコを置いて行った。
「悪いけど、受け取れない」
「いいからいいから!おねがい!」
「いや、だから受け取れないって」
女子はそれでもグイグイとチョコを押し付け、きわめつけは宮田の机の中に放り込んでさっさと教室の外へ逃げ出してしまった。
これでは去年と同じパターンではないか、と奈々がハラハラと成り行きを見守っていると・・・
宮田は無表情のままチョコレートを掴んで、ゴミ箱の中に放り捨てた。
ドサ、と固い包装箱がプラスチックの底にぶつかる音が響いた。
あまりの出来事に、教室の外に逃げた女子も口を開けたまま呆然としている。
宮田は無表情のまま、自分の席に戻って、腕を組んで目をつぶった。
「うわぁ・・・やりすぎだろ宮田」
「ちょっと引くわ」
「宮田くん、ひどぉい」
「ちょっとこの子泣いてるよぉ?宮田くん謝ってよ!」
クラス中がざわざわと不穏な空気に包まれても、宮田は微動だにせず、顔色一つ変えずに無視をし続けている。
「嫌がってる相手に無理やり押し付けておいて、謝って〜は無いよね」
ミズキがボソリと呟く。
しかし、それについて反応できるほど心が追いついていない。
今の出来事に一番驚いたのは奈々だ。
去年とは全く別の態度を見せた宮田が、不可解でしょうがない。
本来ならこんなことをできるような人では無い・・はずなのに。
それから帰りまで、宮田の1日は実に平凡だった。
チョコがいっぱい入った紙袋もコートもない。
帰りのHRが終わって、宮田はすぐに席を立ち、一目散に教室から出て行った。
「じゃ、また明日ね〜」
ミズキもそそくさと帰る。
自分もすぐに帰ろうかと思ったが、借りていた本を返そうと図書室に寄っていたら、また少し遅くなってしまった。
バレンタインの熱が冷めた帰り道を一人とぼとぼと歩いていると、またしても、一目散に帰ったはずの宮田とバス停で遭遇した。