第1章:夢追う人
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とうとう明日に控えた学校祭。
最後の大詰め勝負、ということで、どのクラスも遅くまで居残り作業をしている。
奈々のクラスも例外ではない。
最初はダラけていたクラスメイトも、奈々の熱意にアテられたのか、あるいは居残りという非日常的な場面のせいか、やけに興奮して最後の作業に取り組んでいる。
そして、ジャンケンに負けた宮田も。
本来ならジムに顔を出している時間にも関わらず、クラス内に残り、奈々の指示を受けながら作業をしていた。
「宮田くん、最後、ゴミ出しよろしく」
「・・・」
「返事は?」
「うるさい」
教室の隅に用意された4つの大袋を抱えて1階まで降りていく。
なるほど重労働。他の男子がやりたがらないわけだ。
トレーニングになると思えばなんてことないが、ゴミを運ばせられてると考えるとものすごく腹がたつな、と宮田は思った。
焼却炉までゴミを運び終わって、再び教室に戻ると、教室には奈々しか残っておらず、まさにいま電気を消そうとしているところだった。
「あ、帰ってきた。カバン持って行ってあげようと思ったんだけどな」
「・・・もうこれで終わりか?」
「先生に消灯しろって怒られちゃった。まぁ明日の朝イチで最終チェックすれば問題ないでしょ。帰ろう」
奈々が教室の電気を落とし、ドアを閉める。
宮田としてはさっさと離れて歩けばよかったのだが、なぜだか離れたら負けな気がして、妙に相手と歩幅を合わせてしまった。
学校の玄関を出ると、もうすっかり日が落ちて、職員室から漏れる光がグラウンドを照らしていた。
「宮田、お疲れ様」
「別に」
「明日が本番だからね。ゴミ係よろしくね」
「・・・」
奈々たちのクラスの出し物『和み喫茶』では日本茶と和菓子を提供するのだが、接客などまず苦手な宮田は、たまったゴミを定期的に捨てる係に志願した。
「ねえ、こんな風にさ」
「・・・」
「職員室しか明かりのついてない校舎見るのって、なかなかいいよね」
「・・・」
「ねえ、聞いてる?ゴミ係」
「・・・」
「ねえ、ゴミ係さん」
「・・・聞いてるよ」
失礼なヤツだ、と宮田はますます奈々を苦々しく思った。
そんな宮田のオーラを感じ取ったのか、奈々はクスリと笑う。
「宮田、ありがとうね」
「何がだよ」
「宮田のおかげで、色々はかどったよ。助かったよ」
「別に、何もしてねぇよ」
「宮田には本当に悪いことしたと思ってるけど、私は嬉しかった」
「…何が」
奈々は一息おいてから、
「なんかさ、宮田ってみんなことバカにしてると思って。オレはお前らとは違う、みたいな顔してたからさ」
確かに、そういうところはあったかもしれない……いや実際、そう思っていた節はある。
しかし、こんな奴に指摘されるほど顔に出ていたのか。
宮田は思わず、表情を隠すように、手で自分の口元を押さえた。
「だからなんか悔しくてさ。宮田をこっち側に引きずり込んでやりたかった」
「・・・こっち側?」
「うん。・・・熱血して、バカになってる側」
「そっちに入ったつもりはないけど」
「つもりはなくても、入ってたよ」
そういって奈々はケラケラと笑った。
宮田は面白くなさそうに、眉をひそめるしかなかった。
最後の大詰め勝負、ということで、どのクラスも遅くまで居残り作業をしている。
奈々のクラスも例外ではない。
最初はダラけていたクラスメイトも、奈々の熱意にアテられたのか、あるいは居残りという非日常的な場面のせいか、やけに興奮して最後の作業に取り組んでいる。
そして、ジャンケンに負けた宮田も。
本来ならジムに顔を出している時間にも関わらず、クラス内に残り、奈々の指示を受けながら作業をしていた。
「宮田くん、最後、ゴミ出しよろしく」
「・・・」
「返事は?」
「うるさい」
教室の隅に用意された4つの大袋を抱えて1階まで降りていく。
なるほど重労働。他の男子がやりたがらないわけだ。
トレーニングになると思えばなんてことないが、ゴミを運ばせられてると考えるとものすごく腹がたつな、と宮田は思った。
焼却炉までゴミを運び終わって、再び教室に戻ると、教室には奈々しか残っておらず、まさにいま電気を消そうとしているところだった。
「あ、帰ってきた。カバン持って行ってあげようと思ったんだけどな」
「・・・もうこれで終わりか?」
「先生に消灯しろって怒られちゃった。まぁ明日の朝イチで最終チェックすれば問題ないでしょ。帰ろう」
奈々が教室の電気を落とし、ドアを閉める。
宮田としてはさっさと離れて歩けばよかったのだが、なぜだか離れたら負けな気がして、妙に相手と歩幅を合わせてしまった。
学校の玄関を出ると、もうすっかり日が落ちて、職員室から漏れる光がグラウンドを照らしていた。
「宮田、お疲れ様」
「別に」
「明日が本番だからね。ゴミ係よろしくね」
「・・・」
奈々たちのクラスの出し物『和み喫茶』では日本茶と和菓子を提供するのだが、接客などまず苦手な宮田は、たまったゴミを定期的に捨てる係に志願した。
「ねえ、こんな風にさ」
「・・・」
「職員室しか明かりのついてない校舎見るのって、なかなかいいよね」
「・・・」
「ねえ、聞いてる?ゴミ係」
「・・・」
「ねえ、ゴミ係さん」
「・・・聞いてるよ」
失礼なヤツだ、と宮田はますます奈々を苦々しく思った。
そんな宮田のオーラを感じ取ったのか、奈々はクスリと笑う。
「宮田、ありがとうね」
「何がだよ」
「宮田のおかげで、色々はかどったよ。助かったよ」
「別に、何もしてねぇよ」
「宮田には本当に悪いことしたと思ってるけど、私は嬉しかった」
「…何が」
奈々は一息おいてから、
「なんかさ、宮田ってみんなことバカにしてると思って。オレはお前らとは違う、みたいな顔してたからさ」
確かに、そういうところはあったかもしれない……いや実際、そう思っていた節はある。
しかし、こんな奴に指摘されるほど顔に出ていたのか。
宮田は思わず、表情を隠すように、手で自分の口元を押さえた。
「だからなんか悔しくてさ。宮田をこっち側に引きずり込んでやりたかった」
「・・・こっち側?」
「うん。・・・熱血して、バカになってる側」
「そっちに入ったつもりはないけど」
「つもりはなくても、入ってたよ」
そういって奈々はケラケラと笑った。
宮田は面白くなさそうに、眉をひそめるしかなかった。