ch.1 真波という兄妹
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何度も言うように、真波灯歌と真波遥依は兄妹である。
性格も似た兄妹だ。
困っている人は放っておけない、どちらかというと自己犠牲型である。
正直危なっかしい、と兄妹を知る人達は言う。
自分のためであっても他人に尽くしてしまう。
人を見極め、甘やかし、冗談を言い合う。
時には他人を叱責し、歯向い、突き放し、脅すこともいとわない。
けれどそれは演技ではなく、一つ一つが本当である。
どれも己の心に正直である故の行動であった。
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散文的に彼らをもう少し紹介しよう。
彼らは兄妹で二人暮らしをしている。
2人暮らしにしては少しばかり広い家、理由のひとつに遥依の職業が挙げられる。
リリックペイントを完成させるには、常に同じリリックを聞かねばならない。
更にいえば、彼の聞いているリリックの殆どはヒプノシスマイクを使用したもので、下手をすればいくら録音であっても周りに影響を及ぼしかねないのだ。
故に防音設備が必須となる。
もうひとつは楽器を嗜んでいる灯歌のために、またもや防音設備のある楽器部屋が必要となったのだ。
リビングや各々の部屋等々、必要最低限の設備に荷物の散乱する仕事場と踊れるだけのスペースもある楽器部屋。
少し広い、と2人とも言ってはいるらしい。
が、満足でもあるようで建て替える気は無いようだ。
2人暮らしで良いこと。
家事能力が否応無く上がる。
学生になって家事能力がどれほど大事か知ったという。
学校の調理実習でのこと。
説明を受けているはずなのだが、どうにも皆手元が覚束なくハラハラしたのだ。
その点、日頃やっていた2人からすればお茶の子さいさい。
その後も何かとせがまれるようになり、今に至るという。
別の話。
どうにも変人に好かれる2人。
彼らの性格もあるだろうが、もうひとつは飴村乱数の存在だろう。
いつからか仲良くなっていた飴村と遥依は、お互いが大学生になるとどちらかの家に行き、朝帰りする事が増えた。
灯歌は興味が無いと言わんばかりに無関心を貫いているが。
何をしてるのか分からないが時たま、服装の乱れた飴村がそのまま帰ろうとするのを引き止める遥依、という構図を見かけるらしい。
それはさておき、好かれる話について。
性格が原因であると言ったが本当のことで。
公園で行き倒れている人に無償で奢ったり、とりとめのない滔々とした物語を黙って聞いたり、警察が追いかけていた犯人を実力行使で止めたり。
善行と言えるかはさておき、何かと手を出しているのだ。
どっかしらで気に入られるポイントがあるのだろう。
それでも友達が少ないのは、無意識のうちに選別している証拠。
人たらしとまでは言わない。どれだけ人に好かれようと、必ず嫌っている人はいるのだ。
だからこそ、変人に好かれるのかもしれない、と少しばかり反省する2人だった。