ch.1 真波という兄妹
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真波遥依は真波灯歌の兄である。
文系出身ながら電子機器の開発に携わっているのだ。
端正で温和そうな顔立ちに柔らかい声音、そして困っている人を放っておけない性格。
男女も年齢も問わず、よくモテる。
もう一つ、彼は画家もしている。
普通の画家ではなく、リリックペインターという変わったジャンルの画家だ。
彼の絵は抽象画では無い。とても繊細で、けれどもダイナミックな代物である。
惚れ込んで直接会いに来る者もいるくらいだ。
しかし、そうして会いに行った者は皆揃って真っ青な顔をして帰ってくるという。
その理由は会った者と、身近な人物しか知らない。
そんな彼には変わった腐れ縁の友がいる。
*ー*ー*ー*
13時を告げる時報が鳴って、会議を3時間近くやっていた事に気付き遥依は顔を上げ伸びをした。
企業との折り合いがどうにも合わず、お互いが折れず曲がらずを繰り返し渋々こちらが折れたものの。
良い妥協案がまた互いの間に生まれず、もはや迷宮入りしていたところだったのだ。
煮詰まり切った頭を冷まそうと、遥依は真昼間の街に出た。
あえて少し遠いコンビニまで行く。
要らない討論もあったせいか、主に脚が重い。
端から見ればもしかしたら千鳥足の様かもしれない。
それはそれで気にしないのだが。
ガチガチに固まった肩周りと首をほぐしながら、買うものを思案するのだった。
コンビニに入って1番に見つけたのは、あるファッション誌。
腐れ縁の奴が、コラボしたんだよねーと言っていた刊だ。
相変わらずのセンスにひとつ息を吐く。
買うという選択肢は端から無かったため、目的のものを買ってコンビニを出た。
戻ろうと歩いていると、見知った人物がいた。
面倒になる前に行きたかったのだが、どうやら気付かれたらしい。
背後から軽い足音が高い声と共に近づいて来る。
「はーるーーいーーーっ!」
「うぐっ…。歩きづらい、せめてもう少し上にきて」
「え、いいの?やったぁ!」
「騒がない、落ちるぞ乱数」
桃色の柔らかな髪に大きな瞳、童顔な顔立ち。
飴村乱数、ファッションデザイナーで成人済みの24歳。
彼こそが腐れ縁の友である。
一応遥依のほうが年下なのだが、色々勘違いもあり今の形で落ち着いているのだ。
「帰り?」
「いや、14時半からまた会議。17時まで待てるなら飯作れるけど」
「待つ!なになにぃ、まぁた折り合いがつかないわけぇ?」
「いい妥協案が出てこなくて…」
「ゴリ押ししちゃいなよー。ちゃんとは掴めてないけど、遥依は安全性が第1なんでしょ?」
「まあね。はぁ…頑張るか」
遥依がそう言うと乱数は一言、ファイトとだけ告げてそのまま何処かへ行ってしまった。
その後は向こう側も折れ、午後の会議はあっさりと終わったという。
乱数に連絡を入れいつもの場所で待ち合わせをする。
またも笑顔で走って来る乱数に対し、遥依の表情は困ったようだった。
+ー+ー+ー+
《追加》
〈真波遥依〉
飴村乱数と腐れ縁
話し合いで折れはするが色々しぶとい
〈飴村乱数〉
遥依と腐れ縁
遥依のことを大分気に入っている
この作品の季節って、いつなんですかね…。