ch.1 真波という兄妹
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真波灯歌は高校2年生である。
いきなり転校してきたにも関わらず、直ぐ様友達が出来ていた。
大人しそうな外見とは裏腹に、中身は天真爛漫としていて。
けれど、どこか掴み所の無い人物だった。
真っ先に仲良くなったのは、意外にも女子では無かった。
やや長め黒髪、垂れた目、そして金と緑のオッドアイが光る男子。
名前は、山田二郎。萬屋の次男。
彼は顔が良く、アニメやライトノベルに詳しいため男女問わず人気がある(不良ではあるが)。
そんな人物と真っ先に友人関係を結ぶだなんて、周りからすれば有り得ず、そして許されざる事であった(主に女子が)。
いつしか彼女を取り巻く環境は劣悪なものとなっていく。
そうしていけば直ぐにでも許しを乞うだろうと、誰しもが思っていた。
しかし、彼女はあらゆる虐めを易々と躱し、何の興味も示さなかった。
何より許しを乞うどころか、逆に感謝を述べることもしばしあった。
気がつけば、彼女の周りには静寂が漂っていた。
*ー*ー*ー*
日直頼んだー、そんな先生の声を聞きながら生徒たちは購買に走ったり、はたまた机をつけたりと忙しない。
どれだけ無関心であれど、成績のために提出はしてくれる。
当たり前だが、有難いの一言に尽きる。
放課後になり、集まった課題を職員室まで運ぶ。
重くはない…と言いたいが、ここで見栄を張っても仕方がない。
ふらふらと階段を上る様は、見事に滑稽だろうな。
昼から延々と流されている脳内語りに、灯歌は微かな笑いを洩した。
彼女からすれば望んだ事であり、不満は一切無い。
が、こうも集中的に使われると体の良い雑用のようだ。それはそれで、自負心が許したく無いと騒ぎ出す。
「愉快も過ぎれば厄介だな…。面倒臭い」
やっとこさ着いた職員室の扉を開けようとして、両手の塞がってる事に気付く。足で開けようと伸ばしたところで、扉が向こう側から開けられた。
開けた本人は気付いたらしく、「誰セン?」と聞きながら半分以上をかっさらっていく。
灯歌が渋い顔をすればブサイクとだけ吐き捨て、素直に名前を言えばその先生のデスクまで運んでくれた。
礼はいいから帰ろうと提案されては、乗るしかあるまい。
教室に戻り荷物を取って校門まで行けば、目当ての生徒は既にケータイをいじっていた。
「ごめん、おまたせ。あと、さっきはありがとう二郎」
「だからお礼はいいって言ったじゃん」
「モノズキ、ブラコン、ツンデレ」
「狂人、変人、奇人」
「どこが」
「精神面諸々含めて。成績も授業聞いてないのに良いし、今までのイジメに対してほぼ終始笑顔だし」
そこまで言うとバツが悪そうに顔を背ける。
ここまで仲良くなったのはお互い周囲から遠巻きにされているからだろう。
灯歌はそう望んだが、二郎はどちらかというと「不良に近づくことなかれ」の認識らしい。
第1、彼に近づく理由の大半は彼の兄目的であって、彼自身に惹かれて近づく人は少ない。
勿論話しかけたいという人はいるが、不良という肩書きがどうにも近寄り難くしているらしい。
そんな中で出会ってしまったのだ、砕けるのも必然といっていいだろう。
「じゃあ私はここで。またね」
「うん。こんど遊びに来いよ、ゲームしよ」
「気が向いたら行くよー」
「ははっ、待ってる。じゃあね」
お互いの帰路につく。
幾分か柔らかな表情を浮かべる二郎に対して、灯歌の表情はどこか曇っていた。
+ー+ー+ー+
《追加》
〈真波灯歌〉
山田二郎と同じ学校(クラスは違う様子)
見た目に反して天真爛漫で掴めない
本人曰く変に高い自負心
〈山田二郎〉
同じ学校
やや遠巻きにされている
真波灯歌と仲が良い
兄ちゃん自慢を凄くしたいと思ってはいる(するとは言ってない)
ここまで書いといてあれですが、作者はヒプマイについて公になってる部分しか知りません。
なので口調及び世界感の設定が違うかと思います。
分かり次第変更していきますので、宜しくお願いします。