ときメモGSワンドロ・ワンライ
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変なヤツトリオと夜の動物園
紺野先輩から電話があったのは、火曜の夜のことだった。よかったら今週の日曜日、設楽も入れて3人で遊びに行かない?と言われたので、はい、是非!と答えた。どこに行くんだろうなあ、とわくわくしていたら、その日は遅い時間まで空いてる?と聞かれた。遊園地のナイトパレード、行きたいですねなんて話を少し前に3人でしていたけれど、ナイトパレードは8月、今週はまだ6月だ。一体どこへ行くつもりなんだろう。
「夜の動物園、行ってみない?」
「動物園、夜に空いてるんですか?」
「うん、今年から夜間も空いてる時期があるんだって。帰るの遅くなっちゃうから、もちろん自宅まで送ろうと思ってるんだけど……どうかな?」
「行ってみたいです!是非!」
「よかった、それじゃ設楽には僕が伝えておくね」
「ありがとうございます!楽しみにしてます!」
私はわくわくした気持ちで電話を切った。日曜日、楽しみだなあ……と嬉しい気持ちを抑えられず、カレンダーに大きく予定を書き込んだ。
***
日曜日の夕方、バス停の前で紺野先輩と設楽先輩と待ち合わせをして、動物園へ向かった。梅雨の時期で天気が心配だったけれど、今日は天気にも恵まれて、ずっと晴れていた。雨でも動物園には入れるみたいだけど、どうせなら晴れてるほうがいい。昼間は気温も高くて少しじめじめしていたけれど、この時間くらいになると涼しくて、外を歩くには心地よさそうだ。
動物園の入口に着いて、夜の動物園と書かれたポスターが貼られているのを見つけた。いつも昼間は混み合っていて夕方は人がまばらなのに、今日はこの時間になっても多くの観光客がいた。
「夜の営業は19時からなんだろ?まだ18時なのに、もう入るのか?」
「その時間になると混みそうだから、先に入っておこうと思って」
「紺野先輩、調べてくれたんですか?」
「うん、スムーズに入れたらいいなって思ったから」
紺野先輩ははい、と言って動物園のパンフレットを私と設楽先輩に手渡してくれた。パンフレットにもポスターと同じ写真が載っていて、夜の動物園は昼間と違った動物の姿を見ようというのがコンセプトのようで、見られる動物が時間帯によって決まっているようだった。
「どの動物が見たいか決めてから回ったほうが良さそうだね」
「そうだな、とりあえず入るか。小波、何が見たいか決めとけよ」
「私が決めていいんですか?やった!」
「あー…その」
「?」
「今日はピアノは弾かないから」
***
私たちはひとまず動物園の中に入った。入ってすぐのカフェスペースのところに、ストリートピアノが置かれていた。いつもは見かけないから、これも夜の動物園のイベントのひとつのようだった。子どもたちが集まって、音を鳴らして楽しんでいた。外で聞くピアノの響きが不思議に感じた。
「設楽先輩がさっき言ってたことってこれですね」
「設楽、なんで知ってたんだ?もしかして調べてきてたのか?」
「うるさい、知らない、早く行くぞ」
紺野先輩が揶揄うように言うと、設楽先輩は急に早歩きになってスタスタとピアノの前を素通りしていった。私と紺野先輩は顔を見合わせてふふふ、と笑った。そしたら設楽先輩が私たちの声に気がついたのかこちらを振り向いて、笑うなよと少し怒っていた。だけど設楽先輩がここでストリートピアノなんて始めたら人が集まって、きっと設楽先輩のリサイタルが始まってしまうので、今日は弾かなくて正解だと思う。
「ところで小波さん、見たい動物決まった?」
「フラミンゴ、見たいです!」
「わかった、えっと、ずっと奥に進んでいけばいいんだね」
紺野先輩が地図を見ながら、フラミンゴのエリアを確認してくれて、私たちはそこへ向かった。少しずつ日も暮れて、辺りが暗くなってきた。園内はライトアップが始まり、いつもと違う雰囲気を感じた。
フラミンゴのいるエリアにたどり着くまでに暗い中をゆっくり歩くライオンや、走り回っているヤマアラシを見た。紺野先輩がヤマアラシは夜行性だから今が一番元気だよ、と教えてくれた。設楽先輩はうろちょろしてるのおまえみたいだな、と私の方を見て言って笑っていた。
フラミンゴのエリアは、動物園の一番奥にあって、他のエリアよりも人だかりができていた。フラミンゴの周りは、青いライトが照らされていて、幻想的な風景だった。
「わあ、綺麗ですね……」
「ああ、そうだな」
「ピンクと青って意外に合うんだね」
青いライトがフラミンゴのピンクと合わさっていて、とても美しかった。この美しさを残しておきたくて、携帯で何枚も写真を撮ったけれど、その美しさはちっとも画面の中には写らなかった。
「携帯じゃ無理だろうな」
「ですよねえ」
「自分の目でしか見られないってことだね」
「そうですね……また3人で見に来たいです」
「そうだね、また来よう」
「たまには夜の動物園もいいな」
***
その後も園内をぐるりと一周して、入口のカフェスペースに戻ってきた。ちょっと小腹がすいたねという話になって、3人でたこ焼きを食べた。設楽先輩は相変わらずせっかちで、熱々のたこ焼きを食べて舌を火傷しただのなんだの言って怒っていた。私と紺野先輩はそれを見てまた笑っていたのだけど、こういう時間が一番しあわせだと感じた。
「ところで、なんでフラミンゴを見ようと思ったんだ?」
「来る前に調べたらフラミンゴのエリアが綺麗だって書いてたんです」
「小波さんも調べてきてたのか」
「へへ、楽しみだったので……」
「紺野も調べてたんだろ」
「うん、来るの楽しみにしてたんだ。設楽も調べてきてたんだろ?」
「違う、俺はたまたま運転手が教えてくれたんだ」
「変な奴だなあ」
「おまえも小波も変だぞ。やっぱり変な奴トリオだ」
「ふふ、じゃあそれでいいです」
「えっ、小波さんそれでいいの?」
この時間がずっとずっと続けばいいのにな、と願わずにはいられなかった。
20240629
お題:動物
紺野先輩から電話があったのは、火曜の夜のことだった。よかったら今週の日曜日、設楽も入れて3人で遊びに行かない?と言われたので、はい、是非!と答えた。どこに行くんだろうなあ、とわくわくしていたら、その日は遅い時間まで空いてる?と聞かれた。遊園地のナイトパレード、行きたいですねなんて話を少し前に3人でしていたけれど、ナイトパレードは8月、今週はまだ6月だ。一体どこへ行くつもりなんだろう。
「夜の動物園、行ってみない?」
「動物園、夜に空いてるんですか?」
「うん、今年から夜間も空いてる時期があるんだって。帰るの遅くなっちゃうから、もちろん自宅まで送ろうと思ってるんだけど……どうかな?」
「行ってみたいです!是非!」
「よかった、それじゃ設楽には僕が伝えておくね」
「ありがとうございます!楽しみにしてます!」
私はわくわくした気持ちで電話を切った。日曜日、楽しみだなあ……と嬉しい気持ちを抑えられず、カレンダーに大きく予定を書き込んだ。
***
日曜日の夕方、バス停の前で紺野先輩と設楽先輩と待ち合わせをして、動物園へ向かった。梅雨の時期で天気が心配だったけれど、今日は天気にも恵まれて、ずっと晴れていた。雨でも動物園には入れるみたいだけど、どうせなら晴れてるほうがいい。昼間は気温も高くて少しじめじめしていたけれど、この時間くらいになると涼しくて、外を歩くには心地よさそうだ。
動物園の入口に着いて、夜の動物園と書かれたポスターが貼られているのを見つけた。いつも昼間は混み合っていて夕方は人がまばらなのに、今日はこの時間になっても多くの観光客がいた。
「夜の営業は19時からなんだろ?まだ18時なのに、もう入るのか?」
「その時間になると混みそうだから、先に入っておこうと思って」
「紺野先輩、調べてくれたんですか?」
「うん、スムーズに入れたらいいなって思ったから」
紺野先輩ははい、と言って動物園のパンフレットを私と設楽先輩に手渡してくれた。パンフレットにもポスターと同じ写真が載っていて、夜の動物園は昼間と違った動物の姿を見ようというのがコンセプトのようで、見られる動物が時間帯によって決まっているようだった。
「どの動物が見たいか決めてから回ったほうが良さそうだね」
「そうだな、とりあえず入るか。小波、何が見たいか決めとけよ」
「私が決めていいんですか?やった!」
「あー…その」
「?」
「今日はピアノは弾かないから」
***
私たちはひとまず動物園の中に入った。入ってすぐのカフェスペースのところに、ストリートピアノが置かれていた。いつもは見かけないから、これも夜の動物園のイベントのひとつのようだった。子どもたちが集まって、音を鳴らして楽しんでいた。外で聞くピアノの響きが不思議に感じた。
「設楽先輩がさっき言ってたことってこれですね」
「設楽、なんで知ってたんだ?もしかして調べてきてたのか?」
「うるさい、知らない、早く行くぞ」
紺野先輩が揶揄うように言うと、設楽先輩は急に早歩きになってスタスタとピアノの前を素通りしていった。私と紺野先輩は顔を見合わせてふふふ、と笑った。そしたら設楽先輩が私たちの声に気がついたのかこちらを振り向いて、笑うなよと少し怒っていた。だけど設楽先輩がここでストリートピアノなんて始めたら人が集まって、きっと設楽先輩のリサイタルが始まってしまうので、今日は弾かなくて正解だと思う。
「ところで小波さん、見たい動物決まった?」
「フラミンゴ、見たいです!」
「わかった、えっと、ずっと奥に進んでいけばいいんだね」
紺野先輩が地図を見ながら、フラミンゴのエリアを確認してくれて、私たちはそこへ向かった。少しずつ日も暮れて、辺りが暗くなってきた。園内はライトアップが始まり、いつもと違う雰囲気を感じた。
フラミンゴのいるエリアにたどり着くまでに暗い中をゆっくり歩くライオンや、走り回っているヤマアラシを見た。紺野先輩がヤマアラシは夜行性だから今が一番元気だよ、と教えてくれた。設楽先輩はうろちょろしてるのおまえみたいだな、と私の方を見て言って笑っていた。
フラミンゴのエリアは、動物園の一番奥にあって、他のエリアよりも人だかりができていた。フラミンゴの周りは、青いライトが照らされていて、幻想的な風景だった。
「わあ、綺麗ですね……」
「ああ、そうだな」
「ピンクと青って意外に合うんだね」
青いライトがフラミンゴのピンクと合わさっていて、とても美しかった。この美しさを残しておきたくて、携帯で何枚も写真を撮ったけれど、その美しさはちっとも画面の中には写らなかった。
「携帯じゃ無理だろうな」
「ですよねえ」
「自分の目でしか見られないってことだね」
「そうですね……また3人で見に来たいです」
「そうだね、また来よう」
「たまには夜の動物園もいいな」
***
その後も園内をぐるりと一周して、入口のカフェスペースに戻ってきた。ちょっと小腹がすいたねという話になって、3人でたこ焼きを食べた。設楽先輩は相変わらずせっかちで、熱々のたこ焼きを食べて舌を火傷しただのなんだの言って怒っていた。私と紺野先輩はそれを見てまた笑っていたのだけど、こういう時間が一番しあわせだと感じた。
「ところで、なんでフラミンゴを見ようと思ったんだ?」
「来る前に調べたらフラミンゴのエリアが綺麗だって書いてたんです」
「小波さんも調べてきてたのか」
「へへ、楽しみだったので……」
「紺野も調べてたんだろ」
「うん、来るの楽しみにしてたんだ。設楽も調べてきてたんだろ?」
「違う、俺はたまたま運転手が教えてくれたんだ」
「変な奴だなあ」
「おまえも小波も変だぞ。やっぱり変な奴トリオだ」
「ふふ、じゃあそれでいいです」
「えっ、小波さんそれでいいの?」
この時間がずっとずっと続けばいいのにな、と願わずにはいられなかった。
20240629
お題:動物