一学期
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カルマside
買い物の帰り。
さんの家の前でさんと浅野学秀がなにやら話しているのを見つけさっと死角の路地に入る
(あークソ。なにも隠れなくてよかったじゃん…)
結局会話をすべて聞いてしまった。
『しゅうくん』とさんに呼ばれている男
浅野学秀
確か泊まるがどうとか言ってたとき
あれはしゅうくん、って言いかけたんだ、
と気付く。
(は?
じゃあ浅野はさんの家に泊まったことがあるってことか?)
料理を食べるとか、
A組に戻すとか、
やはり恋人という噂は本当だった?
路地に隠れたままグルグルと考えていると
「盗み聞きとは関心しないな」
と浅野に声かけられた
「…通り道なもんで」
ヘラリと笑って路地から出るもそれを無視するかのように
「キミも、今回のテストは悲惨だったな」
と見下したように鼻で笑われる
「…………。」
「悪いがこの先も1位はキミにはとれない。
さんも僕の元に返してもらうよ」
「…さんを返すもなにも別に俺のでもないし。そしてお前の"モノ"でもない」
「いいや、僕のモノだ。昔から決められた。彼女は僕にふさわしい女性だ
そのはずだったんだ。
E組に落ちるまではな」
正直、さんと話しているときからムカついていたコイツのさんへの認識。
「……さっきからさんをモノ扱いしてんなよ。それに…彼女、なんじゃねーの?ならE組になろうがどうしようが関係ないんじゃね?」
本当は認めたくなかった。
噂通り、コイツとさんが付き合っていると。
だが、返ってきた言葉は予想以上のものだった
「ふっ。つくづくめでたい奴だ。
彼女?あぁそうだな。彼女ならE組だろうが別にかまいやしないさ。
ただ、婚約者となると違うだろう?
この僕と将来を誓い合ったんだ。
E組になんかいつまでもいさせるわけにはいかない」
(彼女どころか婚約者、か。…それなら余計だ)
「へぇ…
なら、尚更だな。
アンタみたいな奴にさんは絶対渡さねぇ」
浅野が本当にさんを好きで、さんも浅野が好きで、大切に思っていたのなら諦める努力はしたかもしれない。
だが。
(そんな男にやるくらいなら俺の手で…)
「その"俺みたいな奴"に負けた学年13位の雑魚がなに言おうが遠吠えにしか聞こえないね。ま、せいぜい頑張りなよ」
そう言って浅野は去って行った。
自分はただの片想いでアイツは婚約者。
今の立ち位置、だけでなく今回の学力勝負でも差は歴然。
だからといって諦めることは自分の選択肢に全くなかった
今日、殺せんせーから言われた言葉を思い出す。
(刃を研ぐことを怠ったキミは暗殺者じゃない。錆びた刃を自慢気に掲げた只の"ガキ"です)
言われた通りだ。
俺は今、ただのガキ。
余裕ぶってそれがカッコイイと勘違いして……
(あーー恥ずかしい恥ずかしい)
ブニュブニュとあの触手で俺の頭をつついてくる感触を思い出す
「…チッ。」
もう俺のやることは決まっている
(錆びた刃叩き上げていちから作りあげてやる)
俺はグッと拳を握り固く誓った。
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