無表情な編入生
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~渚 side~
あのE組にとっては理不尽とも言える中間テストが終わってすぐ。
今日のE組の教室はざわめいていた。
この中途半端な時期からE組に落とされるという生徒が来るらしい。
しかもその人物はーーーー、
名無しさん。
スポーツ万能。成績優秀。
あの五英傑にも匹敵する成績らしい。
僕にとっては羨ましい、高身長。
中性的ではっきりした顔立ち。
あまり崩れることのない表情。
そして女子によくモテる。
故に男子からは敬遠されがち。
だが、あの成績トップの浅野学秀の恋人とも噂される人物。
最もE組とは縁のなさそうな人物が今日からクラスメイトになるのだから、ざわめかないはずがない。
殺せんせーに紹介され、カルマくんの隣の席に静かに座る名無しさん。
様々な噂があり、謎が多い生徒として有名なのでチラリと見たことはあった。
ただ、その頃よりもなんだかやつれていて、クールで凛々しい印象の彼女は今はその面影がなかった。
一言で言うと、"抜け殻" だった。
休み時間。
なんとなく声をかけづらかった皆の中で一番最初に声をかけたのは……磯貝くんと片岡さんだった。
「これから同じクラスメイトとしてよろしくな!」と爽やかな笑顔を向ける磯貝くん。
それに対しても俯き、目を反らす名無しさん。
腫れ物に触れるような態度のみんな。
僕はそれを少し離れたところから見ているだけだった。
「ねぇ、なんでE組に来たの?
こんな中途半端なときにさぁ。」
そんな雰囲気を見事に打ち破る人物がひとり。
カルマくんだ。
皆が一番に聞きたかったが一番聞けなかったことを聞く。
クラス一同 "さすがカルマ…!"
といった表情になった。
答える様子もない名無しさんに矢継ぎ早に質問をぶつける。
「浅野とはどんな関係なの?
噂になってたよね?」
どの質問にも変わらず反応すらしない名無しさんにカルマくんは少し苛立った様子だった。
「て、ゆーかさ、皆の態度見てみなよ。
エンドのE組に来たショックはわかるけどさぁ
歩み寄ろうとしてる皆のことちゃんと見えてる?
どんな理由でここに来たのかは知らないけど、そんなんじゃA組だけじゃなくてこのクラスでもやっていけないよ?」
クラス一同 シン… と冷ややかな静寂を感じた
さすがにそれは言い過ぎだと片岡さんが制止に入る。
取り繕うように「気にしないでね、みんな名無しさんのこと歓迎してるからね」と片岡さんが声をかけるも、
その言葉にもなにも響いていないかの
ように、俯いたまま「ゴメンなさい」と呟く名無しさん。
その瞬間、ギョッとするカルマくんや、僕を含めたみんな。
表情ひとつ変えず謝罪を口にする名無しさんは心のないロボットのようで不気味だとも思った。
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