一学期
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カルマと渚が殺せんせーに連れられ、ハワイまで映画を見に行った帰り。
興奮冷めやらぬカルマは鼻歌を歌いながらある場所へ向かった。
その頃、さんはご飯を食べていた。
ピンポンとチャイムがなる。
さんが時計を見ると21時すぎ。
こんな時間に誰だと不思議に思うが1人心当たりのある人物がさんの頭をよぎる。
(まさか、……)
だがそこには予想に反した人物がいた。
「お邪魔しまーす♩」
そう軽快に言いドカッとソファに座ったのはカルマだった。
サクラも客が来たことで嬉しそうだ
「ポップコーン食べたけど…うまそうだね。これもお手伝いさんが?」
テーブルに並べられた、
さんが先ほど食べようとしていた食事を見てカルマは関心していた。
『ううん。自分で作るよ。』
「ふーん。
あ、なら毒味してあげるよ。」
あ。
と当然のように口を開けて待つカルマ。
『いや、いい。味見もしてるし。』
淡々と答えるさん。
「ん?恩人の言うことが聞けないの?」
さんは グ、と押し黙りそのまま何も言わず黙ってカルマに新しい箸を渡すべく台所に立った。
実は登校していなかったときの食材代はまだ受け取ってもらっていないのだ。
「これからじっくり返してもらうね♩」とニヤリと笑ったカルマの意図を今しがた理解していた。
(はぁ。逆らえない…。)
今日のメニューは豚汁と焼き魚とひじきの煮物。
『お腹の具合は?つまむだけ?まだあるけどお皿に入れようか?』
そう声をかけると途端に「まじ?いいのー?ヤッタァー」と抑揚なく答えるカルマにやれやれと息を吐き出すさんだった
台所で作業するさんを見て
なんかいいなぁ、とボーッと考えているカルマ。
咄嗟になに馬鹿なことを、と思考を遮る
カルマの前に食事を並べ終わったさんは、自分も一緒に食べようと向かいに座った
「んー!んま!」
一品一品に同じ台詞を言う彼にさんは少し体を横にゆらゆら揺らしながら唇を尖らせ どうも。と呟いた。
さんもさんで身内以外で料理を振る舞うのは初めてで、しかも父達と同じように「美味しい」と食べてくれるのが相当嬉しかった。
さんは口元にはあまり表情は出ないが目や他の所が実はかなりわかりやすいというのはカルマも気付いていた。
今も体が揺れている
(さんって嬉しいと体揺らすんだw)
それに気づいてクク、と笑いそうになる
控えめではあるがコロコロ変わる表情を見ていると面白い。
「まさかこんなちゃんとしてるとは思わなかったよ」
冗談っぽく言うと
『…………。』
ピタリと体が止まり無言でカルマを睨みつけるさん。
(わかりやすっ!)
なんで今まで気づかなかったんだろうか
『私が家事とかはしてたから…。最低限のことはできるよ。』
唇を尖らせたまま拗ねたように呟く彼女にカルマの心臓が跳ねる
(あ、初めて見たカモ。拗ねたとこ)
「……可愛い。」
………。
…ん?俺今声に出てた?
つい自分で吐いた台詞に驚く。
心の中で呟いたつもりだった
まさか口から出るとは…
反応が気になり恐る恐る彼女の方を見やると
『…………どうも。』と先ほどと同じ台詞で口を尖らせ先ほどより真っ赤になっている。
さんは先日、クラスメイトたちとクレープを食べに行った時のことを思い出し
(さんって照れた表情はよく出るよね)
表情を隠そうと俯き、ぽりぽりと頭を掻く仕草で誤魔化そうと必死になっていた
(………っ!!
…なんだこれ。
急に心臓が痛い。)
「ゲホ!…ンンッ、!」
それを見たカルマは
食べ物が気管に入りかけて焦る
なんだ、今の…。訳のわからない急な痛みに心臓のあたりをギュゥと掴む。
痛みはすぐに引いてくれたようだ
『だ、大丈夫?カルマ』
心配そうに隣に来たかと思えば背中をさすりながら水を差し出すさん。
途端に触れられた背中が熱くなる。
(あー、やばコレ…これ以上は無理…)
あまり考えないようにしていたカルマだったが曖昧に思っていた気持ちはどんどん確信に変わっていく
今、自分しか見ていないこの表情を見るとなんとも言えない、征服感が煽られる。
(いつかさんが笑うとこ見たい…)
ーーーーーーーー
「ご馳走様でした」
食べ終わって食器を片付けようと立ち上がると、
いいよいいよとさんに止められる。
押し問答の末一緒に片付けることに。
今度は意図して
「んまかった!いい奥さんになれるねさんは」と
悪戯っぽく言うと
案の定『も、もうそーゆーのいいから…!』
とまた真っ赤になるさん。
この表情を見るためにわざわざからかってしまう自分のガキっぽさに内心呆れながらもさんとの穏やかな時間を楽しんでいた。
時計を見るとそろそろ22時半。
女子の家に男が夜遅くまでいるのは色々まずいだろうと帰る支度を始める。
その様子を見たさんは
『てっきり泊まらせろとか言うのかと…』と驚いていた。
その言葉に内心動揺しつつ平然と
「なに?期待してた?」
そう言うとまたさんは顔が真っ赤になって…………、はいなかった。
予想に反して心底不思議といった表情で
『なにを?』
と首をかしげる。
「え。」
『え?』
(なにそれなんか俺が恥ずかしいじゃん…っ!)
自分の反応に反して、腹が立つほど平然と不思議そうに首を傾げるさんに悔しさを感じてしまうカルマ。
そんな彼を知ってか知らずか
『うちのほうが通学に便利だからこのまま泊まらせてくれ、って今日来たのかと思ったよ』と言ってのけるさん。
(これは苦労しそう…てゆーか俺を…男を家に泊めることがどういうことなのかわかってないのがなぁ…)
先のことを考えると頭を抱えたくなるカルマ。
『だって、しゅうく…あ、いや。
なんでもない』なにか言いかけて咄嗟に口を紡いださん。
かなり気にはなるがカルマはこれ以上さんといると理性が効くかどうか危ぶまれるので帰る用意を早めた。
「泊まりはしないけど、また遊びに来させてよ。ごはんも美味しかったし。
ごちそうさま。また明日ね。」
そう声をかけると『ん。』と一言だけ無表情はそのままに手だけをヒラヒラと振るさん。
その顔と行動のミスマッチに吹き出しそうになるがなんとか堪えてさんの家を後にした
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