一学期
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烏間からのメールで明日は転校生が来る、と連絡があった。
岡島のみ大分浮かれていた。
さんも修学旅行後の少し現実に戻されたような重い気持ちだったが、転校生が来るということで少しワクワクしているようだった。
そのワクワクを見事砕いたのはさんが教室に入った瞬間からだった。
パクパクと口だけを動かして話す
"自律思考固定砲台"。
思わずあんぐり、と口を開けて見つめているとカルマに「さんとさほど変わんないねー」と言われた。
『どーゆうこと?』と返すと
「表情の出にくさ?」と言われた
すると、陽菜乃が「あー!さんいじめるのハンターイ!そこがかっこいいんじゃん!」とぎゅっとさんに抱きつく。
修学旅行から女子と一段と距離が近くなったさん。
陽菜乃に「ねー、さん♩」と笑顔を向けられる。
あぁ、可愛いなぁ…とボーッと陽菜乃を見つめるさん。
そんな様子をみてカルマは
「かわいいの間違いだろ」とポツリと呟いた。
それを聞き逃さなかったのは磯貝だった。
磯貝も同じ。
いつか自分の手でさんを笑顔に出来たら…
そんなことを考える2人だった。
磯貝はカルマの発言を聞いて焦ると同時に、どこかでカルマには敵わない、と思っていた。
確かにさんは変わらずポーカーフェイスだが、少しずつ。
クラス全員がさんの感情を読み取れるくらいになっていた。
そうさせたのは紛れもなくカルマのおかげだろう。
だが最初から諦めるつもりはない、と密かに決意を固める磯貝だったーーー。
ーーーーーーーーーーーーー
自立思考固定砲台が"律"、と名付けられ無事クラスに馴染んだのをホッと胸を撫で下ろすさん。
『よかったね、律。』
そう声をかけると「さんさんはお優しいですね」と笑顔を向けられる。
「私が皆さんに暗殺で迷惑をかけたときも私を一回も攻めることなく心配そうに見守ってくださいました。その節はありがとうございました!」
今初めて声をかけたのに…
さんは自分が律の視界に入っていたことに驚いた。
来た時には自分と同じく、無表情と言われた彼女が可愛く笑う姿を見て羨ましい、と思ってしまうさんだった。
ーーーーーーーー
帰ろうと席を立つとカエデと陽菜乃に「クレープ一緒に食べよう!」と誘われる。
初めて放課後友達と遊ぶ!と少し嬉しくなった。
ふ、と約束はしていないがいつも当たり前のように一緒に帰っているカルマの存在を思い出す。
「じゃ、お先~。」とヒラヒラと手を振り教室を出るカルマ。
気を遣ってくれたのか。
どちらにせよ、初めての嬉しいお誘いを断る理由はなかった。
クレープを頬張りながら幸せそうに顔を緩める彼女たち。
いつもの変わらぬ表情でクレープを食べているのはさんだけだった。
『2人とも美味しそうに食べるね。可愛い。』
そう言い陽菜乃の口元のクレープを布巾で掬いとる。
するとカエデに「さんってさ、修学旅行のときに思ったけど、楽しいときとか表情には確かに出ないけどちょっと体ゆらゆら揺らすよね?」と言われる
するとふたりがピッ、とこっちを一斉に見る
その視線に緊張して背筋が伸びる
「あー!ほんとだ!今体止まった!確かにさっきまでゆらゆらしてたね!」
可愛い〜!と陽菜乃が頭をわしゃわしゃと撫でてくる
「さんは表情に出ないかもだけどそれ以外でわかりやすいとこあるかも!だからちゃんとわかってるからね!」
カエデにも頭を撫でられ、なんだか恥ずかしくなって下を向いて ありがとう、と呟くさん。
すると陽菜乃とカエデは顔を見合わせポカンとした。
「さんってさぁ…」
「照れるのは表情に出るよね…」
2人が呟く。
顔が赤く染まったさんを見てギャップに萌える2人だった。
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