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小蘭とマルコが平行世界に飛び、降り立ったのは東の海にあるフーシャ村だった。
魔力を沢山使った為か小蘭は幼くなってしまい、ほぼ赤ん坊になってしまった。身の回りの事は出来ずマルコと意思疎通もできない。ただ話をする事は出来ないが十歳だった頃の記憶はある様で、首からぶら下げている鍵をよく握りしめている。
家は山の麓で村から少し離れた空き家を村長から格安で譲り受けた。マルコが持っていた少しのお金が問題なく使えたのは幸運だった。それがなければ何処かにお金を作りにいくしかなかったが、赤子を連れてでは少々難しかっただろう。
情報収集をすると6歳のルフィがいて、シャンクスが定期的にフーシャ村に寄っている時期。エースが死ぬ運命のあの日よりも十年以上昔に遡ってしまったらしい。
恐らく世界を渡るに当たって魔力の暴走・制御できなかった事で起きてしまった現象らしい。小蘭は言葉を話せないので申し訳なさそうに顔を歪めて身体に引っ張られて泣いてしまったが、マルコにとっては十分でむしろ好都合であった。時間が多ければ多いほど準備が出来る。そう言って笑った。
マルコはオルニスと名乗る事にした。生前は露出も多かったが、今は素性を知られる訳にはいかないので黒い長袖のジャケットを着てパーカーを深くかぶって顔と頭を隠し、下はよく似た七分丈のズボン、男には意外なヒールのあるグラディエーターを履いている。
そしてこれは一番の問題だがマルコもといオルニスは死人だ。肉体は滅んで魂だけの存在で本来ならそこに存在しているのもおかしい話。そんな彼に小蘭が魔力を分けて肉体を作った。作ったと言っても実体化をするという意味なので半永久的な肉体ではなく、魔力が減れば直ぐに幽霊の様に薄透明になって物が触れなくなり、もっと枯渇すれば姿を見せる事すらも出来ないあやふやな存在だ。それもまたマルコは仕方が無いと思った。生き返るだなんて人の理から外れる様な行為が出来る筈がないと思っていたからだ。
一番何が苦労するといえば、魔力の配給がなければマルコは小蘭の世話がほぼ出来ないことだった。魔力配給にもムラがあり、一日二時間しか実体化をして活動できない日もあれば半日以上活動出来る日もあった。突然消えてしまうような事はないのでダメだと思ったら直ぐに家に帰ればいいが、二時間しか世話が出来ない時は大慌てでフーシャ村に行って物を買い込んだり、小蘭にお腹いっぱいミルクを飲ませたりしていた。
元々小蘭は赤子ではなかったせいかある程度空腹は我慢出来るし、仮に一日放置されても多少は衰弱するものの本来の赤子と比べたら特に問題は少なく、二時間近くしか行動できない日の翌日はその反動で長時間活動出来るようになる。短時間の日は大人しくして過ごし、長時間活動出来る日に準備や活動をしたりして毎日を過ごしている。
やるべき事は沢山あるが、今は大人しく小蘭の成長を待つしかない。せめて意思疎通が出来て魔力の配給が安定するまではこの場所で生活をするつもりだが、この島にはエースがいるかもしれない。いつからエースが現れるのか分からないが、会うつもりは全くないので動けるギリギリの時が来れば急いで島を出るつもりだ。
ルフィに見つかるのは仕方が無いが、ルフィがエースに話し、エースが後に白髭海賊団に加入してこの世界のマルコにオルニス達の事を話してしまうという事も考えられる。
どう動くべきか、とオルニスは頭を悩ませながら小蘭をその腕に抱いて山の麓で毎日を過ごしている。