彼女は立ち向かう。
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「お前らを中忍試験に推薦しといたからな」
ルカが退院してから十数日後、任務はないが呼び出しがあったので集合場所に集まった四人を前に、アスマは姿を現わして直ぐにそう宣言した。
心なしかアスマは楽しそうだ。
「へぇ」
「……中忍試験ね~」
「中忍試験かー」
「………」
「…お前らもうちょっと驚くかなんかしろよ」
だがアスマの思惑とは裏腹に、四人の反応は薄い。ここにいるのは名家の子供なので誰も動揺はせず、ルカも黙ってくーちゃんを抱きしめている。
そのあまりのそっけなささにアスマはガクリと肩を落としてため息を吐いた。
「……まぁ、説明の手間省けるから良いか…。じゃあ明日この志願書を持って午後四時までに学校の301に来ること。あ、全員で来いよ、一人でもかけてたら受けられねぇから。じゃあ解散」
それだけ言うと、珍しく直ぐに姿を消した。これから任務が入ったのか何なのか、用事があるのだろう。仕方が無い事ではあるが、それはそれで少しだけ残念な気にもなる。
本当にいなくなったのを確認すると、いのは皆の方を向いた。
「ねぇ、これからどうする?」
「なんか食べに行こうよ、お腹すいた!」
いのの言葉に真っ先に反応したのはチョウジで、その提案にシカマルもルカも賛成し、四人は仲良く歩き出した。
ほんの少し前にあった三人と一人の間の溝は今はもう存在しない。
************
おやつ時だったため、四人は甘味処を訪れた。チョウジは周りに驚かれるぐらい注文し、あとの三人は団子やあんみつ等の好きなもの、そしてお茶を頼んでいる。
たわいもない話を始め、色々な事を話題に出した後、注文が届いてからは先程担当上忍が知らせに来た事へと話は変わっていった。
「…中忍試験さ、大丈夫かな」
「…そう、よねぇ……」
それまで美味しそうに食べていたチョウジが団子を食べながらではあるが不安そうにそう呟く。いのも同意をした。
シカマルも顔には出ていないが内心はもしかしたら不安だと思っているかもしれない。お茶を飲む回数が多くなった。
そんな三人を見て、ルカは口を開く。
「…ずっと、」
「?」
「…ずっと四人で修行してきたから…きっと大丈夫だよ」
「!」
黙っておはぎを頬張っていたルカが少し照れ臭そうに言う。
ルカが前向きな発言をするのは珍しいが、彼女は成長を見せていた。前を向く事を決め、仲間の尊さを知った彼女の力強い言葉は三人のやる気を擽った。
暗い空気と表情はどんどん明るくなっていき、いのは顔を輝かせて笑った。
「そうよ…ルカの言う通り!私達は他の班よりもチームプレイが得意だもの、四人で力を合わせればなんとかなるわ!」
「…そうだよね、…なんとか、なるよ!」
いのに続いてチョウジも笑う。自信に満ちあふれた笑みだ。
シカマルもまた少しだけ表情を緩め、団子を口にしているルカに向かって言った。
「…頼りにしてるぜ、特攻隊長サマ」
「…!……もう…!」
ルカは困った様に微笑みながら団子の串を皿に乗せ、お茶を飲む。からかいの言葉に少し不満はあるが、それと同時に頼られている事が嬉しくて仕方が無い。
「シカマルが司令塔になり、私がシカマルの補佐をしながら状況判断、ルカが相手に突っ込んで、チョウジがルカの援護をしながら相手をなぎ倒す。
私達のチームプレーはそうそう勝てる人達もいないでしょ!」
いのが胸を張って言うと、皆も同意しているのか頷く。
それに付け足すようにルカは口を開いた。
「勿論、油断しないようにしないとね」
「えぇ、気を付けるわ」
四人で修行を初めてからもう耳にタコができる程ルカにそう言われているが、それを嫌がることはせずにちゃんと理解している事を示した。
それは強い人からのアドバイスと行っても過言ではなく、そういうアドバイスではルカも同じことを繰り返すが、三人共あたかも初めて聞いたかのように聞いている為ルカ自身も気分良く注意やアドバイスを口に出している。
チームプレイについては修行を始めると決めた際に、まだルカが退院できていないので先に決めた事だった。
お互いにお互い、得意不得意が違う。
シカマルといのは戦闘についてはできるが得意ではない。
チョウジは戦闘に関しては己の肉体で戦うが頭の回転が速いかと聞かれたら否でまだまだ攻撃に関しても発展途上中。
ルカは頭も良いし戦闘も4人の中どころか同期では断トツだが、心を開いたとはいえ人見知りで消極的な部分もあり、その消極的な部分が足を引っ張っている事もある。
だからシカマルといのは後方支援、チョウジは攻撃補佐、ルカは前方攻撃を担当することとなった。
それからルカは術のお披露目もした。まだ剣術や傀儡のきゅうーちゃんなどについては喋っていないが、彼女オリジナル術は危険度が低いものを他の三人に知ってもらっている。
特にオリジナル術の中でも『草結び』などは安易に習得できるのでもしもの為にシカマル達も習得した。
明日を迎える事は不安だが、それと同時に高揚感もある。仲間と共に戦う喜びと、楽しさ。
「じゃあ明日、3時にこの場所で!」
「うん」
「りょーかい」
四人は不安と希望を胸に秘め、帰路へとついた。