【番外編】彼女と夢をみた
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初めてあいつを見かけたのは待機室から見える丘の上の木の下だった。小さな少女がクマの人形を抱えて座り込んでいる。
何処にでもありそうな風景ではあるが、それを見る頻度は多く、観察して分かった事はアカデミーの昼休みの時間帯は必ずそこにいる事。
ダチがいないのかと思ったが俺には関係のない事なので、暇なときに遠目でいるかを何となくで確認するぐらいだった。
状況が変わったのはアカデミーの班決めの日。俺は直接関係ないが、仲のいいアスマやカカシが担当上忍になるので日付はしっかりと覚えていた。
二人は忙しくしていたので朝から会っていないが、何となく気になったので窓から丘の上を見ると案の定少女はいた。
目を細めてじっと見つめると微かに首元に光るものがあるのが分かった。額当てだろう。しっかりとアカデミーを卒業したということで、誰かと班を組んだ筈だがそれでも一人。
俺と同じく何となく観察するようになっていたハヤテにひと声かけ、特に忙しくしていなかったので二人して少女に会いに行った。
少女と話をしてみるとものっすごい人見知りだった。人と中々目を合わせられねぇとかそれなりに人と関わる事がある忍としては致命的だ。
気になっていたのもあったのでそれなりに会話をして見ると人見知りの臆病ではあるが芯はしっかりしているということが分かった。優柔不断というわけではなさそうだ。
ちょいっとばかしその透き通った水色の瞳が気になって、いつの間にか友達になろうと声をかけていた。
その後直ぐにその話を知った同僚たちにロリコンと囃し立てられたが、俺は決してロリコンではないと宣言した。
その次に会ったのは町中。チームメイトとやっていけてんのかと心配していたが、まぁそれなりにうまくやっていたらしく少しだけ安心した。
それでも臆病なのは変わりないので励ましていたがハヤテの登場で状況は一変。
誇れるもの。この臆病な少女にとって何なのかが気になったが、実際見てみるとそれはまさしく忍としては大きな力だった。
友達であることを否定しないが、上忍として言うなら些か残念ではある。自分の力をどう扱うかは本人が決めたらいいが、その力をしっかりと使えばいいのに。
だが、その時に見せていた真っ直ぐな瞳に俺はとても惹かれてしまった。
馬鹿な、と思った。まさかこんな事になるなんて。俺の半分も生きてない少女に俺は恋をしてしまった。
「ゲンマさん」
クマの人形を小さな身体で抱きしめながら小さく照れくさそうに笑う少女を前に、俺はいつもの笑みを作った。
俺達は友達で、師弟の関係だ。それ以上でもそれ以下でもない。俺は少女にとって頼れる大人でありたいし、数少ないその立場を自ら捨てる気はさらさらないというのに。
どす黒いこの感情がどうか少女を傷つけませんように。そう願わずにはいられなかった。
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