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第一章〜魔術師への第一歩〜

壮年の魔術師がその場を取り仕切り、修理を行なった。

彼が片手をかざすと、噴水の破片が宙に浮かび、まるで時間を巻き戻すように元の位置へ戻っていく。
噴水は艶やかな水面を取り戻し、破片だったはずの石が息を吹き返したように完璧な姿に戻っていた。地面に転がっていた古鐘は、微かな振動音を立てながら、空中でゆっくりと回転し、正確無比にその場所へ収まる。
気がつけば、王族たちが愛した、由緒ある美しい情景が復活していた。

熟練魔術師の能力を目の当たりにし、受験者から大きな歓声があがった。

「カーター様、会場の確認が終わりました。怪我人はおらず、また、その他の破損は見つかりませんでした」
「うむ、ご苦労」
壮年の魔術師もといカーターは、白髪の混じる顎髭を満足そうに撫でた。

「これで全て元通りだな。さて……クレア、と言ったかな」

クレアは今にも消え入りそうな声で謝罪する。
「ごめんなさい。わ、私のせいで……壊してしまって……」
「気にすることはないさ、私達で全て修復したからね。まあ、わざとやったことじゃないんだろう?」

クレアをじっと見据えた。
そのヘーゼルの瞳には、何か特別な期待感が込められているようだった。

「一次試験は合格としよう。さあ、次の会場に行くといい。次の試験はそこで発表される」


合格、という言葉に、クレアは耳を疑った。
「ご、合格?そんな……本当ですか?」

カーターが励ますように背中を優しく叩き、近くの魔術師に目配せをした。
「悪いが、この子を案内してやってくれ」

クレアは頭が疑問符でいっぱいになりながら、別の魔術師になんとか支えてもらい、会場をあとにした。


カーターは横目でへこんだ古鐘を眺めた。
「それにしても派手にやったな、あの子は」

修復することは容易だったが、そこだけはあえて残した。
それは、ある人物にその痕跡を見てもらいたいという彼なりのささやかな意図だった。

「ーーきっと、あの方がみたら喜ぶだろう」
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