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マイ本丸メンバーが焼肉を食べに行くだけの話

2015/05/05 23:34
その他
タイトル通り、マイ本丸メンバーが焼肉を食べに行くだけの話。
※苦労性な長谷部さんがいます。



続き




難所を越えたお祝いに、今晩は現世で好きなものをお腹いっぱい食べてきても良いですよ、と。
椿寺での歴史修正主義者との交戦に勝利を収めたその日、主たる審神者からそう告げられた、とある本丸の第一部隊の面々――加州清光、秋田藤四郎、にっかり青江、堀川国広、へし切長谷部、蛍丸。
多数決、じゃんけん、そして実践と見間違えるほどの鬼気迫る真剣勝負の末、六人の刀剣男士がやってきたのは、とある焼肉屋だった。
「さてと。適当に注文しても大丈夫かな?」
席に着いた全員が首を縦に振ったのを確認して、堀川はやってきた店員へと注文を述べる。
「すみませーん、中落ちかルビと上牛タン、あとハラミを三皿、豚トロと牛ホルモン四種盛りと野菜盛り合わせを一皿ずつ、それからシーザーサラダ一つとドリンクバー六人分お願いしまーす」
息継ぎもそこそこに淀みなく注文を終えた堀川に、長谷部はほう、と息を吐く。よくもまああれだけの注文を、すらすらとつかえずに言えるものだ。
「取り合えず飲みもの取ってきますけど、まずは皆ウーロン茶でいいかな?」
「堀川さん、僕が行ってきます!」
「俺も行くよ。秋田一人じゃ、六人分は持ちきれないでしょ」  
通路側の席に向かい合って座っていた秋田と蛍丸が揃って席を立つのを見届けてから、長谷部は改めて堀川へと視線を向ける。
「先ほどの注文、随分と手馴れていたな、堀川」
「あはは、あれぐらいどうって事ないですよ!」  照れたように頬を掻く堀川を横目に、加州は誰に聞かせるでもなくぽそりと呟く。
「堀川はこっちに来るたびに呪文みたいなコーヒー飲んでるけど、それで鍛えられているのかな」
「そういえば、こないだ行ったラーメン屋でも呪文みたいな注文してたねえ。何だったかな、ヤサイマシマシニンニクアブラカラメ、だったっけ?」
加州と青江が取り留めのない会話を続けていると、お待たせしましたと、やってきた店員が注文した品をテーブルに並べていく。それに続いて、なみなみとウーロン茶の注がれたグラスを手に戻ってきた秋田と蛍丸が、てきぱきとグラスを各々の前に置いていく。 「じゃー長谷部さん、いつものやつお願いしまーす」 加州に促されて、長谷部は手にしたグラスを掲げ、こほんと一つ、咳払いをして。
「えー。今回もまた主命を無事に果たせた事を祝して、乾杯!」
「「「「「かんぱーい!」」」」」
長谷部の乾杯の音頭に続いて、六人の手の内にあるグラスが、かちん、と、高く涼やかな音を立てた。 「はいはーい、じゃあお肉焼きますよー」
手際よくトングで肉を焼く堀川。やっきにっくやっきにっくと上機嫌な秋田の声に、蛍丸のそれが重なる。食後には甘いものが食べたいねえとメニューを捲る青江に、俺も俺もーー、と加州が手を上げる。テーブルに並べられた皿の数を前に、主から預かってきた財布の中身を心配し、いざとなったら自分が足りない分を払えば良いと心に決める長谷部。
肉の焼ける音に混じって弾ける、楽しそうな笑い声。 刀剣男子達の賑やかな祝賀会は、まだまだ始まったばかりだった。



2015.05.05




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