政府の配慮によって、うちの本丸にも小狐丸がやって来ました
「大将、さっきから庭に顔を向けているが、何か聞こえるのか?」
ぼんやりと窓の外を向いたまま動かない主を訝しく思って薬研は尋ねた。が、庭園に目を向けた瞬間、その理由がわかった。
「小狐丸か」
庭では小狐丸と三日月宗近が何やら楽しそうに談笑している。その声を聞きながら、主はしみじみと呟いた。
「うちに小狐丸がいるっていうのが未だに信じられねぇ」
「墨俣には随分と世話になったからなあ」
過去の、幾度とない戦闘を思い返して薬研もしみじみと語る。
「途中から検非違使だの、えらく機敏な槍だのを相手にして、正直言って何のためにここにいるのかわからなくなっていたぜ」
「ほんとにな」
「最終的に政府が見つけて連れてきてくれたんだよな。大将、これじゃ、政府に足向けて寝られねぇな」
笑って軽口を叩いたが、主の反応はなかった。何を考えているのか、神妙な表情で黙り込んでいる。
「大将?」
「……なあ、薬研。戦力拡充という名目で、政府が新たな戦力を置いてくれる時あるよな」
「ああ」
「あの合戦場は政府が用意した訓練場だ。それってよ、つまり、政府は新たな戦力とも言うべき刀剣を既に確保してるってことだよな」
「まあ、そうだな」
「…………」
「…………」
不穏な静けさが執務室を覆った。小狐丸と三日月は連れ立って庭から出ていく。遠のいていく声が完全に聞こえなくなった後、主は意を決したように言った。
「よし。薬研、部隊を編成するぞ! 手っ取り早……いや、戦力増強のため、今すぐ政府を襲っ……」
「それ以上は言わねぇ方が身のためだぜ、大将」
微笑みつつも冷静な口調で薬研は主の言葉を遮った。
ぼんやりと窓の外を向いたまま動かない主を訝しく思って薬研は尋ねた。が、庭園に目を向けた瞬間、その理由がわかった。
「小狐丸か」
庭では小狐丸と三日月宗近が何やら楽しそうに談笑している。その声を聞きながら、主はしみじみと呟いた。
「うちに小狐丸がいるっていうのが未だに信じられねぇ」
「墨俣には随分と世話になったからなあ」
過去の、幾度とない戦闘を思い返して薬研もしみじみと語る。
「途中から検非違使だの、えらく機敏な槍だのを相手にして、正直言って何のためにここにいるのかわからなくなっていたぜ」
「ほんとにな」
「最終的に政府が見つけて連れてきてくれたんだよな。大将、これじゃ、政府に足向けて寝られねぇな」
笑って軽口を叩いたが、主の反応はなかった。何を考えているのか、神妙な表情で黙り込んでいる。
「大将?」
「……なあ、薬研。戦力拡充という名目で、政府が新たな戦力を置いてくれる時あるよな」
「ああ」
「あの合戦場は政府が用意した訓練場だ。それってよ、つまり、政府は新たな戦力とも言うべき刀剣を既に確保してるってことだよな」
「まあ、そうだな」
「…………」
「…………」
不穏な静けさが執務室を覆った。小狐丸と三日月は連れ立って庭から出ていく。遠のいていく声が完全に聞こえなくなった後、主は意を決したように言った。
「よし。薬研、部隊を編成するぞ! 手っ取り早……いや、戦力増強のため、今すぐ政府を襲っ……」
「それ以上は言わねぇ方が身のためだぜ、大将」
微笑みつつも冷静な口調で薬研は主の言葉を遮った。