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波風ミナトはその時を待っている



クシナside


木の葉のくノ一は16歳の歳になると色の講座を受けるのが決まりである。座学を受けたら実技。それは色も例外ではない。
この時期になると木の葉のくノ一たちは意中の男にハジメテを貰ってほしいと里を奔走するのが名物である。
この時ばかりは里中が色めき立つのだ。




里の若いくノ一が色めき立つ中、私は浮かない顔でため息をついた。
なぜかって?それは……

「あら、うずまきさんじゃない。浮かない顔してどうしたの?ああ、忘れてたわ!アナタ、色の講座落ちたらしいじゃない」

クスクスと笑いながら複数のくノ一たちが私に声をかけてきた。

「実技まで受けられないくノ一だなんて、笑っちゃうわ」
「まあそのガサツさじゃねぇ」
「うずまきさんは色気よりも食い気でしょ」

好き勝手に言われるのを黙って聴きながらクシナは彼女たちを真正面から睨みつける。

「な、なによその顔!そんなのでミナトくんを落とそうだなんて身の程を弁えたらどう?」

「……言いたいことはそれだけ?っていうか何で今ミナトの話が出てくるってばね!いくら私がガサツだからってミナトを崖から落としたりなんかしないってばね!」

私の返答に少女達は一瞬固まったが、ブツブツと何かを言いながら足早に去っていった。

少女達が去っていった方向を見ながら私は先程より大きなため息をついた。
最近、くノ一達にこういった絡まれ方をされるのだ。しかも何故かミナトが話に出てくるし。
何より、私がミナトを崖から落とすほどの凶悪な女だと思われていただなんてあんまりだわ!
色の実技を受けられない事だって、九尾の人柱力だから三代目様に禁止されました。なんて言えるはずないじゃない!
講座に落ちたからなんてあまりにも不名誉すぎる!…もう少し断らせ方どうにかならなかったの?


悶々とそんな事を考えながらクシナは本来の目的である商店街へと向かう。
道中、自分と同じくらいのカップルと何度かすれ違った。そうか、彼女達は上手くいったのかとぼんやりと思う。

この時期は木の葉ではカップルがよく誕生する。くノ一の実技のことも相まって、好きな人に告白する人達が多いからだ。

人柱力じゃなかったら、私もあんな風に好きな人と過ごせていたのかな…。

ふと、ミナトの顔が思い浮かぶ。

まただ。どうしてミナトの事なんか思い出しちゃうんだろう。きっとさっきのくノ一会話に出てきたからだ。きっとそう!

それに今頃ミナトはくのいち達に言い寄られているに違いない。彼女が出来るのなんて時間の問題だろう。
どうしてか少しだけモヤッとした。


———実技まで受けられないくのいちなんて———

ふと先ほど言われた言葉を思い出す。

やっぱりちょっとムカつくってばね!!
こうなったら新術生み出してやる!
題して、お色気の術ってばね!!!




クシナは頑張った。とにかく頑張った(略)





か、完成したってばね…!!




あとはこの術が効果があることが証明できれば良いのだけど……こんなアホらしい事を頼める異性など限られている。

そう思っていたらツンツンとした癖毛の金髪が頭が目に入った。ラッキー!さっさと証明しに行くってばね!


私は大声で名前を叫んだ。



「ミナトーーーー!!」

振り返るミナトは呼んでいる相手が私だと気づくと一瞬驚いた表情をした。

もしかして崖から突き落とされるとでも思ってるのかしら!?失礼なやつ!まぁいいや、これからこの術でミナトを驚かしてやるんだから!

赤く染めた頬にウルウルの瞳、顔は少し角度をつけて、上目遣い。
言葉を発する前から勝負は始まっている。
そう、あとは甘ったるい声で誘うのだ。


「ミナト、頼みがあるの」


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