『A』
Alba
ディーは部屋から出ていった。私に紹介したい人がいるのだそうだ。着替えはベッドの横に置いてあるとディーは言っていたので、探してみるとそれらしい服をみつけた。
「……これか」
あの時私が着ていた服は駄目になってしまったのだろう。ここに置かれているのは白いシャツと黒いズボン。どちらも、汚れ1つない。これを私が着てもいいのだろうか。……まあいい。せっかく用意してもらったんだ。着てみよう。
「……」
着てみたが、何故か違和感がある。……よく見ると、シャツもズボンも男物だ。
「アルバ、入っていい?」
ディーの声だ。
「ああ。」
扉が開く。
「あ、本当だ。起きてる」
ディーと一緒に来たのは、茶髪に青い目の男だった。背はディーよりも高い。青い上着を着ている。
「アルバ、だっけか。怪我は大丈夫なのか?」
「おかげでだいぶ楽になった。ありがとう。」
「そっか」
男はにぃっと笑う。眩しい笑顔だ。
「それはよかった。……あー、自己紹介がまだだったな。オレはニール。ニール=ディラグスだ。」
「ニールがアルバの手当てをしてくれたんだよ!」
ニールは恥ずかしそうに頭を掻く。
「ディーがお前を抱えて俺の所まで来たんだ。泣きながら『この人怪我してる、助けてあげて』とか言ってな。」
「そうだったのか……。ありがとう。2人が助けてくれなければ、どうなっていたか……。」
多分、動けるようになるまで拷問のような時間を過ごしていたに違いない。
「……そうだ、この服……」
この服は誰が用意してくれたのだろうか。
「あー、悪い。それ、オレが着てたやつなんだ。今はもう小さくて着られないけど、お前にはちょうどいいと思って……。もちろん男物なわけだが、大丈夫か?」
「ああ。悪いな、色々と。」
「なあに、困ってる人を助けるのがオレ達の仕事だからな。」
「仕事?」
ニールはよくぞ聞いてくれた!とでも言わんばかりに胸を張り、得意気な表情をする。
「オレの名はニール=ディラグス!アズメール軍第3騎士団の団長だ!」
「『元』団長だよね」
「うるさいな」
ニールはディーを小突く。
「あずめーる、ぐんの……?」
あずめーる、アズメール……聞いた事がある気がする。どこかの国の名前だったような……。
「アルバ、アズメール王国って分かる?」
私は首を横に振る。
「アズメール王国は海に囲まれた国……所謂島国ってやつだな。アズメールには軍隊がいくつかあって、オレはその中にある、第3騎士団の団長だったんだ。ディーもその騎士団にいるんだぞ。」
それがさっき言っていた『仕事』と何か関係があるのだろうか。
「困ってる人々を助けたりするのも騎士団の仕事だからな。……まあ、訳あって今は仕事を休んでるんだけど。」
「そうか。私も騎士団に助けられた、ということだな。……ありがとう」
「ああ。……」
ニールは腕を組み、うーんと唸る。
「……なあアルバ。お前、行くアテはあるのか?」
「ない、な。情けない話だが、何をすればいいか全く分からない。」
「だったらさ、しばらくここにいたらどうだ?」
「え?」
いいねそれ!とディーは手を叩く。
「ね、アルバ!うちにいようよ!」
「……そうだな。」
「よし、決まり!」
ディーはニッコリと笑った。
「これからよろしくね!」
ディーは部屋から出ていった。私に紹介したい人がいるのだそうだ。着替えはベッドの横に置いてあるとディーは言っていたので、探してみるとそれらしい服をみつけた。
「……これか」
あの時私が着ていた服は駄目になってしまったのだろう。ここに置かれているのは白いシャツと黒いズボン。どちらも、汚れ1つない。これを私が着てもいいのだろうか。……まあいい。せっかく用意してもらったんだ。着てみよう。
「……」
着てみたが、何故か違和感がある。……よく見ると、シャツもズボンも男物だ。
「アルバ、入っていい?」
ディーの声だ。
「ああ。」
扉が開く。
「あ、本当だ。起きてる」
ディーと一緒に来たのは、茶髪に青い目の男だった。背はディーよりも高い。青い上着を着ている。
「アルバ、だっけか。怪我は大丈夫なのか?」
「おかげでだいぶ楽になった。ありがとう。」
「そっか」
男はにぃっと笑う。眩しい笑顔だ。
「それはよかった。……あー、自己紹介がまだだったな。オレはニール。ニール=ディラグスだ。」
「ニールがアルバの手当てをしてくれたんだよ!」
ニールは恥ずかしそうに頭を掻く。
「ディーがお前を抱えて俺の所まで来たんだ。泣きながら『この人怪我してる、助けてあげて』とか言ってな。」
「そうだったのか……。ありがとう。2人が助けてくれなければ、どうなっていたか……。」
多分、動けるようになるまで拷問のような時間を過ごしていたに違いない。
「……そうだ、この服……」
この服は誰が用意してくれたのだろうか。
「あー、悪い。それ、オレが着てたやつなんだ。今はもう小さくて着られないけど、お前にはちょうどいいと思って……。もちろん男物なわけだが、大丈夫か?」
「ああ。悪いな、色々と。」
「なあに、困ってる人を助けるのがオレ達の仕事だからな。」
「仕事?」
ニールはよくぞ聞いてくれた!とでも言わんばかりに胸を張り、得意気な表情をする。
「オレの名はニール=ディラグス!アズメール軍第3騎士団の団長だ!」
「『元』団長だよね」
「うるさいな」
ニールはディーを小突く。
「あずめーる、ぐんの……?」
あずめーる、アズメール……聞いた事がある気がする。どこかの国の名前だったような……。
「アルバ、アズメール王国って分かる?」
私は首を横に振る。
「アズメール王国は海に囲まれた国……所謂島国ってやつだな。アズメールには軍隊がいくつかあって、オレはその中にある、第3騎士団の団長だったんだ。ディーもその騎士団にいるんだぞ。」
それがさっき言っていた『仕事』と何か関係があるのだろうか。
「困ってる人々を助けたりするのも騎士団の仕事だからな。……まあ、訳あって今は仕事を休んでるんだけど。」
「そうか。私も騎士団に助けられた、ということだな。……ありがとう」
「ああ。……」
ニールは腕を組み、うーんと唸る。
「……なあアルバ。お前、行くアテはあるのか?」
「ない、な。情けない話だが、何をすればいいか全く分からない。」
「だったらさ、しばらくここにいたらどうだ?」
「え?」
いいねそれ!とディーは手を叩く。
「ね、アルバ!うちにいようよ!」
「……そうだな。」
「よし、決まり!」
ディーはニッコリと笑った。
「これからよろしくね!」