冒険者達の記録書
Reg
ここは暗い洞窟の中。目の前には火打ち石、地図、手帳、ペンなどが広げられている。俺はそれらを鞄の中に詰めていく。俺の名はレグ・ギルガ。長い間、この洞窟で暮らしてきた。だが、それも今日で終わりだ。俺はここを出ることにした。
「…」
広げられた物の中から、黒い石を取る。丸く、夜のように黒い石。これはもともとは青く光っていた。これは『月の宝玉』と呼ばれる特別な力を持つ石なのだ。俺はこれを守るために、そして自分を鍛えるために家を出て山奥にあるこの洞窟で暮らしていた。……だが、その宝石が色と光を失ってしまった。 嫌な予感がする。帰らなければ。俺は急いで準備をした。
洞窟を出ると、外は真っ暗だった。外には全く人がいなかった。ここは山奥で、しかも今は真夜中だ。人がいる方が不自然だ。 道は頭が覚えている。その記憶を頼りに歩いていると、何か赤いものが見えた。近寄ると、それが人である事が分かった。真っ赤な上着を着た少年が倒れている。くるくるとした金髪に、尖った耳。うっすらと開いている目はエメラルドのような緑色をしていた。
「大丈夫か?」
放っておけない。俺は極彩色の少年に声をかけた。
Rugi
…ここは…。
「大丈夫か?」
目の前には、青い髪の毛、右目が青く左目が黒い男の人がいる。
何があったんだっけ? …思い出せない。 いや、それだけじゃない。 全部。そう、全部が思い出せないのだ。
「どうした?」
「いや、その、えーと… 何か、全部、思い出せなくてさ…」
「全部?」
「名前とか、何でここに来たかとか、前はどこに住んでいたかとか…」
「……」
男は何かを考えているように腕を組んでいた。
Reg
困ったな。 全部思い出せない?記憶喪失というやつか。
「おーい」
しかも名前すら思い出せないとは。
「おにーさーん?」
まずはどうするべきだろうか?『記憶喪失の人に会った時の対処法』など知らないぞ俺は。
「おーい、ちょっとー?」
まずは呼び名を考えてやるべきか?いやいや犬じゃあないんだから。そもそも本当に記憶が無いのか?俺の事を騙そうとしているのでは?
「どうしたんだよー?」
…………。
Rugi
「うーむ…」
何か唸ってる。 腕組みながら唸ってる。 この人、何やってんだろ。
「おーい 、おにーさーん? おーい、ちょっとー ?どうしたんだよー?」
駄目だ、全然反応しない。
「聞こえてますかー?」
「頼むから集中させてくれ……」
おお、やっと反応した。
「いやぁ、ずっと唸ってたからさー!」
「お前なぁ…」
はぁ、と溜め息を吐いてこっちを見た。
「お前、名前は?それも覚えていないか?」
「…ルギ」
気付いたらオレはその名前を口に出していた。
「覚えているのか?」
「いや…分かんない、けど、何か印象に残ってる名前。 何だろう?」
「ルギ、か。よし、とりあえずはその名前を使うとするか」
「え?いいのか?」
「今のところはな。」
『ルギ』。 この名前を、もしくは同じ名前の誰かを探して行けば、記憶が取り戻せるかもしれない。 何でだろう、わくわくしてきた!!
「じゃあな、ルギ」
ん?
「え、行っちゃうのか!?」
「ああ、行かなければならない場所があるんだ」
「じゃ、じゃあオレも連れてってくれよ!怖いんだよ!何も分かんなくてさ!」
「…、…。…そうだな。分かった」
男はしばし考えた後、唸るようにそう言った。
オレ達2人は同じような道をずっと歩いていた。重い沈黙が流れる。ここまで静かだと逆に落ち着かない。
「そういえば、まだ名前聞いてなかったよな?」
何となく、そう言ってみる。男は鋭い目でオレを見た。
「俺はレグ。この山を降りた先の『光の樹』に用がある」
「『光の樹』?」
「…行けば分かる」
オレ達2人は地図を見ながら歩いていく。
ここは暗い洞窟の中。目の前には火打ち石、地図、手帳、ペンなどが広げられている。俺はそれらを鞄の中に詰めていく。俺の名はレグ・ギルガ。長い間、この洞窟で暮らしてきた。だが、それも今日で終わりだ。俺はここを出ることにした。
「…」
広げられた物の中から、黒い石を取る。丸く、夜のように黒い石。これはもともとは青く光っていた。これは『月の宝玉』と呼ばれる特別な力を持つ石なのだ。俺はこれを守るために、そして自分を鍛えるために家を出て山奥にあるこの洞窟で暮らしていた。……だが、その宝石が色と光を失ってしまった。 嫌な予感がする。帰らなければ。俺は急いで準備をした。
洞窟を出ると、外は真っ暗だった。外には全く人がいなかった。ここは山奥で、しかも今は真夜中だ。人がいる方が不自然だ。 道は頭が覚えている。その記憶を頼りに歩いていると、何か赤いものが見えた。近寄ると、それが人である事が分かった。真っ赤な上着を着た少年が倒れている。くるくるとした金髪に、尖った耳。うっすらと開いている目はエメラルドのような緑色をしていた。
「大丈夫か?」
放っておけない。俺は極彩色の少年に声をかけた。
Rugi
…ここは…。
「大丈夫か?」
目の前には、青い髪の毛、右目が青く左目が黒い男の人がいる。
何があったんだっけ? …思い出せない。 いや、それだけじゃない。 全部。そう、全部が思い出せないのだ。
「どうした?」
「いや、その、えーと… 何か、全部、思い出せなくてさ…」
「全部?」
「名前とか、何でここに来たかとか、前はどこに住んでいたかとか…」
「……」
男は何かを考えているように腕を組んでいた。
Reg
困ったな。 全部思い出せない?記憶喪失というやつか。
「おーい」
しかも名前すら思い出せないとは。
「おにーさーん?」
まずはどうするべきだろうか?『記憶喪失の人に会った時の対処法』など知らないぞ俺は。
「おーい、ちょっとー?」
まずは呼び名を考えてやるべきか?いやいや犬じゃあないんだから。そもそも本当に記憶が無いのか?俺の事を騙そうとしているのでは?
「どうしたんだよー?」
…………。
Rugi
「うーむ…」
何か唸ってる。 腕組みながら唸ってる。 この人、何やってんだろ。
「おーい 、おにーさーん? おーい、ちょっとー ?どうしたんだよー?」
駄目だ、全然反応しない。
「聞こえてますかー?」
「頼むから集中させてくれ……」
おお、やっと反応した。
「いやぁ、ずっと唸ってたからさー!」
「お前なぁ…」
はぁ、と溜め息を吐いてこっちを見た。
「お前、名前は?それも覚えていないか?」
「…ルギ」
気付いたらオレはその名前を口に出していた。
「覚えているのか?」
「いや…分かんない、けど、何か印象に残ってる名前。 何だろう?」
「ルギ、か。よし、とりあえずはその名前を使うとするか」
「え?いいのか?」
「今のところはな。」
『ルギ』。 この名前を、もしくは同じ名前の誰かを探して行けば、記憶が取り戻せるかもしれない。 何でだろう、わくわくしてきた!!
「じゃあな、ルギ」
ん?
「え、行っちゃうのか!?」
「ああ、行かなければならない場所があるんだ」
「じゃ、じゃあオレも連れてってくれよ!怖いんだよ!何も分かんなくてさ!」
「…、…。…そうだな。分かった」
男はしばし考えた後、唸るようにそう言った。
オレ達2人は同じような道をずっと歩いていた。重い沈黙が流れる。ここまで静かだと逆に落ち着かない。
「そういえば、まだ名前聞いてなかったよな?」
何となく、そう言ってみる。男は鋭い目でオレを見た。
「俺はレグ。この山を降りた先の『光の樹』に用がある」
「『光の樹』?」
「…行けば分かる」
オレ達2人は地図を見ながら歩いていく。
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