序章
夢主の名前
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これは、知らない宇宙の、知らない地球の物語である。
この地球では、同じような文化・言語・民族などが集中している領域を"国家"という単位で区切り、それらの領域は国土として世界で決められていた。
"国家"という概念は、この世界では人の形を成して存在している。
「お邪魔します。」
元日の昼下がり、日本はとある人物の自宅を訪れていた。
いたって普通の日本家屋。玄関にはしめ飾りと門松が飾られている。
「あけましておめでとう、菊。」
「あけましておめでとう!菊さん!」
「あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。」
もう古希を過ぎた、白髪混じりの髪と口髭が特徴的な老練な男。
彼の名前は
彼の妻も一緒に日本を迎え入れ、日本は来客用の部屋へ案内された。
「いやぁ、私もあと何回年を越せるものかな。」
「そんな、萩原さんはまだまだご健在でしょう。」
「そうでもないさ。少しのことで息も切れるし身体も痛くなる。頭の回転も鈍っていくばかりだ。」
「少なくとも、私から見たら十年前とお変わりないように見えますがね…」
「そりゃあ、国の君からしたら六十も七十も同じだろう。」
「いいえ、萩原さんはSNSでも不老で有名なんですよ。あの有名漫画家の荒○飛○彦先生に並ぶ吸血鬼だとか!」
「ネットねえ、漫画家と政治家が同列に語られるなんてな…若者の考えていることはよくわからん。」
菊と萩原が部屋に入り、萩原の妻はお茶を用意するために台所へと向かった。
日本家屋に似つかぬ洋風の部屋である。大きな二人がけのソファが二つ、五十センチメートル程の高さのテーブルを挟んで向かい合っている。二人は向かい合って座り、談笑しながらお茶を待っていた。
萩原の妻が茶を持ってきて部屋から去った後、萩原は先程の砕けた様子から変わって、少し翳った目を向けながら、声を低くして日本に語りかけた。
日本もその変化を感じ取ったのか、綻んだ表情を直し、少し前屈みになって萩原の声に耳を傾ける。
「まあ、なんだ、雑談はこのぐらいにして、本題に入ろうか、日本。」
「はい。」