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愛し君に四葉の白詰草を

「麻績君。……その、もしよければこれを」
 遠慮がちに鉄進が差し出したのは、プレゼントボックスを模った手のひらサイズのケーキだ。上にはクローバー型のアイシングクッキーがちょこんと乗っていて、小さなそれにはチョコペンで器用に「Happy Birthday」の文字が書き込まれている。
「わあ……! ありがとう、鉄進」
 麻績ははしゃぎたくなる気持ちをグッと堪えて、鉄進お手製のミニバースデーケーキを恭しく受け取った。

 本日、二月二十五日は麻績の十八回目の誕生日だ。
 しかし、二月は受験シーズン。公立医学部一本狙いのレンは数日後に前期試験を控えていて、今まさに最後の追い込み中だ。一足先に志望大学の合格が決まった麻績も「レンの受験が終わるまでは」と食事の時間以外自室で静かに過ごしている。
 そんな状態のため、常であれば住人総出で行う誕生日パーティーは三月まで延期されている。
 今日も朝食の席で各々が麻績にお祝いの言葉をかけた以外は通常通りの一日だった。
 しかし、鉄進は。麻績と出会って初めて生を祝福される喜びを知った鉄進は、どうしても今日中にお祝いがしたくて、夜に人目を忍んでやってきたのだった。
 「勝手なことをして麻績を困らせたら」という不安は、嬉しそうな麻績の反応を前にして霧散する。

「改めて、お誕生日おめでとう。麻績君」
「えへへ、ありがとう。ねえ、鉄進も一緒に食べよう?」
「あぁ」
 幸せそうな麻績の笑顔につられ、鉄進も目元を緩ませた。
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