mha-轟
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昼休憩中が終盤に差し掛かり、お手洗い行ってくるねと緑谷が席を離れ、飲み物を買ってくると飯田が席を経った。
『…変に気を遣わせちゃったかな』
二人の姿が見えなくなってから、志乃が頬に人差し指をあて、困ったように笑った。そんなことないとは言い難い状況に、焦凍は少し考えてから正直に話すことにした。
「話しやすい状態にしてくれたんだと思う」
『轟君が…だよね』
「あぁ。アイツら何も聞かなかったけど、察してても可笑しくねぇから」
飯田は食堂に誘った理由を気にかけてくれていたし、その会話を隣で緑谷も聞いていた。俺のことだったら少しはわかると言ってくれていたのは、嘘ではないとわかる。緑谷だって志乃に何気ない会話を振りながら、少しでも馴染めるように働きかけていた。
『言わなくても通じ会える友達って何だか素敵だね。それはそうと、轟君。僕に話したいことあったの?』
「話してぇつーか、聞きたかったんだ。休み時間のこと」
『休み時間…?』
「別れ際の表情がいつもと違った。だから気になって昼に誘った」
そこまで話してから、隣にきょとんと座る志乃の顔を真っすぐ見た。
「辛そうに見えたぞ。…話せることなら、俺に話してくれ」
少し間があってから、焦凍の方に向いていた志乃の視線が離れた。彼の前髪が横顔を隠すように下を向く。
『、…大したことじゃないよ』
「ならっ!」
『だっ…から、余計話したくないというか…んー…話しづらいというか…?』
彼の頬あたりが赤くなるのが見えて、焦凍は「……?」と首を傾げた。辛そうに見えていた表情はほんの一瞬だった。その説明に、何故顔が赤くなるんだろう。いくつか頭上にはてなマークが浮かぶ焦凍をよそに、志乃は視線を落としたまま、小さい声で呟いた。
『…寂しいなって思っただけ』
ぽつりと呟かれた独り事。
さみしいと志乃は言った。さみしいという感情を幼少期の自分も感じたことがある。母に会えない寂しさ、兄や姉と遊べない寂しさ、いろんなことが出来ないことに対しての‘寂しさ’があった。志乃のそれは…。焦凍が暫く考えている間の沈黙が恥ずかしくなった志乃がようやく顔をあげた。
『たぶん轟君が考えてるほど深い意味はないよ』
「深い意味?」
『だ、だから…。同じ授業受けられなくて、話す時間もあまり取れないことが寂しいって、ただそれだけ…。あーぁ、全部言っちゃった』
志乃が降参といった困り顔の表情で両手をあげた。
『クラス違うから、どうしようもない事なんだけど』
「そうだな」
志乃の言葉を焦凍は肯定した。志乃の言うクラスというか、そもそもに所属する学科が違う。その変えようもない事実に対して、嫉妬したり、不安を感じたりする。幼少期に出会ってはいるもの、高校に上がるまで関わりすらなかった。
「なんか…聞いといて、恥ずぃ」
『だから話したくないって言ったのに…。鈍感すぎる、轟君』
はぁ…とため息をついた志乃を見て、思わずくすっと笑ってしまう。二人には悪いことをしたと思うけれど、子供っぽくて新しい一面をみれた。それがこんな嬉しいのは何故だろう。
「…志乃君、何かあった?」
戻ってきた緑谷と飯田が、不思議そうな表情で赤面する志乃に問いかけるのは、この数分後の出来事。
そして何故か…
『緑谷君、轟君っていつもこうなの?苦労してるでしょ』
「ふふっ、何があったか何となく想像ついたよ。どっちかというと天然かな」
ここにいなかった緑谷と意見が一致したようで、志乃が赤い顔のままくすくすと笑った。何で2人ともあんなに楽しそうなんだ…?
2人が笑ってるのに、何故か気持ちが晴れない。
焦凍は無意識に自身の胸へ片手を当てた。どくどくと動く心臓は普段と変わらない。けどこの違和感はなんだ。あれからそんな事をずっと考えている。
『…変に気を遣わせちゃったかな』
二人の姿が見えなくなってから、志乃が頬に人差し指をあて、困ったように笑った。そんなことないとは言い難い状況に、焦凍は少し考えてから正直に話すことにした。
「話しやすい状態にしてくれたんだと思う」
『轟君が…だよね』
「あぁ。アイツら何も聞かなかったけど、察してても可笑しくねぇから」
飯田は食堂に誘った理由を気にかけてくれていたし、その会話を隣で緑谷も聞いていた。俺のことだったら少しはわかると言ってくれていたのは、嘘ではないとわかる。緑谷だって志乃に何気ない会話を振りながら、少しでも馴染めるように働きかけていた。
『言わなくても通じ会える友達って何だか素敵だね。それはそうと、轟君。僕に話したいことあったの?』
「話してぇつーか、聞きたかったんだ。休み時間のこと」
『休み時間…?』
「別れ際の表情がいつもと違った。だから気になって昼に誘った」
そこまで話してから、隣にきょとんと座る志乃の顔を真っすぐ見た。
「辛そうに見えたぞ。…話せることなら、俺に話してくれ」
少し間があってから、焦凍の方に向いていた志乃の視線が離れた。彼の前髪が横顔を隠すように下を向く。
『、…大したことじゃないよ』
「ならっ!」
『だっ…から、余計話したくないというか…んー…話しづらいというか…?』
彼の頬あたりが赤くなるのが見えて、焦凍は「……?」と首を傾げた。辛そうに見えていた表情はほんの一瞬だった。その説明に、何故顔が赤くなるんだろう。いくつか頭上にはてなマークが浮かぶ焦凍をよそに、志乃は視線を落としたまま、小さい声で呟いた。
『…寂しいなって思っただけ』
ぽつりと呟かれた独り事。
さみしいと志乃は言った。さみしいという感情を幼少期の自分も感じたことがある。母に会えない寂しさ、兄や姉と遊べない寂しさ、いろんなことが出来ないことに対しての‘寂しさ’があった。志乃のそれは…。焦凍が暫く考えている間の沈黙が恥ずかしくなった志乃がようやく顔をあげた。
『たぶん轟君が考えてるほど深い意味はないよ』
「深い意味?」
『だ、だから…。同じ授業受けられなくて、話す時間もあまり取れないことが寂しいって、ただそれだけ…。あーぁ、全部言っちゃった』
志乃が降参といった困り顔の表情で両手をあげた。
『クラス違うから、どうしようもない事なんだけど』
「そうだな」
志乃の言葉を焦凍は肯定した。志乃の言うクラスというか、そもそもに所属する学科が違う。その変えようもない事実に対して、嫉妬したり、不安を感じたりする。幼少期に出会ってはいるもの、高校に上がるまで関わりすらなかった。
「なんか…聞いといて、恥ずぃ」
『だから話したくないって言ったのに…。鈍感すぎる、轟君』
はぁ…とため息をついた志乃を見て、思わずくすっと笑ってしまう。二人には悪いことをしたと思うけれど、子供っぽくて新しい一面をみれた。それがこんな嬉しいのは何故だろう。
「…志乃君、何かあった?」
戻ってきた緑谷と飯田が、不思議そうな表情で赤面する志乃に問いかけるのは、この数分後の出来事。
そして何故か…
『緑谷君、轟君っていつもこうなの?苦労してるでしょ』
「ふふっ、何があったか何となく想像ついたよ。どっちかというと天然かな」
ここにいなかった緑谷と意見が一致したようで、志乃が赤い顔のままくすくすと笑った。何で2人ともあんなに楽しそうなんだ…?
2人が笑ってるのに、何故か気持ちが晴れない。
焦凍は無意識に自身の胸へ片手を当てた。どくどくと動く心臓は普段と変わらない。けどこの違和感はなんだ。あれからそんな事をずっと考えている。
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