enst-紅茶部
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side 真緒
スバルの言葉でどんどん花守の顔色が悪くなっていくのに気づき、止めに入ったものの、すでに遅かった。顔を真っ青にして涙目で走り去っていったのが頭に残って授業に集中できない。次の休み時間に会いに行ったけれど、教室に彼の姿は見当たらなかった。
「なぁ高峯、花守を見てないか?」
「花守くん?移動教室からは一緒に戻って来たんですけど…何か用ですか?」
「あ、いや。大したことじゃないんだけどさ、ただ…あいつ授業中どうだった?」
「俺より席が後ろだから見てないですけど…」
「そっか。ならいいよ。手間かけさせて悪かったな」
片手を振って1-Aを後にした。
「衣更先輩、……ごめん」
俺の背中に向かって謝罪した呟くような彼の声は届くことはなかった。
side:友也
移動教室で創と先に音楽室へ行き、授業が始まるのを待っていた。途中まで一緒だった瑠衣は衣更先輩に呼び止められて先に来たのだ。創が慣れていない校舎で、迷子にならないか心配していたけれど、本人が大丈夫といっていた。
「少し遅くないですか?友也くん」
授業開始五分前になっても現れない瑠衣に、扉ばかりを見る創。
「迎えに行ったほうがいいでしょうか?」
「小学生じゃないんだから、人に聞いて来れるよ」
「だといいんですけど…」
俺も人のことを言えないけれど、下に兄妹がいるからか面倒をみたくなる気持ちはなんとなくわかった。転校してきた初日からおどおどしてて、不安を全面に出したオーラで、視線はうつむき表情があまり見えない。そんな瑠衣をほっとけるわけなかった。きっと創もそうだったんだろう。だから真っ先に声をかけた。そういう行動力は流石だなと思う。
「あっ、花守くん!って…、えぇ…ど、どうして泣きそうな顔してるんですかぁ?!」
考え事をしていたら、創が珍しく大きな声で驚いていた。入り口を見ると、息を切らせて走ってきたのがわかるほど荒い息を吐き出す花守が膝に手をつき呼吸を整えていた。
『だ、大丈夫…です。ちょっと…苦手な、ひとに会っただけなので』
「平気そうには見えないけどな」
「きかせて欲しいです、花守くん」
『ほ、ほんとに!ほんとに!だいじょぶですよ』
辛そうな顔を必死で隠そうとする花守を見てらんなくて、何よりそんな彼の背中を擦る創の姿を見ていたくなくて、気づけば俺は二人に向かって叫んでいた。
「誤魔化すなって!俺に無理やり言わされたことにしていいから吐き出せ!」
しんとした教室に、ハッとなって、顔を上げると、驚いたような二人の視線と、何事かと興味津々のクラスメートからの視線が突き刺さる。でもけして後悔はしてなかった。
side:翠
真白くんが花守くんに涙の理由を聞いていた。他の人が聞けばたったそれだけのことなのかもしれないけど、臆病な彼にとっては感情を揺るがすくらい苦手な出来事だったんだろう。俺も極力面倒事は避けたいし、明星先輩や守沢先輩みたいなタイプは正直いって苦手だ。だから気持ちもわかる。
授業が終わったら、保健室に行きたい。
そう言った花守くんの気持ちにも、共感できたから、案の定授業が終わってから心配してやってきた衣更先輩には嘘をついてしまった。内心申し訳ないと思いつつ、花守くんの気持ちが落ち着くまでそっとしてあげたい気持ちが上回っていた。
「おー、高峯!何度もゴメンな」
「…衣更先輩?」
ぼんやりとスマホをいじっていたら、衣更先輩が戻ってきた。
「これ花守に渡してくれるか?」
「はぁ、、、それくらいなら」
「頼んだぞ」
ヤベっ予鈴!と焦りながら戻っていった先輩の後ろ姿を見ながら、手元にあるメモに視線を落とした。折りたたんである紙になぐり書きで花守へと書かれていた。
「マメだなぁ、先輩」
きっと内容はさっきの謝罪のことなんだろう。渡すだけならいっかと、安請け合いしてしまった。けれど、この手紙を渡して余計傷つけてしまったら?少しの不安が残ったけれど、それは後の祭りだった。
スバルの言葉でどんどん花守の顔色が悪くなっていくのに気づき、止めに入ったものの、すでに遅かった。顔を真っ青にして涙目で走り去っていったのが頭に残って授業に集中できない。次の休み時間に会いに行ったけれど、教室に彼の姿は見当たらなかった。
「なぁ高峯、花守を見てないか?」
「花守くん?移動教室からは一緒に戻って来たんですけど…何か用ですか?」
「あ、いや。大したことじゃないんだけどさ、ただ…あいつ授業中どうだった?」
「俺より席が後ろだから見てないですけど…」
「そっか。ならいいよ。手間かけさせて悪かったな」
片手を振って1-Aを後にした。
「衣更先輩、……ごめん」
俺の背中に向かって謝罪した呟くような彼の声は届くことはなかった。
side:友也
移動教室で創と先に音楽室へ行き、授業が始まるのを待っていた。途中まで一緒だった瑠衣は衣更先輩に呼び止められて先に来たのだ。創が慣れていない校舎で、迷子にならないか心配していたけれど、本人が大丈夫といっていた。
「少し遅くないですか?友也くん」
授業開始五分前になっても現れない瑠衣に、扉ばかりを見る創。
「迎えに行ったほうがいいでしょうか?」
「小学生じゃないんだから、人に聞いて来れるよ」
「だといいんですけど…」
俺も人のことを言えないけれど、下に兄妹がいるからか面倒をみたくなる気持ちはなんとなくわかった。転校してきた初日からおどおどしてて、不安を全面に出したオーラで、視線はうつむき表情があまり見えない。そんな瑠衣をほっとけるわけなかった。きっと創もそうだったんだろう。だから真っ先に声をかけた。そういう行動力は流石だなと思う。
「あっ、花守くん!って…、えぇ…ど、どうして泣きそうな顔してるんですかぁ?!」
考え事をしていたら、創が珍しく大きな声で驚いていた。入り口を見ると、息を切らせて走ってきたのがわかるほど荒い息を吐き出す花守が膝に手をつき呼吸を整えていた。
『だ、大丈夫…です。ちょっと…苦手な、ひとに会っただけなので』
「平気そうには見えないけどな」
「きかせて欲しいです、花守くん」
『ほ、ほんとに!ほんとに!だいじょぶですよ』
辛そうな顔を必死で隠そうとする花守を見てらんなくて、何よりそんな彼の背中を擦る創の姿を見ていたくなくて、気づけば俺は二人に向かって叫んでいた。
「誤魔化すなって!俺に無理やり言わされたことにしていいから吐き出せ!」
しんとした教室に、ハッとなって、顔を上げると、驚いたような二人の視線と、何事かと興味津々のクラスメートからの視線が突き刺さる。でもけして後悔はしてなかった。
side:翠
真白くんが花守くんに涙の理由を聞いていた。他の人が聞けばたったそれだけのことなのかもしれないけど、臆病な彼にとっては感情を揺るがすくらい苦手な出来事だったんだろう。俺も極力面倒事は避けたいし、明星先輩や守沢先輩みたいなタイプは正直いって苦手だ。だから気持ちもわかる。
授業が終わったら、保健室に行きたい。
そう言った花守くんの気持ちにも、共感できたから、案の定授業が終わってから心配してやってきた衣更先輩には嘘をついてしまった。内心申し訳ないと思いつつ、花守くんの気持ちが落ち着くまでそっとしてあげたい気持ちが上回っていた。
「おー、高峯!何度もゴメンな」
「…衣更先輩?」
ぼんやりとスマホをいじっていたら、衣更先輩が戻ってきた。
「これ花守に渡してくれるか?」
「はぁ、、、それくらいなら」
「頼んだぞ」
ヤベっ予鈴!と焦りながら戻っていった先輩の後ろ姿を見ながら、手元にあるメモに視線を落とした。折りたたんである紙になぐり書きで花守へと書かれていた。
「マメだなぁ、先輩」
きっと内容はさっきの謝罪のことなんだろう。渡すだけならいっかと、安請け合いしてしまった。けれど、この手紙を渡して余計傷つけてしまったら?少しの不安が残ったけれど、それは後の祭りだった。