enst-紅茶部
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side:創
「それでは転校生を紹介します。入って」
担任に促されて、教室前方のドアが開いた。一年の夏休み明けという何とも中途半端な時期の転校生にクラスがざわつく。そんなクラスメイトの動揺を他所に、静かに入ってきた黒髪の彼は黒板の前で一礼した。
『はじめまして、花守瑠衣といいます』
顔を上げた彼は、目元まで髪で覆われていて、表情が分からない。雰囲気はどこか凛月先輩に似ているものの、眠たげな様子は微塵も感じない。
担任に促されて、ぼくの隣の席についた彼に、「よろしくお願いします」と、声をかけると、彼が控えめに『…こちらこそ』と頭を下げた。その自分と似た少し高めの声に、勝手に親近感に似たものが湧いた。
休み時間、転校生にいち早く声をかけたのは、鉄虎くんだった。
「俺は南雲鉄虎!趣味は筋トレ!好物はカルビ!将来の夢は男の中の男ッス!」
これから宜しく!と決めた彼の声量に、瑠衣くんは身体を引きつつ、『…よ、ろしく』と答えた。
「そんで、瑠衣くんの趣味は?好物は?将来の夢は?」
『え、…ぁ、…あの…』
「声が小さいッスよー!もっと元気よくはっきりと!」
『……う、ぁ……』
その様子を隣で見ていると、前の席まできた高峯くんが二人の様子を見て、ため息をついた。
「俺だったらトラウマになって、明日から登校拒否しそう…」
「あ、はは…、ぼくもなりそうです」
鉄虎くんの勢いには、ぼくでさえようやく慣れてきたところだったから、高峯くんの言葉に頷いた。
「そんなこと言うなよ!俺はただ友達になりたいだけだぜー」
「無理強いは良くないですよ」
「…そうそう、困ってる」
「じゃあどう話しかければ良かったんだ?」
首を傾げる鉄虎くんに、ぼくらは苦笑いだ。
『……仲、良いんですね』
転校生を見ると、くすりと小さく口元が笑っている。
「すぐ仲良くなれますよ、ぼくは紫之創。これから宜しくお願いしますね、花守くん」
ぼくが手を差し伸べると、彼は戸惑った様子で手を見ていた。
『……ぁ…、えっと……』
「よろしくお願いします」
ぼくが笑いかけると、おずおずとその手をとってくれた。
移動教室だったり、体育の授業がかさなって、休み時間に話せたのは南雲くんが席にきた休み時間だけだった。午前中の授業がようやく終わり、机にお弁当を取り出した花守くんに、一緒に食べようと提案を持ちかけた。未だに初日の緊張が残る花守くんは視線を泳がせて迷っているようだった。
「早速仲良くなったんだな、創」
そんな彼と彼の様子を見ながら、返事を待っていると、背中をぽんぽんと叩かれた。声でわかる。この声、友也くんですね。少し拗ねたように話すところを見る限り、自分だけ仲間はずれになったように感じてしまったんですね。
「俺も仲良くなりたい。この学校は変な奴ばっかりだから大変だけどよろしく」
ぼくの後ろから手を伸ばした友也くんは、ぼくの手の上から重ねるように花守くんと握手をした。
『あ、花守瑠衣…です。こちらこそ、よろしく…お願いします』
「あっ俺は、真白友也。創と同じRa*bitsってグループに所属してる」
「クラスメートなんだから、そんなに固くなるなよ、瑠衣。あ、高峯もまだ自己紹介してなかったよな、ほらっ」
手を離した友也くんは、高峯くんの背を押し、花守くんの机の前に押し出した。
「うぇー、あっ…!真白くん、強引。守沢先輩みたい…。うぅ…仕方ないなぁ……。俺は高峯翠、よろしく」
「翠くんは俺と同じ流星隊の隊員なんスよ!俺は流星ブラック!翠くんは流星グリーンッス!」
「黙ってたの、わざわざ言わなくても」
「ハァ…、鬱だぁ……」といつもの口癖を呟く高峯くんに、ぼくと友也くんは顔を見合わせ苦笑いした。
「と、とにかく花守くん、そんなに戸惑うことないです。不安…かもですけど、このクラスは優しい人ばかりだから、少しずつ慣れていってくださいね」
さっきから自分の机で、固まったままだった花守くんに笑いかける。ぼくの言葉に、花守くんがぼくの方を向く。視線こそ交わらないが、彼が泣きそうな表情をしているような気がした。どうしてか、ぼくにもわからなかったけれど。
「それでは転校生を紹介します。入って」
担任に促されて、教室前方のドアが開いた。一年の夏休み明けという何とも中途半端な時期の転校生にクラスがざわつく。そんなクラスメイトの動揺を他所に、静かに入ってきた黒髪の彼は黒板の前で一礼した。
『はじめまして、花守瑠衣といいます』
顔を上げた彼は、目元まで髪で覆われていて、表情が分からない。雰囲気はどこか凛月先輩に似ているものの、眠たげな様子は微塵も感じない。
担任に促されて、ぼくの隣の席についた彼に、「よろしくお願いします」と、声をかけると、彼が控えめに『…こちらこそ』と頭を下げた。その自分と似た少し高めの声に、勝手に親近感に似たものが湧いた。
休み時間、転校生にいち早く声をかけたのは、鉄虎くんだった。
「俺は南雲鉄虎!趣味は筋トレ!好物はカルビ!将来の夢は男の中の男ッス!」
これから宜しく!と決めた彼の声量に、瑠衣くんは身体を引きつつ、『…よ、ろしく』と答えた。
「そんで、瑠衣くんの趣味は?好物は?将来の夢は?」
『え、…ぁ、…あの…』
「声が小さいッスよー!もっと元気よくはっきりと!」
『……う、ぁ……』
その様子を隣で見ていると、前の席まできた高峯くんが二人の様子を見て、ため息をついた。
「俺だったらトラウマになって、明日から登校拒否しそう…」
「あ、はは…、ぼくもなりそうです」
鉄虎くんの勢いには、ぼくでさえようやく慣れてきたところだったから、高峯くんの言葉に頷いた。
「そんなこと言うなよ!俺はただ友達になりたいだけだぜー」
「無理強いは良くないですよ」
「…そうそう、困ってる」
「じゃあどう話しかければ良かったんだ?」
首を傾げる鉄虎くんに、ぼくらは苦笑いだ。
『……仲、良いんですね』
転校生を見ると、くすりと小さく口元が笑っている。
「すぐ仲良くなれますよ、ぼくは紫之創。これから宜しくお願いしますね、花守くん」
ぼくが手を差し伸べると、彼は戸惑った様子で手を見ていた。
『……ぁ…、えっと……』
「よろしくお願いします」
ぼくが笑いかけると、おずおずとその手をとってくれた。
移動教室だったり、体育の授業がかさなって、休み時間に話せたのは南雲くんが席にきた休み時間だけだった。午前中の授業がようやく終わり、机にお弁当を取り出した花守くんに、一緒に食べようと提案を持ちかけた。未だに初日の緊張が残る花守くんは視線を泳がせて迷っているようだった。
「早速仲良くなったんだな、創」
そんな彼と彼の様子を見ながら、返事を待っていると、背中をぽんぽんと叩かれた。声でわかる。この声、友也くんですね。少し拗ねたように話すところを見る限り、自分だけ仲間はずれになったように感じてしまったんですね。
「俺も仲良くなりたい。この学校は変な奴ばっかりだから大変だけどよろしく」
ぼくの後ろから手を伸ばした友也くんは、ぼくの手の上から重ねるように花守くんと握手をした。
『あ、花守瑠衣…です。こちらこそ、よろしく…お願いします』
「あっ俺は、真白友也。創と同じRa*bitsってグループに所属してる」
「クラスメートなんだから、そんなに固くなるなよ、瑠衣。あ、高峯もまだ自己紹介してなかったよな、ほらっ」
手を離した友也くんは、高峯くんの背を押し、花守くんの机の前に押し出した。
「うぇー、あっ…!真白くん、強引。守沢先輩みたい…。うぅ…仕方ないなぁ……。俺は高峯翠、よろしく」
「翠くんは俺と同じ流星隊の隊員なんスよ!俺は流星ブラック!翠くんは流星グリーンッス!」
「黙ってたの、わざわざ言わなくても」
「ハァ…、鬱だぁ……」といつもの口癖を呟く高峯くんに、ぼくと友也くんは顔を見合わせ苦笑いした。
「と、とにかく花守くん、そんなに戸惑うことないです。不安…かもですけど、このクラスは優しい人ばかりだから、少しずつ慣れていってくださいね」
さっきから自分の机で、固まったままだった花守くんに笑いかける。ぼくの言葉に、花守くんがぼくの方を向く。視線こそ交わらないが、彼が泣きそうな表情をしているような気がした。どうしてか、ぼくにもわからなかったけれど。