愛が欲しい〈ジェイド〉
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「・・・」
フロイドと○○の席の近くに座っている為、内容までは聞こえないが二人の楽しそうな笑い声がジェイドの所まで届く。
「僕は・・・」
ジェイドはズキズキと痛む胸を押さえた。
自分は何て愚かなのだろう。○○への本当の気持ちに気付くのが遅過ぎた。○○が嫌いなのではない。○○の事が好きなのだ。しかし、○○を愛してもいつか彼女は元の世界へ帰らなければならない。それが辛くて。○○の居ない世界に取り残されるのが嫌で。胸が苦しいのだ。表面上の苦しい、辛い気持ちを、○○が嫌いだからなのだと思い込んでいた。深い気持ちまで考えようとしなかったのは嫌いだと思った方が楽だと、心のどこかで思っていたからだ。
最初から本当の気持ちに気付いていたら、○○の隣に座っていたのは自分の筈。
○○の隣で笑っていたい。愛を囁きたい。
「・・・覚悟を決めなければいけませんね」
今更遅いと言われても。例え大切な片割れと喧嘩をする事になっても。
「僕は、○○さんの愛が欲しい」
決意を込めた目で、ジェイドは二人を見つめた。
放課後モストロ・ラウンジは今日も多くの客で賑わっており、厨房ではフロイドが従業員に指示を出しつつ、手際良く次々と料理を作っている。今日のフロイドはいつもより機嫌が頗る良いようだ。そんなフロイドに、ジェイドは近付く。
「・・・調子が良いようですね、フロイド」
「あ、ジェイド、お疲れぇ。うん、昼休みに小エビちゃんと楽しくお喋りしたし、今から小エビちゃんが遊びに来てくれるんだぁ」
ニコニコと本当に楽しそうに話すフロイドに、ジェイドは苦笑いをした。今からこの笑顔を、自分が壊してしまうのだから。
「フロイド、話があります」
「も~。こんな所で話って何?」
流石にあの場で話すと店と客に迷惑が掛かると、フロイドを店の外へと連れ出した。
「今日も混んでるし、早く戻んねーとアズールに怒られる・・・」
「フロイド・・・。フロイドは、僕に自分の気持ちを話してくれました。ですので、僕の気持ちも話します。僕は○○さんを嫌いだと思っていましたが・・・。それは、実は間違った感情だったのです」
「・・・は?」
低い声でギロリと睨んでくるフロイド。きっと、この先のジェイドが言おうとしている事を察したのだろう。
「僕は・・・。僕も、○○さんの事が好きなんです。自分の本当の気持ちに気付くのが遅くなってしまいましたが・・・。○○さんに、告白します」
「はあぁぁ?何それ。小エビちゃんの事泣かせて、傷付けてさ・・・。本当は好きだったからって・・・。都合良過ぎ。自分勝手じゃん」
その通りだと自分でも思う。酷いやり方だと思うからこそ、フロイドの言葉は自分の胸にグサグサと刺さる。しかし。それでも・・・。
「最低な男だと、自分でも思います。それでも、フロイドにも、誰にも渡したくない」
「あぁ、そうですかって素直に頷く訳ねぇじゃん!」
二人同時にマジカルペンを構えると、魔法石が光った。